――――PiPiPiPiPiPiPiPiPi―――――


機械的な電子音。
それは、俺の携帯で
俺には、それを見る前から、
掛けて来る相手が、わかっていた


でも、もしかしたらって事もあるから、
携帯を開いてディスプレイを見れば―



溜息




「李 潤慶」の文字。


俺の大切な従兄弟サマ






○●○●○●雨●○●○●○






ついさっきまで、僕は
大切な大切な

大好きな従兄弟サマと携帯でオハナシ。



相手は、僕がいま空港にいるっていう事をすぐにわかってくれた。
これも愛の力??
なんて自惚れてみたら、


「馬鹿でしょ、ユン」
案の定、冷たいお言葉。
それでも君の声が聞こえるから、




君の声が聞こえるなら、罵声でもなんでも聞くよ。
僕は。




んーーっ
僕って、かじゅまと同じくらいヘタレになってるかな??



考えてもキリがないから
とりあえずは勝手に電話を切った相手の声を聞きに行こうかな





駅のホームへ急ぐ。
空を仰いだ。







嫌だな








雨が降りそうだ









        ヨンサ
『うわぁ・・・英士の家に着くまでに間に合うかな・・・』







なんて呟いて独り言。













雨は嫌い



まず、サッカーが出来ない。
それに、寒いし冷たい。

目の前で、一つの命が消えた。
「なぁーぉ」

「・・・・・」

「にゃぁ・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」









イツから、僕雨がダメだったんだっけ?



なんか凄く昔の気がするなぁ






「ゆん・・・??どうしたの??」

「雨・・・ヤダッ・・・」

「どうして?」

「怖いっ・・・・」

「俺、すきだよ?」

「・・・?」

「冷たいし、べたべたするけど、」

「けど?」

「きれいでしょ?」




僕が嫌いでも、君が好きなら、好きになれる気がしたんだ








ぽつりぽつりぽつりぽつり

小さな波紋がひとつふたつみっつよっつ

コンクリートにシミがひとつふたつみっつよっつ

おそらの上から銀色の糸がひとつふたつみっつよっつ



あぁ
そして
ついに


雨が降り出した









「ユン、大丈夫かな?」

外は、もう小雨じゃなくて大雨の域で

「ま、傘ぐらい持ってきてるよね」

用意周到だし、アイツとつけたし。

「ま、急に来るっていった向こうも悪いんだし?」

そういって、手と身体はお風呂の用意

甘いなぁ、俺。





PiPiPiPi 




かかって来る人物は一人しかいない



外は大雨なんだし、俺もいい加減心配になってきた。


溜息つきながら、通話ボタンを押す。
「はい」
「ヨンサ?」



お互いに一応相手を確認。


「今どこにいるの?」


呆れ声


「ヨンサんちの前」
「・・・・・」



更に呆れ


窓から外をのぞけば、潤慶が雨に降られて立っていた。


俺と視線が合えば、笑って手を振った。




「もうっ・・・」




本当に手間のかかる従兄弟サマだよね


俺は携帯を切って潤慶の前まで行った。

行ったら思いっきり抱きしめられた。


「ユン・・・?俺が濡れるでしょ。離して」
「・・・・・・」



離してくれる気はないらしい


「ねぇ、ヨンサ・・・」
「ん。なに?」
濡れないことは諦めて、潤慶の言葉に耳を貸してあげる。


「英士は・・・雨好き??」
「好きだよ」


即答


昔からね、俺の世界はユンが中心だったんだよ。


ユンが一番近くにいた人だったから




「なんで?」






「ヨンサ、ヨンサは僕が嫌いなもの、全部好きっていうよね」

「うん」

「どぉして?」

「どぉしてって・・・」

「ねぇ、どぉして?」

「ユンが嫌いなもの、俺も嫌いになると、もっと嫌いになりそうだから」

「それって、ホントの好きじゃないよ?多分」

「これから好きになるから、いいでしょ」

ねえ、たった一人の
大切な従兄弟サマ


今でも俺は
昔と変わってないんだよ?










ユンが嫌いなもの、俺も嫌いになると、もっと嫌いになりそうだから





「だって、ユン雨嫌いでしょ」





それに、雨の日ばかりは、ユンが堕ちる




「だから俺は雨が好き」




それを助けるのは、以外にも心地いいから














「うん」





僕が嫌いでも、君が好きなら、好きになれる気がしたんだ








「僕もちょっとだけ、好きになった」








二人で、これからも

「嫌い」を「好き」に

「好き」を「大好き」に

一つづつ変えていきましょう??





ぽつりぽつりぽつりぽつり

小さな波紋がひとつふたつみっつよっつ

コンクリートにシミがひとつふたつみっつよっつ

おそらの上から銀色の糸がひとつふたつみっつよっつ













++end+++
20040608
Hikari Suzukane