働くヴァンパイア


・あ〜、美味しかった! やっぱり、ウィローとタラが作ったスパゲッティ・
ミートソースは最高だね!
・フフッ、ありがとう。そういってくれると、作ったかいがあったわ。
・おい、このオニオンリング、しなしなだぞ。オニオンリングってのは
もっとクリスピーな歯ごたえに仕上げないと。あと、チリも使ってないな!
これじゃあ、まるでお子様向けのただの玉ねぎの天ぷら…
・うるさいヴァンパイア。<ハァ… 食後のコーヒーはどう? ウィロー。
・あ、わたしも。 コーヒーお願い!
・ダメだ。お子様はココアでも飲んでろ。コーヒーは、大人の飲み物だ。
・子供じゃない!! なによ、コーヒーぐらい。
・スパイクの言う通りよ、ドーン。コーヒー飲むと夜眠れなくなっちゃうから。
そうだ、今日マシュマロ買ってきたのよ。それに少し焦げ目をつけて、
ココアの上にのせる、ってのはどう?
・あ、それ… オレにも頼む。
・そうだよねー、コーヒーよりも全然いい感じ! …え?
・あ、あなたがココア飲むの? スパイク。
・いや、その…ココアにはマシュマロがつきものだろうが。 ん?
・え、ええ。そ、そうね…<ウィローと顔を見合わせる
・ ……(やっぱり、変なヴァンパイア)

  

〜閉 話 休 題〜

・ ……。<ズ〜〜〜〜。 (ココアをすする)
・お、美味しい? スパイク。
・? お前のはマズイのか?
・う、ううん。そうじゃないの。アハハ…
・ところで、今日はみんなに聞いて欲しいことがあるの。
実は今日、病院から請求書がきたんだけど、その額がちょっと…高額なのよ。
・病院って、ジョイスのか? ちょっと見せてみろ。<パラッ(請求書をひったくる)
…ハンパじゃないな。くそッ、あの病院…あとで火ィつけてやる。
・ジョイスはたくさん蓄えていたから、払えない額じゃないんだけど…
ドーンの学費とか、ウチの食費とか、これからは定期的な収入がないと苦しく
なるわね。
・ちょっと待て。その、保険とかでなんとか賄えないのか?
少しは降りるんだろ。
・降りても苦しいわね。やっぱり、離婚して子供二人抱えていたから、
月々の保険料をおさえていたみたい。それに、まさかこんなことになるなんて
考えてもいなかったんじゃないかしら。一応、計算してみたんだけど…
・入院費用に手術代に…全部払ったら手許に残るのはこれだけか。
あとは、預金を切り崩していくしかないな。
・ダメよ。あとは、ドーンの大学の入学費用なの。最低でも、これぐらいは
用意しておかないと。
・だ、大学!? まだ高校にも行ってないのに? それに、私、
大学に行かなくたって大丈夫よ。ザンダーみたいに働くもん。
・黙れ。 …金のことは、オレがなんとかするから。
・なんとかする、って… ど、どーやって?(ギャ、ギャンブルかしら…)
・ ……(銀行強盗、とか)
・ ……(ホ、ホスト?)
・顔を見合わせて何をニヤニヤしてるんだ、おまえら…
・ ……。<ズ〜〜〜〜。 (ココアをすする)

(あ、でもスパイクはポーカーが得意だっていってたし、ラスベガスのカジノあたりで
カードゲームのディーラーさん、っていうのも素敵かもしれない。あそこなら、
1日中夜みたいなものだから日にあたらないですむしね。じゃあ、スパイクが
カジノの制服着て「betしますか?」なんて聞くわけ? キャ〜〜〜〜!)
・ ……。<ポチョン、ポチョン、ポチョン… (コーヒーに角砂糖を入れる)

(確かに、スパイクってばハンサムだし、セクシーだし、こうちょっと小柄で
スラリとしたボディに適度に筋肉が…なんて、レズビアンの私でも
クラクラきちゃうわ。そうねえ、性格が横柄でえり好みが激しいから、
ちょーっと向いてないような気もするけど、その突き放したような態度が
またいいわ〜、なんて人も世の中にはいるから、たちまちのうちに業績No1ホスト
になったりして。やっぱりマダムの間で人気がでたりするのかしら?
だって、彼ジョイスとすごく仲が良かったみたいだし。フ、フフフフフ…)
・ウィロー?  で、なにかアテはあるわけ? スパイク。
・あ、ああ。知り合いに、サメ顔の悪魔ってのがいるんだが、ソイツが
どういうわけだか、オレを、そのー、雇いたいんだそうだ。ったく、ずっと
断り続けてたんだが…。
悪魔!?(しかもサメ顔?)
・あ〜、心配ない。ヴァンパイアや悪魔にだって、実業界に打って出て、
成功を収める奴もいるんだぜ。ヤツもその一人だが、人間と悪魔相手の貸金業
やってて、で、オレに…なんだ、債権管理の仕事して欲しいって…
・ようするに、サラ金業で、債務者から借金の取り立ての仕事をして欲しい
ってことね。
やめなさい。
・でも、給料は結構いいんだぜ。まあ、オレだってサメ顔悪魔に雇われるのは
正直、屈辱だが、この際贅沢はいってられないからな。
・スパイク… でも、私もなんだかちょっと心配だよ。

〜数 日 後〜

・ただいま〜。遅くなってごめんね〜。…みんな〜、いないの〜!?
ウィロー! タラ〜〜!! <
タンタンタン…(階段をかけあがる)

ウィロー!! どこにいるの〜〜〜!?


   
<ウ、ウ〜〜〜ン、ウ〜〜〜ン…

・誰!? そこに、誰かいるの? は、入るよ!<ガチャッ!!

!! ス、スパイク!? ちょ、ちょっと、どうしたの!? しっかり、しっかりして!!

 
(スパイク、包帯でグルグル巻きにされベッドの上でうなっている)

・ドーン!? 帰ってたの?
・帰ってたの?じゃないわよ! スパイク、スパイクが!!
なんてひどいケガ… ヴァンパイアにでもやられたの?
・いいえ。バカよ、大バカ。取り立てにいった先で、逆ギレした債務者に
松の木に縛りつけられてね、包丁でなますにされたのよ。普通の人間だったら
死んでたわね。幸い、私達がパトロールしていて、悲鳴が聞こえたから助かったものの…
・そっか、スパイクは人間を攻撃出来ないから…
・う、うるせー… チクショーあの野郎… 殺してやるー… 殺してやるー…
<ウ、ウ〜〜ン…
・それであの、仕事…は?
・当然、クビ。まぁ、借金の肩代わりしなかっただけ良かったじゃない。
というのも、私達がその債務者を生きたまま捕まえて、サメ顔の悪魔に引き渡した
からなんだけどね。ホント、今回は、その、感謝して欲しいぐらいよ。ね?

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