激闘タッグ育児編I


仁:「ねえ、おかあさん。フグってなあに?」
準:「フグってねえ、海にいるおさかなさんのことよ。」
仁:「フグって食べられるの!?」
準:「ポン酢で食べると美味しいのよ〜。一度、一八と下関まで食べに行ったことがあるけど、
その時のフグが一番美味しかったわ。仁だって、去年の冬に食べたじゃない。」
仁:「おかあさんはフグって好き? おとうさんねえ、昨日からねえ、
フグが、フグが・・っていってるの。」
準:「大好きよ〜。フグのカラアゲなんか、もうサイコーって感じ(^^)」
仁:「そっか。おかあさんも、フグ、大好きなんだね。・・・あ、おとうさーん! 
おかあさんもね、フグね、大好きだって!」
一八:「そうか・・フグは格闘技以外にもいろいろ活躍していたからな。
フグといえば踵落とし、といわれていたがな、それだけじゃない。
土壇場での粘り、相手の一瞬の隙を捕らえパンチを叩き込むあの熟練の技・・
俺も、一度戦ってみたいと思った。」
仁:「?? よくわかんないけど、踵落とし、ってなあに? 」
一八:「踵落としも知らないのか? いいか、よく見てろよ。こうするんだ。」(ヒュッッ!!)
仁:「わあっ! (ぺたん!) びっくりしたなあ、しりもちついちゃった!」
一八:「フン・・フグの踵はこんなモンじゃなかったぞ。・・告別式は確か10時からだったな。
オレもそろそろ出かけるか。」
仁:「う〜ん・・よくわかんなくなちゃった。ねえ仁美ちゃん、フグって、踵落とししてどうするの?」
仁美:「フグってあれでしょ、冬にチリにして食べたのでしょ。フグのかかとおとし、って何? 
どっかの郷土料理?」
ファラン:「ジーーン〜〜!! でてこーい!! 決着つけるぞ〜! 
今日はオレ、師匠から踵落とし習っって技習ってきたんだぞー! 
オマエなんかタコだぞタ〜〜コ〜〜!!」
仁:「あ、花ちゃ〜ん! 待ってて〜、今行くから〜。ねえ、ねえ、ファランはフグってしってる? 
フグってね、チリにしてね・・」
ファラン:「バーカ、フグはスイスだろ、スイス! そんなことも知らねえのかよ。
2日前に病気で死んじゃったけど、すっげえ強かったって、お師匠が言ってたぜ。」
仁:「えっ・・フグ、死んじゃったの?」  

数年後・・。

仁:「・・そんなこともあったな」
ファラン:「アホだったな、オマエ・・。そうそう、踵落とし、ってのはな、
もともとテコンドーの技なのよ。オレのこの鞭のようにしなる華麗な足技で、
ヘタすっとこう、鎖骨までポキっといくんだぜ、ポキっと。」
仁:「アンディ・フグの試合をビデオで見たことがあるが・・彼の踵落としはもはや伝説だ。」
ファラン:「フグって、オレ達がガキだったころのK-1の選手だったよな。
バーカ、空手の踵落としってのはな、相手との距離をとるために・・」
仁:「いくらテコンドーでも、お前の踵落としでは鎖骨どころかスイカも割れないだろうさ。」
ファラン:「テメエのドタマぐらいは割れっぞ。」
ヒュゥゥゥッ!! 
体をねじるようにして繰り出された回転踵落としが、きれいな弧を描き
仁に向かってふりおろされた。仁はすばやく側面にまわって避ける。
ファラン:「どーだよッ!!」
仁:「空手はこうだッ!!」
仁は至近距離から足を大きく振り上げる。

踵の一点に力を込め、一つの技に一途になって・・

ファラン:「フン、あたったらけっこう痛そうじゃん・・。」
仁:「・・押忍。」