激闘タッグ育児編C
| 「へ〜、仁美(ひとみ)、ね。いいんじゃない? かわいいよ。 一八にしては考えたね〜。」 以外にも準がすぐに承諾したので、双子の兄妹の名前は男の子が「仁」、 女の子が「仁美」に決まった。 「そりゃー俺が考えた名前だからな! いいだろーいいだろー!! うははは!!!」 「ハイハイ、わかったからさ、一八。いいかげん病院で大声出すのやめてね。 双子ちゃんがまた泣き出すじゃないの。あ、よーしよし、仁。うるさいお父さんは すぐ黙らせるからね〜、泣かない泣かない。」 ベッドから体を起こし、準が腕に仁を優しく抱っこしてやると、少しぐずりかけていた仁も 安心したのか、また、スースー、と、かわいい寝息をたててそのままぐっすりと眠ってしまった。 「双子でもね〜、この二人すごい性格違うんだよ。仁の方はすっごいぐずりやすいんだけど、 女の子・・ん、仁美か・・仁美の方はあまり泣かないの。でも、ま、仁がぐずったら ものすごい声で泣き出したから、そのへんやっぱアンタ似なのかも・・」 「チッ・・悪いところはみんな父親似かよ。でも、ま、これで『三島 仁』と『三島 仁美』に決まったな」 「三島? ちょ、ちょっと待ってよ一八。」 「なんだよ、もう名前は「仁美」に決めたんだからな! 変えようったってそうは・・」 「その前に私達、結婚してないじゃん・・。」 「・・・・・・え?」 民法790条@嫡出である子は、父母の氏を称する。 A嫡出でない子は母の氏を称する。 「け、結婚って・・あのなあ、俺は教会で誓いのキスだとか、神社で祝詞あげて もらったりだとか、そーいう宗教関係のモノってニガテなんだぞ・・ 基本的に神様なんて信じてないし。」 デビルに変身するのと無神論者なのは別らしい。 「それにオマエだってしなくていい、っていってたじゃねーか。だいたい一緒になってからだって 夫人同伴のパーティとか嫌がって1回も出席したことないクセに・・い、いやでも準がどーしても、 っていうんならローマ法王だろうがなんだろうが呼びつけて結婚式・・」 「神前結婚だとか披露宴のこと言ってんじゃないわよ! 私達、お役所に 結婚届出してないんだってば!!」 「何イ!! それならなんで今まで届け出さなかったんだ!!」 「アンタみたいに自分から好き好んで日本国籍捨てた人の結婚届だせるかーッ!!」 「冷血頭首 三島一八 年齢:28歳 身長:181cm 体重:76kg 血液型:AB型 国籍:なし(日本の国籍は捨てた)」 平静を装ってはいたが、さすがの一八もこめかみの所がピクピクしてきた。 決して言葉にはすまいが、一八の心の中では今、「うおおおおーッ!! 何で国籍捨てたんだ! 俺のバカバカバカ〜!!」という叫びがエコーしているに違いない。 「こ、国籍がないから結婚できないなんて、き、聞いたことがないぞ・・」 「頼むから少しは常識もって頂戴。それに、少なくとも日本の法律では 役所に届けなきゃダメなの!」 「じゃ、じゃあ・・俺は三島一八でオマエは風間準・・で、子供は・・」 「『風間仁』に『風間仁美』になるわね。あら、アンタだけ三島・・」 アンタだけ三島・・アンタだけ三島・・アンタだけ三島・・ 「まあ、そんなに苗字にこだわらなくても。私達だって事実婚なんだし。」 事実婚・・事実婚・・事実婚・・ 「こ、こだわらなくたっていいっていうんなら三島でもいいハズだろ〜!!」 「あのねえ・・私が日本国籍で日本に住んでて、日本でこの子達を産んで 日本で育てたいって思ってる以上、この子達には日本の国籍とって欲しいのよ。 だってそうしないと日本に住みにくいでしょ。親の勝手でイヤな思いして欲しくないのよ。 それに、子供たちが学校行くとか公共の場では風間でも、普段は三島姓を名乗っていれば それでもいいんじゃない?」 「そ、それじゃ俺、子供を認知するってば!!」 「結婚の届け出も出せない人がどーやって認知の申請するのよ!!」 ミもフタもないとはまさにこのことだろう。 「そんなあ・・三島家お、お家断絶・・」 「とっくの昔に三島財閥は法人化してるじゃない。なにを今更・・」 一八は準が寝ているベッドに、ばふー、と、うつぶせで倒れこんだ。 さしずめラウンド開始時にガード不能技食らってパーフェクト負けを喫したというところだろうか。 「ううう・・クッソーッ!!! せ、せめてオマエと結婚したかった・・」 「え? あら、アンタからそんな殊勝なことが聞けるなんて・・」 準が一八の肩に手を伸ばすと、一八は上目遣いでうらめしそーな顔して準のほうを見た。 「そんな顔しないで。神様の前での誓いとか紙切れ一枚の手続よりも、 一八と一緒にいるだけで私は十分よ。って・・あのー」 いきなり肩に伸ばした手をひっぱられ、準の首筋に一八の手がまわった。 「あら当分は安静に、ってお医者さんが・・そうね、やっぱりダンナを病室に いれないほうが良かったかもね。」 (・・・・・・ガク) 「あらら、追い討ちだった?」 「・・なあ・・準・・。」 「だから、だめだってば。」 「結婚も認知もだめなら、仁美だけでも俺の養子ってことで・・」 準の病室に回診にきた看護婦の目の前に、ドアをぶち破って一八がふっとんできた。 霞掌打。 看護婦がおそるおそる人型に穴の開いたドアから中をのぞくと、準が鬼のような形相で こっちをにらみつけていた。 「いいこと、一八! この子達は「風間仁」に「風間仁美」よ!! わかった!!」 こうして、双子達の名前が(やっと)決まったのである。 |