激闘タッグ育児編E
| 「ふええええん〜!」 「はいはいはい、仁くん、まっててね。」 双子のミルクの用意をしていた準が、急いで仁を抱っこしてあやした。 まず仁がミルク、ミルク! というように泣き出す。普段はあまり泣かない仁美も、 仁が泣き出すと、うるさい、だまれ! といっているかのように大声で泣き出す。 双子の育児は当初から多忙を極めたが、準にとって幸いだったのは、 一八と李がアシスタント(パシリともいう)として常駐していたことだろう。 「二人一緒に育てるって・・こんなに大変だとはおもわなんだ。 ミルク飲ませてオシメ代えてフロ入れてって作業がこんなに手間取るとわ・・」 昨日双子をあやしつづけてあまり眠れなかった一八が大あくびした。 もっともこの男があやしたのでは返って子供が泣くのも無理はないだろうが。 「同感だな、一八。ノリ的には『スリーメン・ベイビー』だけどよ、 もう勘弁してくれよって感じで・・ふわあ」 目の下にクマを作った李が、哺乳ビンにぬるくあたためたミルクを注ぐ。 「よし、お嬢さんのための「牛乳ソテー」ができた、っと。って、・・わッ!!」 「あ、李。それができたら仁美に飲ませてね。今度は仁の番だから。」 李がふりかえると、準は何の臆面もなく仁におっぱいあげていた。 日1日と成長する双子二人抱えて一度におっぱいをあげるのはなんぼの準でも無理なので、 仁が粉ミルクなら仁美がおっぱい、仁がおっぱいなら仁美が粉ミルク、 という順番でミルクとおっぱいを交代で飲ませているのである。 「こら李!! 人の女房のムネじろじろ見るんじゃねえ!!」 「い、いや・・そんなつもりじゃ・・」 「あら、おっぱいあげてる時ぐらいかまわないわよ。ね〜え、仁。」 「いやいや、ていうか、準のムネってば子供できてもあまりかわりばえしな・・」 ・夫婦(めおと)タッグ移行技→ 蒼槍掌→ちょっと拾って雷神拳 「バカだな〜、準は胸が小さいのを一番気にしてるのに。」 「それを早く言え・・いてててて。」 準(と一八)にやられたアゴがまだ痛い。 早々に部屋を追い出された李と一八めがけて、哺乳ビンが弧を描いて飛んできた。 「早く仁美に飲ませてあげなさい!!! まったくこれだから男親ってヤツは!」 今まででも十分強いのに子供を産んでますます強くなったらしい。 「・・・・・・。」 一八にだっこされてる仁美が、ぎろー、と人を小馬鹿にしたような目で李を見た。 三白眼ぎみなのまで父親にそっくりである。薄く笑っているような口元も、 そう思うとものすごく憎たらしい。 「それによ・・」 「ほれ李! 始めるぞ。」 やっとのことでミルクにありつけたはずの仁美だったが、ミルクを一口、 口に含んでしばらくもちゃもちゃやってたかと思うと、さもマズイ! というように眉間にシワ寄せてペェッ、と吐き出した。 「・・またか・・さすが一八の子・・」 三人も最初のうちは信じられなかったが、仁美はミルクが大嫌いだった。 反対に仁はミルクの飲みっぷりがとてもよいので、まさか赤ん坊がミルク嫌いなんて!! と思ったが、確かにキライなようだった。粉ミルクはまだよいほうで、母乳となるとロコツに、 うげー、とやってくれるので仁美の授乳のときは3人ともほとほと困り果てていた。 「まだ歯も生えてない赤ん坊だからミルク以外やれないしなー。 ま、さすが俺の子だからもう味がわかってるっつーか。」 そーかそーか、生肉でもあたえればよろこんでかぶりつくに違いない。 「しっかしまいったな。なんかいいアイデアねーか、李。このままじゃ仁美が体こわしちまう。」 「アイデアったって、赤ん坊の嗜好ばっかりはなあ・・」 今のところは、母乳を与えることで免疫力つける意味もあるので無理にでも飲ませているが、 やはりいい状況とはいえない。 「チッ・・こうなったらボスコノビッチ脅して何かミルクの代わりになるもの・・って、あるじゃん!」 「??? 何だ、一八、それは?」 「確かウチの冷蔵庫に・・」 一八は台所に駆け込んでいっていきおいよく冷蔵庫を開けた。 「あった、あった!」 「カル○ス」 「なあ! これ牛乳を発酵させてできてんだろ! これなら仁美もOKなんじゃねーか!?」 一八はさっそくカル○スを哺乳ビンにいれてお湯を注いだ。 「なあ・・って、いいのかよ! 確かに体にいいのみものだけど・・」 「いいっていいって! さあ仁美、グイっといけ!!」 仁美は、またか・・という感じで哺乳ビンくわえるのも嫌がったが、一口飲んだら くわえて離さないほど飲みたがった。 「すごいじゃないか、一八! 仁美がこんなに飲んだの始めてだ!!」 「だろ〜、みろよこの飲みっぷり。」 「すごいじゃないの! どうやって仁美にミルク飲ませたの!?」 仁の授乳が終わって、男親にまかせた仁美が心配になったのか、 いつのまにか準が後ろに立っていた。 仁美はゴキュッ! ゴキュッ! ぷはー、と、いままで見たことがないくらいの 見事な飲みっぷりで、あっという間に哺乳ビンをカラにして、ついでにげっぷまでした。 「ねえ、教えてよ! アンタ、ミルクに砂糖か何かいれたんじゃないでしょうね?」 「俺がそんな小細工すっかよ! 仁美に飲ませたのはなあ、これだ!」 いまなら抽選でトロにゃんの携帯ストラッププレゼントキャンペーン中。 「えーーッ!! 仁美にカル○ス哺乳ビン1杯飲ませたぁ!! ・・こ、この・・」 準のこめかみがヒクヒク青スジたってきたので、李がそろそろ逃げるべやあ、と思ったその瞬間! こッの、ぶわっかたれ〜!!! 一八とまきぞえくった李ともども判決→紫剄。 「なんでじゃあ!! カル○スも牛乳も元は同じだろーッ!?」 もちろん後で一八はゴネまくったが、論より証拠、仁美のおなかの乳酸菌は非常に活発に働きすぎて、 そのあとしばらく下痢が続いたのである。そのときのオムツを代えたのはもちろん、一八と李である。 |