「ねえ、ジュリアはチョコ買わないの?」
「アンタはいっぱい買ったね。誰に?」
「うーんと、平八おじいちゃんと、ジンレイおじいちゃんに、」
「ふーん。」
「あとは一八おじさまに李おじさまには、このモロソフの
高級チョコレート詰め合わせでキマリね。」
「へえ、モロソフとは奮発したね。」
「あとは白師匠とレイさんにはゴティバかな。」
「渋いね。」
「エディやフォレストにはロイスの生チョコでえ・・。」
「生チョコか・・こっちが食べたくなるよ。」
「で、ブライアンとかポールとか・・あ、ファラン忘れてた・・には・・
どーしよ、まだ買ってないよ。」
「・・・・・・やめれば。」
「それで、ジュリアは?」
「アタシ? アタシはいいよ。そんなことより・・」
「なあに?」
「そのもう一つの紙袋からのぞいているのは何だ。」
「ああ、これ・・ただのホームメードチョコの材料じゃん。」
「・・・・・・。」
「別にー、隠す必要なんかないけどさー、
アイツと一緒にいる時間長いし・・付き合いたいとか、好きだとか、
思っちゃダメかな。」
「・・付き合う・・どこへ?」
「あー、えっと、違う違う。英語で・・なんてったっけ、『intercourse』
・・だっけ」
「なにいッ!?」
「え、違ってた? 交際・・ってことなんだけど。」
「ああ・・そっちね。」
「・・気になる?」
「どうして?」
「ジュリアも、多分、私と同じだと思うから。」
「・・気にするな。アンタの怖いもの知らずで、ガンガン突き進んで行く
とこ、アタシ好きだよ。」
「・・・・・・ウソつき。」
「ウソじゃないよ。確かに、魅かれるものがないといえばウソになる。
だけどそれは、逞しい胸にひかれるとか、そういった類のもので・・」
「??」
「・・女の一生って、ホント、ホルモンに支配されてるんだよなあ・・。
で、後からよくよく考えてみたら、アンタを好きなのも、アイツを好きなのも
さして違いはないってことに気付くんだ。これって、友情・・ってヤツかな。」
「!! ・・そんなもんなのかな。」
「そんなもんさ。」
「じゃあさ、手っ取り早く聞くけど・・それ、ファランでも同じこと言える?」
「その質問・・ちょっとムッとしちゃうな。」
「じゃあ、ポールは? レイさんは? 趣向をかえて、平八おじいちゃんは?」
「や・め・ろ!!」
「なーんだ、結局・・」
「違うってば!!」
「怖がってるだけじゃん。アンタも、アイツも。
「・・怖がってる?」
「ほら、すぐそういう顔をする。」
「…イヤなこと言うんだな。」
「んー、なんていうのかなあ・・。あれよ、あれ、ハリネズミのジレンマ。」
「なんだそりゃ。」
「ハリネズミ・・だったっけ?」
「知らない。でもアンタさ、なんかヘンだよ。」
「ヘンかな。」
「なんでアタシの肩持つの?」
「私も、ジュリアのこと好きだから。ジュリアのお母さんのこととか、三島の家
のこととか、よくわかんないけど・・」
「そりゃーどーも。」
「ホントいうと、私も自信ないもん。アイツになにかあったら・・そのとき、
私、アイツを好きでいられるのか・・」
「準さんみたいだな。」
「私もなれるかな、準さんみたいに。」
「なれるよ、きっと。」
「不幸にはなりたくないの。いい結末が欲しい。」
「・・その、ホームメードのチョコ? いったい、なにを作るつもりなの?」
「うーんとね、マシュマロの上に溶かしたチョコいっぱいかけて固めるの。
あと、同じ要領でクリスピーも!」
「アメリカ人の大好物じゃないか!! ひとつ、味見していいかな?」
「だめー!! これは、アイツとビデオみているときに、一緒に食べる予定
なの!」
「ケチ。それじゃアイツにあげたものを、アンタが食べちゃう、ってことじゃないか!」
「あーら、それだったらおじいちゃん達にあげるのだって、全部は食べきれない
から、アタシが半分ぐらいもらうんだよ。毎年。」
「・・アンタ、以外といやしいんだね。」
「悪いー? だってさ、実際は女の子の方が甘いもの好きなんだよ?
こんな美味しそうなモノ、男の人ばっかに食べさせるの、もったいないじゃん!」
「キモチはわかる。」
「あーあ、バレンタインデーにはチョコ、なんて誰が決めたのかな?」
「チョコには・・媚薬効果があるから。」
「アイツ、チョコ食べてくれるかな?」
「食べる。」
「ねえ、ジュリアは? ホントーに! チョコ渡さなくていいの?」
「アイツには、サブジェクトに『I LOVE YOU』って書いたメールでも送っとくよ。」
「・・・・・・速攻で削除されるよ。」
「そうだな。」
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