新説
桃太郎さん


むか〜しむかし、ある所に、お爺さんとお婆さんが住んでいました。
何故、「ある所」なのか、そして何故、この2人に名前が無いのか。
そんな事気にしちゃいけません。
まぁ、強いて言うならば、プライバシー保護のためです。
あ、ちなみに音声も変えております。

んで、
お爺さんは山へ柴刈りに、お婆さんは川へ洗濯に行きました。

お婆さんが『島唄』を口ずさみながら川で洗濯をしていると、
どんぶらこ、こらぶんど、と、大きな桃が流れてきました。
お婆さんはビックリして腰を痛めつつも、
とりあえず「特報王国」にでも出して賞金を頂こうと企み、
その桃を拾いました。
「明日の新聞の一面はもらったのぅ。」

しかし、そこで問題が発生しました。
その桃と、洗濯物とタライ、
これらをいっぺんに持って帰るのは至難の技でした。
おまけに、家まで片道5時間もかかるので、
一度帰ってまた取りに来る、というのは不可能でした。
「ここに物を置いといたら、確実に盗まれるのぅ。」
結局、お婆さんは根性で両方を持って帰る事にしました。

しかし、所詮はくたばり損ない。体力に限界がありました。
20分経ったあたりで、お婆さんは疲れ果ててしまいました。
「ふ〜、こりゃキツい。喉も乾いたのぅ。」
そこでお婆さんは、川の水を飲みました。
しかし、それがいけなかったのです。
その川には産業廃棄物の水銀が混ざっていたのです。
そんな毒の水を一気に飲んだお婆さんは、
たちまち水俣病になってしまいました。
ところで、水俣病ってどんな病気?(笑)
「こ、こんなことで…。ああ、刻が見える……にょ。」

がくっ。

何故、突然語尾に「にょ」をつけたのかは
現代の科学力を持ってしても未だ解明されていませんが、
とにかくお婆さんは力尽きてしまいました。
享年82歳。

一方、お爺さんは片道7時間かけて山に到着しました。
ところが、お爺さんは入り口でビックリしました。
なんと、山の入り口が柵とかで封鎖されていたからです。
周囲のプラカードには「自然破壊を許すな!」とか書かれています。
「…ま、他人の土地じゃからのぅ。」
いや、それって不法進入じゃねーか。
そんな事は気にもせず、
柵を乗り越えてさっさと中に入っていきました。

んで。

お爺さんは、斧ではなく刀を取り出しました。
そして、神経を集中させていきます。
「……はぁぁぁああっ!!! 奥義!!裂斬閃!!」
一気に気を解放し、刀を横に凪ぎ払いました。
すると、周囲の木が次々と斬られていきます。
あんたコレ、柴刈りじゃなくて森林伐採じゃんか。
「ふ〜、すっきりしたわい。」
そりゃ土地の持ち主も怒るっちゅうねん。
そしてお爺さんは、家路につきました。

お爺さんが家に帰っても、お婆さんの姿はありません。
「おかしいのぅ、いつもなら『ダ〜リン♪』とか言って
 抱きしめに来るというのに。」
その年になっても、まだそんな事をしてたのか。
心配になったお爺さんは、川へ向かいました。

そこでお爺さんが見たものは、
洗濯物とタライ、お婆さんの亡骸と巨大な桃だけでした。
「ば、婆さんや!しっかりしておくれ!」
返事がない。ただの屍のようだ。
「い、一体、どうして・・・。」
ふと目をやると、巨大な桃。
「き、貴様がやったんだな!おのれ、よくも!」
この桃でどうやって殺人をするのでしょう。
ともかく、お爺さんは桃を敵だと認識し、刀を抜きました。
「きええええっ!!」

ずばっ。

見事な一閃でした。
桃はまっぷたつに斬られました。
すると、なんと中から可愛い赤ん坊が出てきたではありませんか。
元気な男の子です。
しかし、お爺さんからすると憎き愛人の仇。
どんなに可愛かろうが、敵である事には変わりありませんでした。
お爺さんは容赦なく赤ん坊に斬りつけようとしました。

しかし、赤ん坊は強敵でした。
ひらりと身をかわし、お爺さんの背後に回りました。
「なっ……!!?」
赤ん坊は不気味な笑みを浮かべました。

ぴりゅ〜ん☆

赤ん坊の指が、お爺さんの首筋に突き刺さりました。
「ぐっ!?き、貴様!!その程度の攻撃でワシが怯むと……
 ……おあっ!?……あ……あべしぃっ!!」
突然、お爺さんの頭が吹き飛び、力無く崩れ落ちていきました。
「………にやり。」
赤ん坊はしっかりとした2足歩行でお爺さんの肉塊に近寄り、
手にしていた刀を奪い取りました。
そして、そのまま闇へと消えて行きました……。

そんな惨劇から1週間後。

あの時の赤ん坊はみるみる内に成長し、
身体もアレもたくましくなりました(謎)
彼は自分を「ジェームス=桃太郎=三木」と呼び、
「鬼ヶ島に行く」と言い出しました。
場所がわからないので街行く人に訪ねていきましたが、
なにせ生まれてからず〜っと全裸。
みんな嫌がって逃げていくばかりです。
そして役人が来ては桃太郎を取り抑えようとするのですが、
血染めの刀でバッサリと斬られていくだけでした。
その狂気ぶりに、本来仲間になるはずの犬・猿・キジは
すっかりビビってしまいました。
そうこうしている間に、桃太郎は鬼ヶ島にたどり着きました。

鬼ヶ島では、鬼たちが人間の若い娘をさらって、
あ〜んな事とか、こ〜んな事とかをさせていました。
さて問題です!
あ〜んな事とは一体何でしょうかっ!?
ヒントは「サンタルチア」です!

ピンポーン!

おっ、加藤さん早い!さぁ加藤さん、答えをどうぞ!
「ん〜、すいか割り!」

ピンポンピンポン!正解で〜す!

鬼たちは娘にすいか割り芸能人格付チェックをさせていました。

こうして鬼たちは毎晩、宴をしていました。
が、鬼の社会にも上下関係はあります。
新米のひよっこ鬼は、宴に参加できずに門番をやらされていました。
「あ〜あ、俺も芸能人格付チェックしたかったなぁ。」
本気ですか、それ。
と、その時。新米鬼は怪しい人影を見つけました。
「ん!?何者だ!?」
新米鬼は、このセリフを一度でいいから言ってみたかったので、
正直もの凄く嬉しく思いました。
しかし、その嬉しさもすぐに消えてしまいました。
なぜなら、全裸の成人男性が血染めの刀を片手に、
堂々と、そして誇らしげに歩いてきたのです。
「だ、誰やホンマにぃぃっ!!!?」
突然の大声に、他の鬼たちも出てきました。
「なんだよ、イキナリでかい声だしやがって……って、うおっ!?」
いくら鬼でも、ぐらいは隠すというのに、
桃太郎のこの威風堂々たる態度。
ビビる鬼もいれば、顔を赤くする鬼もいました。
「あら、たくましい……。」
などと、見事なホモっぷりを見せる鬼まで。
辺りが騒然とする中、
桃太郎は問答無用で鬼たちに斬りかかりました。
「ぎゃーっ!助けてぇーっ!?」

それから30分ほど。
鬼ヶ島は死体の山と化し、異臭がたちこめていました。
その死体の山の頂上にいるのは、もちろん桃太郎。
雄叫びをあげ、勝利の喜びに浸っていました。

それ以来、彼の姿を見たものはいませんでした。
だって、1週間で20歳だもん。
5週間後ぐらいには寿命で死んでるし。

おしまい



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