超未来ロボ

ドルァ・エームォン 2



今日も、無事に学校の授業を終えた。
普段なら、そのまま逃げるように家に帰るのだが、
今日は、少し用事があった。
週刊少年漫画雑誌、「六甲六甲」の発売日なのだ。
この雑誌は、お子様からお年寄りまで幅広い年代層に好まれ、
非常に人気のある雑誌である。

そして俺、ノービ=ノービッターも愛読者だ。
ついでに言うと、俺の家に勝手に居座った謎のロボット、
ドルァ=エームォンことランバ=ラル専用ポ(中略)も
こよなく愛しているようだ。

なけなしの財産で雑誌を買い、俺は家に向かった。
だが、やはり敵が待ち伏せしていた。
「いいモン持ってんじゃねーか、ノービ……!。」
俺の最大の敵、ゴーダ=タッケスィーだ。
「くっ、ゴーダ…!!」
「わかってんだろ?殴られたくなければ、大人しく
 その雑誌を俺によこしな!!」

ボコッ!!

もう殴ってるし。
俺はきりもみ回転して吹っ飛んだ。
ゴーダは雑誌を奪い取り、不気味に笑って歩いていった。
「く…っ、くっそぉ…!!」

例によってボロボロになって、なんとか家に着いた。
「ド、ドルァ……。」
部屋のふすまを開けた。
すると、なぜかタキシードを来たドルァが、
体中に香水をかけていた。
「…ドルァ、お前なにをしてるんだ…?」
「ん?おお、帰ってきたかノービよ。」
すっげぇ香水の匂いがキツい。
俺は思わず顔をしかめた。
「いや、今週の六甲六甲のグラビアは、
 永遠のアイドル、ミーちゃん(ネコ)なのでな。」
「だからって、なぜタキシードなんだ?」
「ふっ、現役のミーちゃんの姿を拝見できるのだぞ。
 俺は、この日のために20世紀に来たようなもんだ。」
「帰れボケ。」
「それはそうと、六甲六甲を早く見せろよ。
 買ってきたんだろう?」
「いや、実は……。」
「なにぃっ!?ゴーダに奪われただとぉっ!!!?」
「いや、まだ何も言ってないんだけど…。」
ま、話が早いから突っ込まないでおこう。
「この、バカ弟子がぁっ!!!」
突然怒りだし、俺を殴った。
「ごふぁっ!?」
「ノービ、貴様は日頃の鍛錬を怠っているから
 ゴーダなんぞにいいようにされるんだっ!!」
「そ、そんな事を言ったって……。」
「…まぁいい。とにかく、ゴーダを倒して雑誌を取り戻すぞ。
 お前にも、俺の武器を貸してやる。」
そう言って、胸にある大きなポケットに手を突っ込んだ。
がさごそ。
すると、突然!!
「げっげっげっげ……。」
ポケットの中から、不気味な笑い声がした。
そして、ポケットの縁に、黒く毛深い手が伸びてきた!!
「えっ!!?」
「あっ!!こら、出てくんな!!」
ドルァは慌ててそれを押し戻す。
俺は呆然としてしまった。
「ド、ドルァ…、今のは一体…?」
「えっ!?あ、な、何でもないっ!!今のは忘れて!!」
冷や汗をかきながら必死に隠そうとしていた。
気になったが、恐くてそれ以上聞けなかった。
世の中、知らなくて良い事もある。

ポケットから出てきたのは、「エアーバスターカノン」だ。
「素直に空気砲って言えよ。」
「今は横文字が流行りなんだよ。」

エアーバスターカノン……。
大気中の空気を吸収・圧縮し、
殺意の波動と、ほんのちょっぴりの勇気を混ぜ、
塩コショウを小さじ1杯加えてエネルギーにし、
それを弾丸にして放つ、というものである。
お好みで、七味唐辛子やわさびを加えても美味しいですよ。

「これを貸してやる。自分の身ぐらいは自分で守れよ。」
「お、おう。わかった。」
「では、行くぞっ。」

ゴーダは、いつもの空き地の土管の上で
俺から奪い取った六甲六甲を読んでいた。
「ゴーダっ!!貴様、俺のミーちゃんを返せ!!」
いや、俺の六甲六甲だよ、それは。
「ん?おお、お前は心の友っ!!」
「誰が心の友だっ、誰がっ!!」
しかし、ゴーダはうれしそうだった。
「見ろよ、このミーちゃんの脳殺ショット!!」
と、ミーちゃんのグラビア写真を見せた。
「おおっ、ミーちゃん!!」
ドルァは我を忘れてゴーダに走って近寄った。
「ちょ、ちょっと、ドルァ!!」
ゴーダと一緒にグラビアを見ていた。
「くぅぅっ、現役のミーちゃんはたまらんぜっ!!」
「おお、お前にもミーちゃんの良さがわかるのかっ!!」
「もちろんだっ!!ファンクラブ会員No.573020番だからなっ!!」
「俺もだっ!!No.1192番だっ!!」
ドルァはゴーダと意気投合しているようだった。
ゴーダを倒すんじゃなかったのか。
俺は呆れた。こいつら、手におえない。マジで。
仕方がないので、そのまま書店に行き、
もう1冊、六甲六甲を買って帰った。

それから4時間後。
ドルァが帰ってきた。
顔は紅潮し、何故か着衣は乱れていた。
「ふー、やっぱミーちゃんは最高だぜぇ…。」
鼻息も荒かった。ゴーダと何してたんだ、お前は。
ドルァは、俺が手にしていた雑誌に気がついた。
「おおっ、それは六甲六甲!!
 俺のためにもう1冊買ってきてくれたのかっ!!」
俺は有無を言わさず、顔面にスカイラブハリケーンをかました。
でも、一人でスカイラブハリケーンってのはちょっと……。
「ごるのばっ!!?」
「死ね!帰れ!」
結局、コイツは何しにここに来たんだ…。
とりあえず、ドルァを布団に包んでロープで縛り、
高層ビルの屋上からぶら下げた。
一生そうしてろ、と思った。
                     fin.

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