| 「Love Me」 世の中には信じられないような出会いがある。例えば僕と彼のような。 きっと普通に生活をしていれば、すれ違うことすらなかっただろう関係だった。誰もが知っているビジュアル系ミュージシャンで、自分の好きなことしかやらないワガママでスキャンダルの耐えない有名人チャペル。そして、京都の老舗和菓子屋の跡取りの僕。 出会いは新幹線に乗車しようとしていたプラットホームで。第一印象は最悪。困った人。それが向こうはそうでもなかったみたいで、ことあるごとに押し掛けてくる。 そんなこんなでこういう関係になってしまった。世間で言ういわゆる恋人同士。 どこを好きになったんだろうと今更ながら疑問に思うことがある。だって、……恋人になる前に信じられないことだが、幾度も無理矢理身体を繋げられたのだ。普通なら警察に付きだしたっておかしくない。 なのに、なんで? ……可愛いところ。 こう言うと彼は怒る。「お前の方がよっぽど可愛い!」って顔を赤くしながら。そういう時もしかして好かれてるのかなと思ってしまう。もちろん仮にも付き合ってるのだから、好きでいてくれることは疑っていない。ありがちな「好きと言ってくれない」悩みなんてものは存在しない。それでも、格好つけて「チャペル」の声音で囁いてくれるより、ただやきもちをやいたり、拗ねたりしてくれる方が子供っぽくてよっぽど愛情を感じられる。チャペルはみんなのチャペルだからね。カリスマボーカリストさんはどうやら自分が年下ということを結構気にしてるらしく、可愛いというと怒る。でも、可愛いんだからしょうがないでしょう?好き嫌いが多くて、やきもちやきで、くっつきたがりで子供みたい。 でも、僕を好きでいてくれる。 ヘッドフォンをつけていたウルフウッドが、それを取ってこちらに来る。そして、ぎゅっと抱きしめられた。 「何にこにこしとんのん?」 「ううん。何でもない」 それは、騒がしい日々の中にある、平凡な日常の一コマ。 「Love You」 世の中には信じられないような出会いがある。例えばわいとあいつのような。 きっと普通に生活をしていれば、すれ違うことすらなかっただろう関係だった。雑誌なんかにちょくちょく出とる有名な京都の老舗和菓子屋の跡取りとカリスマボーカリスト。 出会いは新幹線に乗車しようとしていたプラットホームで。第一印象は最高っちゅーか、一目惚れ。凛とした佇まいのべっぴんさん。 もう後は押せ押せやった。正直、自分から惚れたなんていう経験はほとんどなくて、黙っとれば向こうから寄ってくるから女には不自由しとらんかった。そのせいか何をしてええか分からへんかった。とりあえず仲良うならな話にならん。…後からいろいろ理由考えたりしてみんねんけど、結局はただ会いたかった。会う度にどんどん好きになる。 どこが好きとかたまに考えるけど、全部なんは分かり切っとる。 ……わいのことを怒るとこかもしらん。 今わいのことを怒るんはヴァッシュだけや。思えば初めて会うた時からずっと怒られっぱなしやった。特に食い物のことに関してはかなりうるさい。好き嫌いなぞ見つけようもんなら、翌日からありとあらゆる調理方法でそれがテーブルに並ぶ。…ま、ヴァッシュが作った思えば、今まで嫌いや思てたもんが美味く感じるいうのも不思議な話やな。それより、嫌いや言うたもんを食べて、美味い言うた時のヴァッシュの顔ときたら。これ以上ないっちゅうぐらい嬉しそうに笑う。「偉いね」って子供扱いしよって。どうもわいが年下なんを面白がっとるふしがあるけど、あんまり可愛いに笑うからどうでもようなってしまう。 わいを好きでおってくれる。 何故かこっちを見てにこにこ笑っているヴァッシュを、つけていたヘッドフォンを取って移動し抱きしめた。 「何にこにこしとんのん?」 「ううん。何でもない」 それは、騒がしい日々の中にある、平凡な日常の一コマ。 |
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word by Mutsuki Reizeiin |