雀のお宿です!夏の特別企画!!

リレーSS       
〜みんなで海水浴だよ〜


*1999年の夏休みは、あたりまえですが一度しかありません。
一夏の思い出に、記念としてこんな企画を始めちゃいました(^^)

(設定&詳細)

義父さん(keyさん)家の娘さん(瑞佳・茜・みさき・澪)とその友人、あと執筆者連中で仲良く海水浴旅行に行くことに(笑)

現在の参加者(執筆者)は、keyさん・はなじろさん・神凪さん・うとんたさん・除草剤さん・YOSHIさん・雀バル雀の6人です。

初日! keyさん。
リレーSS 〜みんなで海水浴だよ〜

 ☆序章あ〜んど旅行初日編なの☆ 

 k「ネット友達の神凪さんて人から夏休みだから海水浴に行きませんかってお誘いで
ね、
  ほんとに急なんだけど海水浴行こうと思ってるんだよ。みんな、予定は大丈夫かな
?」
 澪「(うんうん)」
 み「私は大丈夫だよ」
 茜「私も予定は入っていません」
 瑞「え〜っと、私、その日は…」
 茜「(ちらっ)お父さん、浩平や詩子を誘ってもいいですか?」
 k「勿論いいよ。日程さえOKなら、誰でも誘っていいからね」
 瑞「あ、茜。実はね、浩平は…」
 み「そうなんだ。じゃあ私も雪ちゃん誘いたいけどいいかな?」
 k「勿論。でも、行く、行かないは早めに、はっきりさせてね」
 み「うん、じゃあ早速電話してくるよ。澪、ダイヤルいいかな」
 澪「(うんうん)」(ぱたぱたぱた…)
 瑞「あ、あ、あのね、あのね…」
 茜「(聞こえないふり)瑞佳は七瀬さんとかを誘うんですか?」
 k「留美ちゃん? 構わないよ。予約するから連絡だけ早くね」
 茜「よかったですね、瑞佳。七瀬さんも誘っていいそうですよ」
 瑞「…ううっ、ありがと、茜。あした誘ってみることにするよ」
 茜「そうしてください。私は浩平と詩子に電話してみますから」

  (ぱたぱたぱた)
 澪「(かきかき)深山部長、OKだったの」
 み「お父さん。雪ちゃん、行けるんだって」
 k「そうかい。じゃあ、茜も浩平君と詩子ちゃんに確認頼むよ」
 茜「じゃあ、ちょっと電話してきますから」
 瑞「はああああ…」(しょぼん)
 澪「(かきかき)どうしたの?」
 み「…なんだか元気ないよね?」
 茜「(くすっ)その日誰かと出かける用事があったみたいです」
 澪「……」
 み「……」
 瑞「……」
 澪「(かきかき)みんな好きなんだから、抜け駆けはダメなの」
 み「(にっこり)ふ〜ん、私に黙ってそんなことしてたんだね」
 瑞「映画の招待券が手に入ったから浩平を誘っただけなのにぃ」
 茜「悪いことは出来ないものです」(ぱたん)
 澪「(かきかき)一緒に旅行に行きたいの。本当に楽しみなの」
 み「ほんとだよね、浩平君も一緒に旅行だなんて楽しみだよ♪」
 瑞「ふえ〜ん。浩平との映画がぁ。浩平とデートだったのにぃ」
 k「やれやれ。…さてと忘れないうちに神凪君にメールしとこ」

 …といった騒ぎがあったことはさておき、旅行当日である。

 み「このお弁当美味しいよ〜♪」
 浩「先輩、ちょっとペース速すぎるぞ。ゆっくり食べないと…」
 み「大丈夫だよ〜。まだまだ入るよ〜。次のお弁当頂戴だよ〜」
 浩「でも、次の駅に着くまで、買った弁当がもたないんじゃ…」
 雪「まったくあの子は…。でも駅弁ってこんなに作っても毎日売れ切れるのかしら?

 瑞「本当だね、積み上げた空き箱が天井に届いちゃってるよ…」
 k「いや、今日はみさきが電車に乗るって情報を流しておいたんだよ。有名だからね

 瑞「情報? いったいどんな?」
 k「今日、私たちが行く旅館と交通手段と乗る電車の時刻だよ」
 瑞「あ、だから今日、お弁当こんなにたくさん売ってるんだね」
 雪「有名って、みさき、あの子いったい何で有名なんですか?」
 k「あれ? 雪ちゃん、みさきが食べる量知らなかったっけ?」
 雪「……」
 茜「そういえば…、お父さん?」
 k「ん? 何か聞きたい事でもあるの、茜」
 茜「はい、一緒に来る大学生の方ってどんな人達なんですか?」
 k「ん〜。実は私もよく知っているわけじゃないんだよ。チャットで話するだけだし

 茜「そうですか…」
 k「まあ、いい人達だと思うよ。話をしてて感じた限りではね」
 茜「わかりました。お父さんがそういうのでしたら、信じます」
   ・
   ・
   ・
 み「浩平く〜ん、まだ食べ足りないよ。次のお弁当欲しいよ〜」
 浩「だから、もっとゆっくり食べた方がいいって言ったんだよ」
 み「浩平君、私が食べるの好きなの知ってるのにそんなこと言うなんて意地悪だよ〜

 浩「…意地悪してるわけじゃないぞ。先輩が全部食べたから一つも残ってないんだよ

 み「ふえ〜。浩平くん、お腹すいたよぉ〜」
 浩「頼むから、次の駅まで我慢してくれよ」
 み「次の駅ってどれくらい待てばいいの?」
 浩「え〜っと、1時間くらいだと思うけど」
 み「そんなに我慢できないよ。浩平く〜ん」

 k「…みさきが子供に戻ってる。あそこまではしゃいでるのを見るのも久しぶりだな

 雪「あの…おじ様、それだけなんですか?」
 k「うん? 他になんかある? 雪ちゃん」
 雪「折原君にみさきの面倒見ろっていうのはちょっと可愛そうなんじゃないかしら?

 k「そうかな? ま、たまにはいいでしょ」
 茜「(ぽつり)浩平も浩平です。浩平のためにケーキ焼いてきたのに姉さんばっかり

   ・
   ・
   ・
 詩「きゃはははははは♪ 楽しいね♪ きゃはははははは♪」
 浩「こらっ、じっとしてろ。こら待て、柚木っ。他の人間に迷惑かけるんじゃない!

 詩「あれぇ〜、折原君が3人もいるよ。だったら1人くらい私が貰ってもいいよね〜

 瑞「ダメだよ。3人でも5人でも浩平はみ〜んな私のなんだよ。誰にもあげないよ!

 詩「けちぃ、一人くらいくれたっていいじゃない。ねぇ、折原君もそう思うよねぇ〜

 浩「柚木、妙なことを言い出すんじゃない! 瑞佳もなに馬鹿なこと言ってるんだ!


 雪「…あの子たち、酔っ払ってるような気がするんですけど」
 k「…偶然だね。実は私もそんな気がしてたところなんだよ」
 茜「でも、買ってきたのは、ジュースばかりで、お酒なんか無かった筈なんですが…

 雪「そう言われてもね。私にはあの子達、酔っ払い以外の何者にも見えないんだけど

 k「私にも酔っ払いにしか見えないねぇ…」
 茜「それはそうなんですけど…」

 七「ちょ、ちょっと、澪! その笑顔でマジック持ってこっちに近づいてこないで!

 詩「(がしっ!)つっかっまえ〜たっ♪ 澪ちゃん、いいよ♪」
 七「ぎゃ〜! 人の顔にマジックで落書きなんかしないでよ!」
 澪「(かきかき)」
 詩「うわ〜、おもしろ〜い。ねえねえ、私にもなにか書かせて」
 澪「(うんうん)」
 詩「(かきかき)わ〜い、おもしろ〜い。もっと書いちゃえ♪」
 七「い、いや〜! ね、ねぇ、放して…。ぐ、ぐすっ、浩平〜」

 瑞「う〜、浩平!」
 浩「な、なんだ?」 
 瑞「どうして、浩平ってば、私にばっかり意地悪するんだよ…」
 浩「そ、そんなことはないぞ…」
 瑞「そんなことあるよっ。姉さんにはいっつも優しいしっ、澪はかわいがってるしっ

  茜の言うことだったら何でも聞いてあげるくせに、私には意地悪ばっかりしてるよ

  …わ、私だって、私だって、浩平が大好きなんだよっ、優しくして欲しいんだよっ

  私だって浩平から好きだよって言って欲しいんだよ…。ぐ、ぐす、ぐすっ、えぐっ

 浩「わ、な、泣くんじゃない。わかった、わかったから、泣き止んでくれ、頼むから

 瑞「本当だったら、今日2人で映画だったのに。浩平が海水浴なんか選ぶからだよ!

 浩「瑞佳、お前酔っ払ってるんじゃないのか? いつの間に酒なんか飲んだんだよ?

 瑞「そうやってすぐ誤魔化そうとして! 私がおひゃけなんか飲むわけないひゃらい

 浩「……」

 k「…う〜む、やっぱ、みんな酔っ払ってるな。茜、本当にお酒持ってきてないの?

 茜「きていません。買い出しは私がしたから間違いないです」
 雪「確かに、ビールもお酒もウィスキーも見当たらないわね」
 k「う〜ん、なぜなんだろうな? …あれ?」
 茜「? その空き瓶がどうかしたんですか?」
 k「…ざ・かくてる・ばあ かしすそおだ?」
 雪「カクテル? それってお酒じゃないの?」
 茜「そうなんですか? 私はジュースだとばっかり思ってました」
 k「カクテルはジュースとお酒を混ぜたもので間違い無いんだが」
 茜「そうなんですか」
 k「そうだよ。でも、なんでまたこんなやつ買ってきたんだい?」
 茜「中身が綺麗だったものですから、思わず買ってしまいました」
 k「ふむ、となると、肝心なことは、みんな間違い無く酔っ払っているってことだな

 雪「そうね、そういうことになるわね。どうするつもりですか?」
 k「もちろん」
 雪&茜「「もちろん?」」
 k「ここは浩平くんに任せて、私は目的地まで別の車両で寝るよ」
 雪「……」
 茜「……」
 雪「いい考えね」
 茜「そうですね」
 k「じゃ、浩平君がこっちに気づく前に移動することにしようか」
 雪「はい」
 茜「はい」

 七「浩平〜、助けてよ〜」
 詩「きゃははは、折原君♪」
 瑞「こうへぇ、むにゃむにゃ」 
 み「浩平くん、お腹すいたよ〜」
 澪「(かきかき)$&%¥?><」(酔っ払っているため、みみずの盆踊り書体であ
る)
 浩「…誰か戻ってきて手伝ってくれ」

 ちゃんちゃん。


 ☆旅行初日編えぴろ〜ぐ☆
 
 茜「もう11時です」
 瑞「大学生の人達遅いね」
 み「ふぁぁ〜、もうだめだよ」
 七「そうね、私も電車での疲れが」
 茜「浩平も、もう寝てしまいましたし」
 雪「折原君、電車の中で大変だったものね」
 詩「…ねえ、茜。私、七瀬さんになんかした?」
 澪「(かきかき)私も訊きたいの。避けられてるの」
 茜「詩子。澪。憶えてないなら、訊かない方がいいです」
 雪「そうね。世の中には知らない方が幸せって事もあるしね」
 k「二人とも、そのへんで止めておきなさい。絶対後悔するから」
 澪「(かきかき)聞くのが怖くなってきたの。詩子さんにまかせるの」
 詩「なんか聞かない方がいいみたいだね。やっぱり忘れようか、澪ちゃん」
 瑞「こんな時間になっても来ないなんて…事故とかじゃなければいいんだけど」
 k「仕方ないな。紹介するのは明日にしよう。みんなもう部屋に戻って寝ていいよ」
 み「でも、わたし達だけ先に寝ちゃってもいいのかな。ご挨拶もしてないのに」
 k「まあ、今日会えないのは残念だけどね。でも、明日もあることだしね」
 瑞「そうだね。じゃあ、みんな部屋に戻って寝ようか。忘れ物ないね」
 茜「あ、忘れるところでした。浩平が眠れるようにおまじないを」
 瑞「はぁ〜、そうくると思ったよ。ダメだよ、茜」(ぎゅっ)
 茜「きゃっ。瑞佳、何をするんですか。放してください」
 瑞「じゃあ、何をするつもりだったのか言えるの?」
 茜「それは浩平と…。やっぱり恥ずかしいです」
 瑞「やっぱり。絶対キスなんかさせないよ」
 茜「どうしてキスだとわかるんですか」
 瑞「何年の付合いだと思ってるんだよ。帰るよ」
 茜「痛いです。耳を引っ張らないでください、瑞佳」
 瑞「ダメだよ。さっさと部屋に戻るんだからね」
 茜「瑞佳、止めてください。戻りますから」
 瑞「この部屋を出たら放してあげるよ」
 茜「痛いです、瑞佳。痛い、痛い」
 瑞「お父さんお休み」(ずるずる)
 雪「…凄いわね。びっくりしたわ」
 み「そうかな? いつもの事だよ」
 澪「(かきかき)もう見飽きたの」
 雪「……」
 k「(苦笑)はいはい、明日に響くからね。さっさと寝なさい」
 み「は〜い。雪ちゃん、戻ろうか。お父さん、おやすみなさい」
 雪「そうね。じゃ、おじ様おやすみなさい」
 澪「(かきかき)おやすみなさいなの」
 k「はい、おやすみ。また明日ね」
   ・
   ・
   ・
 (がらがらがら)

 神「こんばんわ〜」
 は「お邪魔しま〜す」
 う「はじめまして〜」
 除「遅くなりました」
 k「お、いらっしゃい。遅かったね。もしかして事故にでもあってるのかと心配した
よ」
 神「あ、すいません。ちょっと途中でトラブルがあったんで」
 k「ふ〜ん。ところで4人だけ? 5人じゃなかったっけ?」
 は「あ、雀バル雀さんは都合で途中から合流になるそうです」
 k「そうなんだ。ふむ、ここで自己紹介と行きたいところだけど、もう寝かせたから
  お互い自己紹介は明日ということにして、今日は風呂だけ入って来て寝てください

  それから、現実世界ではこれがはじめましてですね。私がkeyです。よろしく」
 神&は&う&除「よろしくお願いしま〜す」 
   ・
   ・
   ・
 う「あ〜、いい風呂だった〜。今日はゆっくり寝れそうです」
 除「そういえば、YOSHIさんもまだ着いてないんですか」
 k「到着が真夜中になるから寝ててくれって連絡受けてるよ」
 神「そうなんですか、ちょっと残念ですね」
 k「いいんじゃない? その方が娘も一度に紹介できるしね」
 は「そうかも知れませんね。明日を楽しみにしてもう寝ます」
 k「そうだね。じゃあ、もう遅いし寝るとしよう。おやすみ」
 神&は&う&除「は〜い、keyさん、おやすみなさいです」

 (がらがらがら)
 
 k「誰だ? あれ、澪、どうしたんだ。忘れ物でもしたの?」
 澪「(ふるふる)(かきかき)違うの」
 神「(え、澪ちゃんだって?)」
 は「(あ、本当だ、本物だあ)」
 う「(ゆ、ゆ、ゆ、浴衣姿…)」
 除「(生きててよかった〜♪)」
 k「(ちらり)そうだね、知ってると思うけど紹介しておくよ。私の娘の一人で澪で
す」
 神「神凪 了です」
 は「はなじろです」
 う「うとんたです」
 除「除草剤で〜す」
 澪「(うんうん)(かきかき)はじめましてなの」
 k「じゃあ、自己紹介も済んだことだし、早く帰って寝なさい」
 澪「(ふるふる)(かきかき)一緒に寝るの」
 k「一緒に寝るって、あっちの部屋に来て寝ろと言うことかい」
 澪「(かきかき)こっちの部屋でいいの。お父さんと寝たいの」  
 k「あのね…、この部屋は見ての通り男しかいないんだよ。危ないからダメ」
神「お義父さん、澪ちゃんに変なこと吹き込まないで下さい」
は「お父さんの娘さんに変な事するわけ無いじゃないですか」
う「そうそう、そんな奴は許しておきませんよ! お父さん」
除「お父さん、大丈夫ですよ。僕に任せておいてください!」
k「(じろり)どさくさに紛れて私をお義父さんなんて呼んだのは誰だい?」
神「う…、鋭い…」
k「ということで、澪は部屋に帰って寝なさい。また明日ね」
澪(きょろきょろ)(にっこり)(ぱたぱたぱた)(ぽふっ)
k「おっと…、こらこら、こんなところで抱き着いちゃダメ」
澪「(かきかき)や、帰らないの。お父さんと一緒に寝るの」
k「ダメだって言ってるでしょ。わがまま言ってたら怒るよ」
澪「(かきかき)大丈夫。いい人達だと思うの。心配ないの」
k「そうは言っても、心配なんだから…言う通りにしなさい」
澪(いやいや)(ぎゅっ)(ふわあぁ〜)(く〜)
k「澪。お父さん本当に怒るよ、ってもう寝てる」
は「澪ちゃん、寝顔もかわいいなあ〜」
う「なんかほっぺた、ぷにぷにしたい」
k「はあ〜、仕方ないな。じゃあ、今日は一緒に寝るとするか。でも君たちいいの?

除「何がなんですか?」
k「わかってないのか」
神「う〜ん、なんだろ」
k「ま、いいや。澪に信頼されたんだからね、判ってるね? じゃあ、私は寝るから

は「は〜い、おやすみなさい」
除「おやすみなさいです」



澪(むにゅむにゅ)
神「ね、眠れん…」
澪(うにゅ〜、ころん)
は「目の前にいるのに」
澪(くすくす…、ふにゃふにゃ)
う「手を出せないのがこんなに」
澪(うんうん、にっこり)
除「辛いものだなんて…」
澪(く〜っ)
   ・
   ・
   ・
 Y「はぁ〜、やっと着いた。やっぱり、もうみんな寝てるんだろうな」

  (がらがらがら)

 Y「こんばんわ〜。遅くなり…。な、なんだ? この異様な空気は?」

  (………………)

 Y「異様な緊張感に妙なうめき声まで聞こえてくるような気がするぞ」

  (………………)

 Y「…朝まで時間を潰してきた方がよさそうだな。いいとこあるかな」

  (がらがらがら)
 
…澪に信用された上で、寝乱れた浴衣姿の澪に悩殺される彼らの運命はどうなるのか

 初日から先行き多難なこの旅行。いったい何が起きます事やら。
その辺は2番手のはなじろさんにお任せして、旅行一日目のお話はこれにておしまい

  2人目に続く
2日目!はなじろさん

○旅行2日目 〜 人は独りじゃ生きていけないの 〜


――― おはよーっ!

みんなで来た海水浴2日目。
旅先で迎える最初の朝。
今日も元気の良い挨拶で一日が始まる。


和洋折衷の、ホテルともとれる大きな旅館のロビー。
まだ朝も早いので人気はほとんど無い。そんな中、寝不足のハイモードなのか、やけに目をギラつかせた大学生3人が真剣な顔で議論を講じていた。内容はと言うと・・・。

はなじろ「……まずは澪をkeyさんと浩平から引き離す事……」

そう。偶然集まってしまった澪萌え三人衆が、このチャンスに澪を如何にモノにするかと言う緊急会議であった・・・(クダラナイと笑いたくば笑えい!)。

うとんた「あれ?はなじろさんは関係無いでしょ?」
はなじろ「え?!」

突然の言葉に驚くはなじろ。その真意に気づかず反論できないのが彼の甘さであった。

神凪「そうそう。はなじろさんには関係無いよ。」
うとんた「だよね」
はなじろ「なんで?なんで〜???」

ここぞとばかりにはなじろへの集中口撃が始まる。

うとんた「だって、佐祐理さんはどうでもいいって言うの?」
神凪「千鶴さんに萌え萌えって聞いたよ?」
うとんた「葵ちゃんも捨てがたいって言ってたよね?」
はなじろ「え?え?え?だって、だって……」

何の事は無いこき下ろしだ。ライヴァルは少ない方がいい。もう競争は始まっているのだ。はなじろはその辺が分かっていない。

はなじろ「そんなこと言ったら、神凪さんだって、うとんたさんだって!」
神凪「いーぃえー!神凪は澪ちゃん一筋ですよ!」
うとんた「当然、僕も他の女の子なんて見えませんねー」

二人の見事な連携プレイ。大勢で少数を攻めるのは戦術の基本だ。

うとんた「某所のヒロイン人気投票でTLS2のかすみに入れてたとか?」
神凪「TLS2って言や、君子のイベントを出すのに心血注いでましたね?」
うとんた「後書きに千夜を使ってるのは結局好きだからでしょ?」
はなじろ「う、うぐぅ……」
神凪「それになにより……」

うとんた&神凪「加奈ちゃんはぁーっ?」

はなじろ「はぇ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」

澪争奪サバイバルレース。早くも脱落者1名確定・・・。


教訓 : 昨日の友は今日の敵

       ・
       ・
       ・

朝食の時間。

この旅館では各部屋で朝食をとることが出来るのだが、「どうせなら自己紹介もあわせて、みんなで会食しよう」と言うkeyの計らいで旅館内にあるレストランで食べる事になった。ちなみにその場合は別会計になるのだが、全てkeyのおごり。さすがは社会人。太っ腹である。
実生活で嫌な事でもあったのか隣のBARで独り酔いつぶれていたYOSHIも合流して会食が始まった。

各人の個性溢れた自己紹介は場を和ませ、料理は値段からは想像がつかないほど美味なものであった。最も警戒心の強い茜ですらポツリポツリとだが、会話に自ら参加してくるぐらいだったのだから、当初の雰囲気の良さはお墨付きである。

しかし・・・

みさき「雪ちゃ〜ん、このポテトサラダもう一皿だけお願い☆」 

皆、青い顔をしていた。言うまでも無く、みさきの食べっぷりに、だ。
バイキング形式と言うのがイケナかった。また、それが必要以上に美味しいと言うのが不味かった。

雪見「……」
浩平「先輩……もう、そろそろ……」

場の雰囲気を気にした浩平が思いきって止めにはいる。いや、はいれたと言うのが正しいだろう。なにしろ、みさきの保護者でその半生をずっと見つづけてきていたkeyですら絶句していたのだから。

みさき「えーっ!まだ食べ足りないよぉ〜」

みさきの言葉にレストラン中の人間が凍りつく。

除草剤「話には聞いていて、分っていたつもりだったんだけど……」
神凪「確かに……聞きしに勝る……」
澪『いつも以上なの……』
茜「……」
瑞佳「わたし……ちょっと、ごめんなさい……」

瑞佳はそう言い席を立った。その顔は蒼白になっている。

七瀬「あたしも……」
詩子「ん……」

雪見を残して、女性陣はバタバタと席を空けてしまった。
残っている雪見にしても、みさきに気を使ったわけではない。固まっているだけだ。

みさきの口に入った料理は優に20人前を超えていた。他の人間が自分の分を食べている最中に、である。もっとも、皆、みさきの食べっぷりに飲まれて、箸が止まっていたが・・・。

YOSHI「う……見てるだけで昨日の酒が……」
うとんた「このお店、ツブレルんじゃないですか……」
key「う〜ん……」 

その光景を見て、密かな野望を挫折させている男が居た。

はなじろ「(……ダメだ。流石にあれほどの人とは……)」


はなじろは今朝、澪萌えトリオからツマハジキにされたあと、考えた。
 
 (仕方ない。澪は今回は諦めよう。どうせkeyさんのガードが一番固い娘なわけだし……誰も落とせないだろうさ)

 もちろん、負け惜しみである。

 (でも、折角のこの旅行を男独りと言うのは寂しすぎる……誰か別の子と思い出を残せれば、まだ……)

 これを「節操が無い」と言う。

 (他の子となると……瑞佳……はダメだ。こいつはなんだかんだ言って浩平の本命だ。この間に入るのは難しい)
 (茜……もダメだな。警戒心が強すぎる)
 (詩子もパス。嫌いじゃないけど、振り回されそうなのは見えてるしな)
 (となると残りはみさき、七瀬、雪見の3人か)
 (この中ではなんと言ってもみさきだろう。可愛いし。警戒心があるような無いようなトコロがあるからな。落としやすいだろう……よし、決定!)


だが、その目当てにした女の子は目の前で何十個目になるか分からないマフィンにジャムをたっぷりと付けて頬張っていた。

はなじろ「(人として造りが違うよ……旅行中、この子の食べっぷりを隣で見てるのは流石に……)」

浮気候補1人目はあえなく潰えた。

みさき「ねえ、雪ちゃ〜ん……もう……誰でもいいから、ポテトサラダとスクランブルエッグの御代わりとって来てよ〜」


教訓 : ま、とりあえず、お約束ですし

       ・
       ・
       ・

場面変わって、とある列車の中。

ポニ子「結構、時間かかるわねぇ……着くの夜になっちゃうんじゃないの?」
雀バル雀「さ、繭。ポテトチョップスのテリヤキバーガー味だよ」
繭「みゅ〜♪」

繭の都合のため一日遅れで旅館へと向かっている一行であった。

ポニ子「はぁう……電車代ケチって、鈍行になんて乗るから……」
雀バル雀「ほらほら、零してるぞ」
繭「う〜……」

ポニ子の事は全くのアウトオブ眼中(死語)と言った感じで、雀バル雀が繭の世話をする。

ポニ子「って、シカトしてんなぁ!」
雀バル雀「ウルサイな……お前は勝手についてきたんだからさぁ」
ポニ子「当たり前でしょ!繭ちゃんとあんたを二人っきりにするなんて危ない事が出来るか!」
雀バル雀「人聞き悪ぅいな〜」
ポニ子「あたしと華穂さんがあの日にたまたま会って無かったら一体どうなっていた事か……」


 旅行のわずか二日前、ポニ子は雀バル雀のアパートへアルバイトに行く途中で華穂に呼びとめられた。

 華穂「あ!ポニ子ちゃん、明後日はホント宜しくお願いしますね。雀バル雀さんも悪い人じゃあないと思うんですけどねぇ……」
 ポニ子「『ポニ子』じゃないです!え?明後日の事ってなんですか?」
 華穂「旅行の事ですよ?繭は学校の関係で皆さんより遅れていくから、雀バル雀さんとポニ子ちゃんに連れていってもらうんですけど?」
 ポニ子「ええ!そんな話聞いて無いです?!」
 華穂「そんな!私は雀バル雀さんからその様に連絡を受けていて……」
 ポニ子「あ、あいつはーっ!」


と言うわけで、ポニ子もついて来ることになったのであった。

ポニ子「あんた、あたしをダシにして繭ちゃんをどうするつもりだったのよ!」
雀バル雀「別に……ただ、旅館まで引率するだけだよ」

露骨に目をそらす雀バル雀。

ポニ子「信用できるか!……危うく、雇い主を犯罪者にしちゃうトコだったわ……」
雀バル雀「そこまで言うか……それにしても、お前、華穂さんと知り合いだったんだな?」
ポニ子「家が近所だからね。ま、深い付き合いは繭ちゃんがウチの学校に来るようになってからだけど」
繭「うん……ポニ子お姉ちゃんの家、近く……」
ポニ子「『ポニ子』じゃないもん!『長森EDのラストシーンで外を眺めている青髪のポニーテール美少女』!……とにかく!繭ちゃんに変なちょっかい出さないでよね!」
雀バル雀「あぅ〜」
繭「みゅ?」


教訓 : 敵を欺くにはまず味方から(ちょっと違うか……)

       ・
       ・
       ・

陽もすっかりと昇りジリジリと肌を照りつける頃、みんなで海岸に来ていた。
……この時間になったのは、全員のみさきのパフォーマンスによるダメージが抜けきるのを待っていたためだったりする……。

詩子「わっ!綺麗な海だよーっ、茜!」
茜「……そうですね」

最も早く回復した詩子がやはり一番元気が良い。
付合う茜の顔には今だ陰りがあったが、それもいつもの事か。

うとんた「澪ちゃ〜ん、こっちこっち!」
神凪「澪ちゃん!あっちの岩場に行ってみようよ!」
澪『……』(う〜ん、困ったの)

澪争奪戦は二人になり劇化していた。が、澪にその気が無いのは誰の目にも見え見えである。二人の幸福は遥かに遠いようだ。

瑞佳「浩平〜……約束……」
浩平「分かった分かった!」

元々は二人でデートするはずであったのだから、という瑞佳の言い分で、浩平は今日一日は瑞佳に付合うと約束させられていた。
これは皮肉にも澪−浩平ラインを分断する目的ではなじろが考案した計画である・・・。

みさき「雪ちゃん、そろそろお腹空かない?なんだか美味しそうな匂いがしてくるけど?」
雪見「……みさき……」

雪見の脳裏には「無間地獄」と言う単語が飛び交っていた。
みさきはすでに抵抗する気力も無くなった雪見を急かして、美味しそうな匂いのもとへと着実に歩みを進めていく。

また、別の場所では人生相談が始まっていた。

YOSHI「keyさーんっ!例の件ですけど〜っ」
key「何もこんな所にまで来て……」
YOSHI「ううう〜……」
key「ハイハイ。そういう場合はですね」

皆、それぞれがそれぞれに海水浴を楽しんでいる(?)。そんな中、ポツンと一人で立っている少女が居た。

七瀬「……」

はなじろ「(うむ。こうなる事は予想済みだ)」

2学年途中からの転校生と言う事もあるが、性格によるものが大きい。
大勢で騒ぐ場合は率先するぐらいなのだが、少数の人間に対しては遠慮が先走って仲間に入っていけない、そんな性格なのだとはなじろは七瀬の性格を読んでいた。

はなじろ「(そして、ナナピーを攻めるにはロマンチックな方向と言うのが定石だ!)」

幸いにして近くには洞穴があった。ロマンチックかどうかは分からないが、そういう所に男女が二人して迷い込むと言うのは恋愛モノの王道だろう。

除草剤&はなじろ「七瀬さん、あっちに洞穴があるそうだけど、一緒に見に行ってみない?」

ビシリ!と空気が鳴った。

除草剤「はなじろさん!あなた澪萌えだって言ってたじゃないですか!!」
はなじろ「こっちも色々ありましてね……悪いけどここは引けませんよ」
除草剤「それはこっちの台詞です。にわかファンなんかこのチャンスを譲れますか!」 

視線と視線の間で、正に火花が飛び散る。
七瀬自身は二人の男に争われる身と言う事で満更でもない様子だ。

除草剤&はなじろ「七瀬さん!僕と行きましょう!」
七瀬「じゃ、じゃあ、あの小島までの遠泳競争で……」

二人の勢いに押されて、思わずあんまりに「らし過ぎる」展開にもっていく七瀬。作者としても痛いです。

はなじろ「ゲっ……水泳勝負……」
除草剤「良いでしょう」

ものの見事に意見が分かれた。わかりやすい反応である。

七瀬「頑張ってくださいね(ニッコリ)」

       ・
       ・
       ・

競泳は・・・言うまでも無く除草剤の圧勝に終わった。
どころか、はなじろが戻ってきた時には除草剤も七瀬もすでに居なかった。

はなじろ「……」

この人数で来ているのに、海岸に独りぼっち。
家を出る時には考えもしていなかった最悪の状況である。

と、人生が分からなくなり今まで泳いでいた海を眺めるはなじろに、後ろから女の子の声がかかった。

???「あの……お疲れ様でした」

はなじろが振り返ると、そこに居るのは詩子。

詩子「これ、どうぞ♪」

詩子は手に持っていたジュースとタオルを差し出す。

はなじろ「(じ〜ん)あ、ありがとう……」
詩子「いえいえ(ニコリ)」

意外に感じながらも、詩子の笑顔に心底感動するはなじろであった。


 十数分前の事・・・。

 詩子「茜、あれ」

 そう言った詩子が指差した先には除草剤によって洞穴の方へとエスコートされる七瀬の姿。

 茜「私には関係ありませんから……」
 詩子「まあ、ね。でも、ほら」

 今度は未だに必死で泳いでいるはなじろの姿を指差す。

 茜「あの人が何か?」
 詩子「ふふふっ……帰ってきたら、きっと寂しい思いするだろうねぇ」
 茜「詩子……何か企んでいますね?」
 詩子「うふふふふふ……」


詩子「留美さんもヒドイですよねー」
はなじろ「まあ、遅くなった僕が悪いんだし……」

もはや負け犬が確定しているのだが最後のプライドか精一杯強がるはなじろに、詩子は普段見せないような暗い表情で言った。

詩子「私も……寂しがり屋だから分かりますよ」 
はなじろ「え?」
詩子「普段は騒いでますけどね……でも、それは寂しいからなんですよ」
はなじろ「……」
詩子「茜も最近は折原君の方しか見ていないし……」

如何にも無理やり造ったと言う笑顔(マルチが最後に見せるあの笑顔だ!)で詩子は言葉を繋げる。

詩子「ホントはですね、今も寂しくてしかたないんですよ」

この瞬間、はなじろが旅行中、詩子のパシリになる事が決まった・・・。

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雀バル雀「あれ?はなじろさん、何やってんの?」

夜になりやっと着いた雀バル雀、ポニ子、繭の3人は、はなじろの必死に詩子の世話を焼くその光景を不思議そうに眺めていた。


教訓 : 女性は魔物。笑顔の裏には何かあります!


――― おやすみ

みんなで来た海水浴2日目。
旅先で迎える2回目の夜。
今日も気持ちの良い挨拶で一日が終わる。

明日も良い一日でありますように。

(文中敬称略で失礼しました)


はぁう〜!ギャグSSて難しいよ〜(>0</
神凪さんお後宜しく〜♪


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