・Next Another Story of Ipatugekijyo 2
ONE必殺季節人
「論争無用」
瑞佳「ひどいよ七瀬さん!…こんな人だなんて思わなかったよ!ううう…」
七瀬「あたしだって!見損なったわ、瑞佳!」
住井「二人とも、なにを言い争っているんだ?」
南 「温厚な長森さんがここまで激高するなんて…どうしたの?」
瑞佳「ううう…住井君…南君…聞いてよ、七瀬さんたら…
『【必殺仕置人】が必殺シリーズ最高の作品だ』なんて言うんだもん」
南 「はあ?」
住井「それのどこが酷いんだ?」
瑞佳「わからないの?・・・【新必殺仕置人】こそ必殺シリーズの最高峰だもん!
中村主水、念仏の鉄、巳代松、おてい、正八、虎、死神・・・
彼ら魅力的なキャラクター達が織りなすエピソードの数々・・・」
七瀬「ふん、八丁堀に鉄っあんまではわかるけど、巳代松はねぇ・・・
あの竹鉄砲、球の弾道は美しいけど、一発しか撃てないし、射程がすごく短いじゃない。
それに比べて棺桶の錠のあの槍さばきの格好いいこと・・・やっぱり無印仕置人ね」
瑞佳「だからいいんだもん! 松っあんのあの殺しの緊張感の良さがわからないなんて馬鹿だよ!
それに私、七瀬さんが新仕置人の最終回観て泣いたの知ってるもん!」
七瀬「うっ・・・、そ、それは鉄っあんの最期を見てしまったからよ!
最終回だからといってレギュラーメンバーを死なせばいいもんじゃないわよ!
無印仕置人はちゃんと捕まった仲間を助けて終わったわ。やっぱり犠牲者無しで終わるのが一番よ!」
住井「まあまあ、同じ仕置人好きどうしなんだから、言い争うのやめなよ」
瑞佳「ちがうもん!」
七瀬「やっぱり無印仕置人よねぇ・・・。ところで、住井君は必殺シリーズでは何が好き?」
住井「俺? 俺はやっぱり【助け人走る!】かな?
やっぱり困ってる人がいたら助けなきゃ。これぞ正に正義だぜ!」
瑞佳「助け人? 駄目だよ、タイトルから「必殺」の文字が抜けてるし、
殺しじゃなくて人助けがメインなんて。
やっぱり悪い奴に仕置きしないといけないもん!
それに『必殺の顔』中村主水が出てなきゃ」
住井「出てるぞ!『同心大疑惑』の回に一回だけ」
七瀬「知ってるわよ。あの時八丁堀を仲間にしといたら後々苦労をしなくてすんだかもしれないのに」
住井「苦労したから最終回に島帰りの竜の格好いい最期が見れたんだ!
『ここは俺に任せて、早く!』だぜ! 男だったら一回言ってみたいよなぁ、南」
瑞佳「最期だったら鉄っあんの最期の方が格好いいもん! ねぇ、南君」
南 「・・・悪い、みんな。俺にも譲れない作品があるんだ・・・」
七瀬「何よ?」
南 「・・・【影同心】・・・」
瑞佳「・・・でさぁ、あの生ける屍となった松っあんの殺しを正八とおていが大八車で助ける場面・・・」
住井「うーん・・・。確かにくるものがあるよな、あのシーンは・・・」
七瀬「悔しいけどあたしもさすがにジーンときたわ・・・」
南 「なんだよ、みんなして無視して!」
住井「あのなぁ、南。影同心は必殺シリーズじゃ無いぞ」
七瀬「亜流よね」
瑞佳「亜流だもん」
南 「いいじゃないか! 影同心だって一応必殺の流れを組む時代劇なんだぞ!
続編だって作られたんだ! みんなして亜流、亜流って・・・」
茜 「それでも所詮は亜流です・・・」
南 「さ、里村さんまで・・・!」
瑞佳「里村さん、やっぱり必殺は新仕置人だよね」
七瀬「無印仕置人よ!」
住井「助け人!」
茜 「いいえ・・・私は【必殺からくり人】が一番だと思います・・・。
名脚本家の早坂暁氏が全13話中10話の脚本を手がけ、
視聴者の印象に残る数々の名エピソードが生まれています」
七瀬「それなら仕置人だって負けないわよ!」
茜 「名作だと思われているだけではなく、
『津軽じょんがらに涙をどうぞ』の回はギャラクシー選奨を受賞していますし、
11・12・13話は『最終三部作』と讃えられています」
瑞佳「新仕置人だって40・41話は『必殺の最高峰』って言われてるもん!」
南 「どうして・・・影同心について・・・語ってくれないんだ・・・。
なぁ、そこの女の子、こんな俺をどう思う?」
澪 『どうってこと無いの』
南 「もうだめだ〜」
茜 「澪ちゃんには好きな必殺シリーズはありますか?」
澪 『【必殺仕業人】が最高なの』
七瀬「え? あの暗い話が好きなの?」
澪 『それは放映当時オイルショックで世の中が暗かったからなの』
七瀬「あんた、幾つよ?」
瑞佳「仕業人といえば・・・」
澪 『赤井剣之助とやいとや又右衛門なの。やいとやがドライで格好いいの』
先輩「あ、必殺の話してるんだ。私達も混ぜてよ」
瑞佳「みさき先輩に深山先輩も必殺ファンなんですか?」
七瀬「先輩達は棺桶の錠のファンですよね!」
茜 「みさき先輩なら仕掛けの天平さんの気持ちをわかってくれると思います・・・」
澪 『部長は前に捨三が好きって言ってたの』
先輩「私が好きなのは糸井貢だよ」
住井「・・・と、いうことはみさき先輩が好きなのは【暗闇仕留人】?」
先輩「そうだよ。雪ちゃんもだよね?」
澪 『捨三は仕留人には出てないの』
部長「ごめんね・・・、みさき。
仕留人は以後の主水シリーズの流れを考えると、時代設定に無理があるから・・・」
先輩「ひどいよ雪ちゃん!友達だと思っていたのに!・・・・ううう・・・」
部長「七瀬さん、私は同じ沖雅也でもクールな市松の竹串を使った華麗な殺しが好きなのよ」
瑞佳「深山先輩は【必殺仕置屋稼業】のファンですか」
七瀬「そんな! 熱血漢の錠の方が男らしいのに・・・」
先輩「どうして・・・どうして・・・みんなインテリの貢さんの苦悩をわかってあげないの!
八丁堀も冷たいよ・・・」
部長「これも市松の為・・・許してね、みさき」
ばしい!
先輩「・・・なりませぬ・・・許してはなりませぬ・・・ううっ・・・」
部長「・・・みさき」
七瀬「あらら・・・みさき先輩泣いちゃった・・・・って!ぎゃあああああ!!!」
繭 「みゅー♪」
七瀬「髪ぃ!!・・あたしの髪があ!ま、繭、やめなさい!!」
繭 「みゅー♪」
瑞佳「そうだ!繭の好きな仕置人は誰? もちろん、松っつあんだよね?」
七瀬「いたたた!!ち、違うわよ!繭はたぶん錠が・・・って、ぎゃああ!髪引っ張らないで〜!」
住井「いやいや、中村文十郎だと思うぞ」
茜 「・・・天平さんです」
澪 『剣之助なの』
先輩「ううう〜〜貢さ〜ん!!」
部長「印玄かも?」
ふるふる
繭 「・・・緒方拳の・・・」
茜 「では時次郎さんですか」
ふるふる
瑞佳「じゃあ、【必殺必中仕事屋稼業】の知らぬ顔の半兵衛?」
ふるふる
繭 「・・・藤枝梅安・・・」
全員「【必殺仕掛人】!?」
澪 『渋いの』
七瀬「あんたが言っても・・・」
詩子「やっほー!遊びにきたよ」
茜 「詩子・・・また来たんですか」
住井「そうだ、柚木さんは好きな必殺シリーズってある?」
南 「影同心だよね?」
瑞佳「だからそれは必殺とは違うもん!きっと新仕置人だよ」
詩子「え?みんなおかしなコト訊くね?」
茜 「・・・詩子は私と同じからくり人ファンです」
詩子「あ、茜、・・・それは昔の話。今は土左さん一筋よ」
茜 「・・・【新必殺からくり人 血風編】に乗り換えましたか」
詩子「いいじゃない。主題歌一緒だし」
七瀬「ねぇ、瑞佳」
瑞佳「うん、山崎努と言えば念仏の鉄だもん、
鉄っあんは銃なんか使っちゃいけないもん!
それに、本物の銃があればもしかしたら松っつあんは・・・松っつあんは・・・」
浩平「みんな、集まって何話してんだよ?」
瑞佳「浩平!・・・浩平はもちろん新仕置人好きだよね?」
七瀬「何言ってるの! 折原は無印仕置人ファンに決まっているでしょ!」
住井「折原〜!・・・俺達は友達、助け人同志だろ?」
南 「馬鹿を言うな! 折原こそ影同心フリークに決まっている!」
茜 「・・・浩平・・・からくり人愛好家ですよね?」
澪 『違うの!仕業人なの!』
先輩「ううう〜〜・・・暗闇仕留人こそ最高だよね?」
部長「仕置屋稼業よ・・・きっと」
詩子「折原君も明治政府って汚れてると思うよね」
繭 「みゅー?」
浩平「はあ?・・・・・・あはははははは!!」
瑞佳「浩平?」
七瀬「何がおかしいのよ!?」
浩平「ははは・・・だって、必殺っていったら【必殺仕事人】にきまってるだろ?」
全員「え?」
浩平「仕事人以前の必殺シリーズなんて暗くて殺しが地味でお茶の間に受けねーよ。
やっぱり時代劇のお約束を守ったバラエティ豊かなものでなくっちゃ。
あはははははは・・・・あれ?みんなどうした?」
七瀬「折原・・・・正直幻滅したわ・・・」
浩平「へ?」
瑞佳「そっか・・・浩平って・・・後期シリーズ視聴者の見本だったんだね・・・」
詩子「茜・・・この人知り合い?」
茜 「いいえ。・・・・浩平・・・貴方の事は忘れます・・・さようなら」
澪 『見損なったの』
繭 「・・・」
浩平「・・・俺、何か悪い事したのか?」
先輩「浩平君・・・冗談だよね?」
部長「みさき・・。所詮コイツはそういう男だったのよ」
先輩「雪ちゃん・・・」
住井「南、これ片づけたら俺の家で【必殺 三味線屋勇次】でも見ないか? 」
南 「おう、住井。早くしてくれよ」
カチカチカチ・・・ジャキン!
瑞佳「四間・・・三間・・・二間半・・・」
浩平「何だ茜・・・その手に持ったばちは・・・」
浩平「澪・・・変わった指輪してるんだな・・・」
浩平「先輩・・・ずいぶん握力強そうだね・・・」
繭 「みゅー・・・参る!!」
浩平「こら、住井! 俺を持ち上げるな!!」
どす! ずがーん! どしゅ! ぎゅっ! ぴー ばしゅ! ずどーん!
浩平「お命・・・終わります・・・」
どさ。
<「論争無用」完>
(コメント)
・・・うむ、絶対に必殺わからん人はついていけない内容だ。これが私の処女作なのか・・・? やさしく読んでね(笑)
なんか瑞佳がずいぶん過激な女の子になってしまった。巳代松ファンというのも渋い。
「うらごろし」はわざと入れませんでした。あれは別格なんで・・・。
それにしても一発劇場2は改造しやすいです。「ウルトラマン編」とか「ガンダム編」とかできそうな気がします。
ここまで読んでくれて感謝します。
それでは。
用語解説 :文責・雀バル雀
*必殺仕置人…必殺シリーズ2作目。池波正太郎原作からは離れたオリジナルドラマという点では1作目に当たる。
窓際同心・中村主水と島帰りの医者・念仏の鉄という二人の中年が『殺し』を行うことで社会への復讐を果たすという、ある意味ヤベー作品(笑)
この二人に、「怒れる若者」の代弁者というべき『棺桶屋の錠』を加えた3人構成は、後のシリーズの典型となる。
当時の社会風潮を見事に体現したこの番組は高視聴率を得るも、世間の良識派連中によって非難轟々。あげくに『このドラマに影響されて殺人事件が!』という某誌のインチキ報道によりスポンサーは撤退し、番組は打ちきり。中途半端で最終回を迎えることになる…
*新・必殺仕置人…一応『新』とはついているが、前作の直接の続編とは言い難い。時代背景にムリはあるものの、シリーズ全体として作品それぞれに繋がりがあるからだ。
『無印』最終回での解散から数年…
主水も鉄ももはや殺し屋としての円熟期を迎えていた…そう、もはや"殺し”というものの業の深さを痛いほど味わった2人には、単純に『悪党の天敵』という自分たちの行為に喜びを見出すことなどできなくなっていたのだ。
『無印』の利害を越えた"絆”などは既に無く、主水・鉄・巳代松(コイツ、かつて一度鉄と殺し合いをしたらしい)の3人は『殺しのプロ』としての大人の関係である。
とにかくドライ。『情を見せるは即、死あるのみ!』というハードな世界観はまさに前期必殺の総集編に相応しい作品。
濃いマニア連中をして『最高!』と言わしめたこのドラマ。特に最終回はシリーズを通てのテーマを昇華させたあまりにも見事なデキ。某大手新聞をして『文句無しの最高傑作。これだけのものを作った以上、果たして続編は作れるのか?』という論評がでたほど。
機会があったら是非見ることをお薦めする。七瀬ではないが、これを見てなにも感じないヤツは『漢』じゃねぇ!(大笑)
*巳代松…竹製の鉄砲で(一発しか撃てないのが最大の弱点〈笑〉撃ったあとは普通のおっちゃんだもんね)仕置をする。「四間・・・三間・・・二間半・・・」と間を詰めていって、最後にバーン!(笑)は緊張感たっぷりで見ててかっこいい(^^)
*錠…琉球出身の空手使い。殺しで得た金で琉球の独立運動をする予定だったらしい。普段はカンオケ屋を営んでおり、死体処理もお手のものだった(大笑)。武器は手製の短槍で、回すとカチリと音が鳴る。これがまたかっこいいのよ〜(^^)
*助け人走る!…『無印仕置人』の続編。前作の打ち切り騒動の殺人事件の犯人の『TV見たくらいで人殺すワケねーだろッ!バーカ!』という素晴らしいコメントにより事件は収束。必殺も無事再開したのだが、イメージを悪くしないために『必殺』の文字を外したのが今作。
『同心大疑惑』の回では中村主水がゲストで登場(^^)な、なんとバク宙までかましてくれる(大笑)
戦闘力は高いが頭は悪い(笑)助け人チームに主水がブレーンとして加われば、確かに無敵だったろう。
*島帰りの竜…途中から助け人一味に加わった殺人フェチ(笑)視聴率回復のためか、プロレス殺法で大暴れしてくれ、おかげでインパクトは絶大(大笑)
ブレーンバスターやジャイアントスイングで髷の侍がブン投げられる映像はシュールで最高にいかしてたぞ(笑)
*影同心…パクリ必殺シリーズ(笑)。製作にあたってた朝日放送がTBSからNETに系列変えしたため、人気番組を失ったTBSが放映した。
人気キャラであった中村主水を彷彿させる(昼行灯だが、実はキレ者)設定(しかも3人も〈笑〉)がウケて視聴率は好調、『影同心U』も製作された。
当然だが、必殺ファンはこの作品に対する扱いを今だ決め兼ねている(笑)
*必殺からくり人…大女優・山田五十鈴のTV初主演作というだけで、いかにこの作品の力の入れ具合が半端じゃなかったかが判るだろう。一番マニア受けがいい作品(^^)
からくり人の個々の戦闘力は最弱だが(笑)、それを埋めて余りあるだけのチームワークがあった(それだけに1人欠けるともう・・・)。クールな関係が多い必殺では異端かもしれない。
*なぁ、そこの女の子、こんな俺をどう思う?」
澪 『どうってこと無いの』
これは必殺仕業人のナレーション
『あんた!そうだよ、そこのあんただよ!なぁ、あんたこの世をどう思う?…どうってことねぇか…』(語り:宇崎竜童)
のパロ(大笑)澪ちゃんイカスぜ!
*必殺仕業人…ダークです。(笑)「金こそ全て」というシビアな仕業人(特にやいとや)は何故か女性ファンが多い(^^)
*やいとや又衛門…やいと(焼いた針でつぼを刺激する鍼療法の一種)で相手の頭を刺して殺します。自意識過剰で、臆病でドライ。金に汚く縁起かつぎで、美形の女ったらしでケンカは弱いという…今だったらジゴロやね(笑)女性ファン多し。
*暗闇仕留人…シリーズ4作目にして、実は中村主水の初主役作でもある。
舞台の幕末というのはいくらなんでもムリがあるが(笑…主水幾つやねん)作品としての完成度は高い。
インテリ糸井貢と武士である主水との確執はドラマに深みを与えた。
*糸井貢…主水の義理の弟。病弱な奥さんの薬代を得るために殺しを始める。武器は三味線のバチ。
蘭学者で当時の世情に明るく…ゆえに社会の矛盾に気付き、苦悩する。
彼の残したセリフ『俺達が悪党殺して…それで少しでも世の中変わったか?連中にだって妻も子もいただろうに…』は、あまりにも重い…
*必殺仕置屋稼業…沖雅也の市松がクールでカッコイイ。でも、沖雅也自殺しちゃったんだよね(−−)
*必殺仕掛人…シリーズ1作目。池波正太郎原作・『仕掛人、藤枝梅安』のドラマ化だが、原作者にはものすごくウケが悪かったらしい。
殺しの爽快感は薄いけど、見るべき点は多い。
*緒方拳…必殺といえばこの人!ってくらいいろんな役で出てます。個人的には『知らぬ顔の半兵衛』が一番好き。
*新必殺からくり人 血風編…『からくり人』シリーズの続編。舞台は戊辰戦争で、官軍のスパイ・土佐衛門(スゲェ名前)がリボルバーで人を殺しまくる(笑)明治政府がメチャ悪党です。
*「いいじゃない。主題歌一緒だし」…からくり人と血風編は確かに主題歌は同じ『負け犬の唄』(笑)ですが、実は微妙に違う。
からくり人が1番で、血風編が2番。
*必殺仕事人…ご存知、必殺黄金時代を作った作品。コレ以降を『後期必殺』と称する。
作品性はともかく、娯楽作としては1流だろう。前期の濃いファンからは堕落と称されてるけどね(笑)