剣がきかない―――――――


逃げる事も出来ない―――――





少女の瞳には涙





・・・・・。








CPOK 〜Corpse Party Of Kanon




        third:segmentation







・・・・・。





「・・落ち着いたか?」
「・・・・うん・・」

・・・嘘。
わたし、全然落ち着いてなんかいないよ・・・・
怖いよ・・・それに・・・

「さて、どうする、相沢?」
「どうするったって・・・・」

どきどきするよ・・・
祐一の温もり。
私を抱きしめてくれているから。

「ここでいつまでも悩んでいたってしょうがないわ・・・出口を探しましょう」
「うーん・・・そうだな。案外簡単に外に出られるかもしれないしな。」

祐一・・・・

「なんだから・・・二人一組に分かれるか。その方が効率がいい。」
「大丈夫か・・・? いや、水瀬さんが。」
「・・・大丈夫・・」

ぎゅっと目を閉じて。

「じゃあ・・・俺と美坂、相沢と水瀬さんでいいな?」
「あたしは構わないわよ」
「よし・・じゃあ、時計は持ってるだろ?」
「あ、いや・・・俺は時計は持たない主義なんだ。」
「名雪が持ってるわよ」

・・・・。

「じゃあ・・・三十分後に、またここでな。」
「じゃあ、行きましょう。北川君」
「二人とも・・・気をつけてな・・・・」

「相沢もな。何しろ、大事な娘さん預かってるんだからよ。」
「・・・ああ。」


がらがらという音を立てて、扉が開く。
足音。


そして、静寂。





・・・・・。





「すげえな・・・」
「・・そうね」

廊下も、戦前の学校のような作りだった。
つまりは、木だってことだ。
だが・・・

「穴だらけだな・・・・」

廊下には至る所に大穴が空き、
教室を出て右には行く事が出来ないほどだ。
穴を覗いて見たが、闇が広がるだけで底は見えない。

「落ちたら死ぬだろうな・・・」

自分でもぞっとする。

「・・・突き落としてあげようか?」
「美坂?」
「・・・冗談よ・・・。」


・・・なんだ?


「それよりも・・早い所探索をはじめましょう。」
「あ、ああ・・・」


オレ達は教室を出て、左に曲がる。
廊下の窓からも、外の様子を窺い知る事は出来なかった。





・・・・・。





時計を見ると、すでに五分ほどが経過していた。
まだ、名雪のからだの震えが止まっていないとはいえ、いつまでもこうしているわけにも行かない。

「名雪・・・そろそろ、俺達も行くぞ・・・」
「うん・・・」

そっと、抱擁を解く。
ただ、名雪は俺の手を放さない。
暖かくて、小さな手。

「一体何処なんだろうな・・・ここは・・・」


がらがらっ


教室の戸を開けると


グガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッ!!


「うおわっ!?」
「祐一っ!!」

グガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッ!!!

「地震、いや・・・落盤!?」
「きゃぁぁぁっ!!」

天井が、割れた。
木片が。机が。本が。書架が。教卓が。
ありとあらゆる物が落ちてくる。

「くっ!!」

ぴしゃっ!

名雪を抱きかかえて、教室の中に避難する。


グゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・








・・・数分して、震動はおさまった。

「一体・・・・」

教室の戸から辺りの様子をうかがってみる。

「・・・何てこった・・・」


おそらくは北川たちが向かったであろう通路の左側は、完全にガラクタで埋もれ――――

大穴の空いていた、右側の通路に、新しい通路が出来ていた。





・・・・・。





わたしと祐一は教室を右側の通路へと歩いてゆく。
ここは、もう崩れそうな学校・・・・。
それほど古い建物をわたしは知らない。

少なくとも・・・この町にはそんな場所はなかった。

「また・・大穴が空いてるよ・・・」


程無くして、行き止まり。
でも、これはたいした問題にはならなかった。

「じゃあ、この中を通っていくか・・・」


『二年二組』


「なんだか・・・怖いよ・・・」

教室の前と後ろのドアの間に大穴が空いているわけで。
教室の中を通っていけば何の問題も無い。

「ん・・・鍵はかかってないな。」

がらがらと戸を開けて。





・・・・・。





「これはまた・・・酷いな・・・」

先程までいた教室と違って、二年二組はものすごいありさまだった。
部屋の真ん中に大穴が空いている。
俺には、何をどうしたらこんな大規模な破壊ができるのかわからない。

「教卓の前を通って・・・窓際から教室の後ろ側の黒板を通って・・・ちょっと遠回りだな。」
「祐一・・・あれ・・・なに?」


震える声。
教室の、窓側の隅を指す名雪。


その、白い・・・その



「・・・・・・!!!!」






白骨化した人間の死体――――――――





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