都合がいい



力が手に入れば、もっとたくさんの力を手にする事も出来る



そのたくさんの力が手に入れば





・・・・・。








CPOK 〜Corpse Party Of Kanon




     sixth:crystal







・・・・・。





「ん・・・・」

腕時計のアラームの音で目を覚ます。
・・・八時。
最後に時計を見たのが三時だった。
どうやら、眠ってしまっていたらしい。

「・・・。」

となりのベットには眠り姫。
手を伸ばして・・・


ぺちぺち


「名雪、起きろー」
「うにゅ・・・けろぴー」

・・まあ、いつものことか。
別に急ぐ理由もないし・・・

・・・秋子さん、心配してるだろうな・・・
愛娘と、居候してるその従兄がそろって帰らなかったんだからな・・・
案外、赤飯でも炊いてるかも・・・はぁ

北川たちはどうしたかな・・・どこか適当な所を見つけて休んでるのかな・・・
それとも、もう脱出したのか・・いや、それなら警察とか呼んでてもおかしくないはずだし・・

・・・なんか変な感じがするんだよな。



―――心理学的にも、共に極限状態に陥ったもの同士の間で友情や愛が芽生えたりする事は珍しくないとか



・・・いまだ、寝息を立て続ける従妹。


「・・・名雪?」


な、なんだよ・・・
別にやましい気持ちなんてないぞ・・・
俺はなかなか起きようとしないこの寝ぼすけをだな・・・


「・・・・名雪」


・・・変だな、俺・・・
なんでだ・・?


「・・・・・・・名雪」


いくらなんでも・・・
寝てる間に・・・


「・・・・。」


・・・・。
・・・・・。
・・・・・・ぱちり。


「・・・ずるいよ」
「うどおぅわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!!!???」


がっ、ごろごろ、べちん。


「な、名雪っ、お前起きて・・・」
「・・・・起きてるよ。全然寝られなかったよ・・・」


そういえば名雪の目の下にクマが・・って
そ、そうだっ、弁解をっっ

「お、俺は何もしてないぞ。今のはそう、あれだ、偶然こけた所にお前の顔があっただけで・・・」
「・・・うそつき」

う〜ん、と伸びをして。

「おかあさんに言っちゃおうかな? 祐一が・・・」
「・・・お願いだからそれだけはやめてくれ頼むマジで」

・・あの秋子さんの事だからあっさりと了承とか言い出しそうだが・・・
下手するとあの家を追い出されるかもしれんのだ・・・


「・・・うん、わかったよ。じゃあ、その代わりに」
「・・・イチゴサンデーか?」

ふるふると首を振る。
これはもちろんYESという意味ではない。

「もう一回・・・」

微笑んで、目を閉じる。


・・・・・・・・・・・・・・・俺は





・・・・・。





・・・朝と思われる時刻になっても、何の変化も起こらなかった。
あたし達は、まだ、密室の中にいる。
日の光は、ささない。


「・・・・。」

北川君は何も言わなくなった。
ただ、明らかに目が血走っている。
この一晩が相当に堪えているらしい。
このままだと、衰弱死の前に気が狂うかもしれない。


・・・・あたしは・・・。


「なあ、美坂ぁ・・・もう駄目かな・・・」
「・・・・北川君らしくないわね」


苦笑。
心が動いたから笑んでいるわけではないが。


「オレさあ・・・今だからいっとくけど、お前の事好きだったんだよ・・・」
「・・・・。」


どこかで、予想していたかもしれないセリフ。
もう少し前だったら、その言葉を受け止める事が出来たかもしれない。

でも・・・今のあたしには時間なんてものは、もう・・そんなに残されてはいない・・・


「もちろん・・今も好きだぜ・・」
「・・・あたしは」


・・もう一度、冬を迎える事は出来ないと・・・。
・・栞が逝った季節に辿り着く事はないと。
・・死ぬ時期さえ、離れ離れになるだろう・・
・・あと、半年あまり・・・季節は、夏に。

自暴自棄。
死が見えている人生。

『人はいつか死ぬ』なんてどこかで聞いた。
でも、その終わりが見えているのと見えていないのとでは全く違う。


今となっては、余計にわからない。


栞が笑顔でいれた理由。



「あたしは・・・・」


沈黙。




・・・・・。





保健室を出た、その時だった。

キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン


「おわっ!?」
「な、何!?」


細かい震動。
ポケットの中のそれは。

「昨日見つけた水晶・・!?」

淡い一筋の光が、ある場所を射している。

・・・何もない空間を。
・・・保健室と、教員室の間の大穴の真上。


一歩、踏み出す。


・・・・・・・・・・ォォォ・・・・・・・・・・・・


「な、何の声だ・・・!?」
また、一歩。


・・・・・ィィィィィ・・・・・・・・・・ナァ・・・・・


・・・また、一歩。
近づくたびに声は鮮明になる。


・・・・ナニヲモッテイルゥゥゥゥゥゥゥゥォォォォォォ・・・・・!!!


近づくたびに、水晶はより強く、光り輝く。
近づくたびに・・・・


・・・・チカヅクナァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!


もう一歩、踏み出した時。


俺には、確かに、紅い人影が見えた。




パキィィィィィィィンッ




「うわっ!?」

激しい閃光とともに、突如、水晶が砕け散る!!



・・・そして、それっきり何も聞こえなくなった。



「・・・何だったんだ、一体・・・・」






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