駄目か・・・
もうおしまいかよ・・・
頼む、美坂・・・逃げてくれ・・・
・・・・・。
CPOK 〜Corpse Party Of Kanon
ninth :a pair
・・・・・。
悲鳴が聞こえた現場に、走る。
走りながら、剣を持ち直す。
・・舞の使っていたような斬るための剣ではなく、突くための剣・・・。
どんなことが、いつどこで役に立つなんてわかったものではないです。
まさか、これがこんな所で役に立つなんて・・・
力になりたいと思って、密かにやっていた事が・・・
「理科室、みたいですね・・・!!」
「・・・・この声・・」
彼女は、呆然とした表情です・・。
声が聞こえた時から・・・。
理由は・・・今までの話からおおよそ見当が付いています。
それは・・・・
・・・・・。
ぎちぎちと、ゆっくりと近づいてくる。
もう、あたしが逃げられない物だと判断したらしい・・・。
「・・・・」
・・・ただ、北川君を見ていた。
『・・・に・・にげ・・ろ・・・みさか・・・・』
彼の想いを無駄にするのか?
・・・・。
・・・・それは。
ぼうんっ
爆発音。
熱風。乾いた風。
え・・・?
激しい衝撃に、人体模型が横に吹き飛ぶ。
「・・・今のうちに、逃げてください!!」
・・・あたしは・・・・・・
・・・・・。
「・・どうして動かないの・・!?」
「仕方ありません」
部屋の中央を見ると。
ゆっくりと、人体模型がこっちに振り返ります。
「援護、お願いしますね」
「はい、ストックはあと4つありますから・・・」
教室の中央の通路が、ちょうどいい広さですから。
幅は二メートル、長さは十八メートルが『正式』の広さです。
・・・やや、腰を落としぎみに。
剣は、右手、左手は体の上後方に持ってくる、独特の構え。
・・本当に剣をもって戦う時が来るとは思っていませんでした・・・。
人体模型の頭部はさっきの爆発でやや破損していますね。
足元に、亡骸・・・。
彼女の連れの方でしょうか・・男性の方ですね。
・・・今、仇はとりますから。
「倉田佐祐理・・・参ります」
・・・・・。
ヒュヒュヒュッ!!
空を切る音。
ふっと、彼女の右手がぶれる。
人体模型がのけぞる。体のパーツを撒き散らしながら。
一瞬で数箇所に攻撃をいれたらしいですけど、見えませんでした・・・。
ただ、右手が動いたようにしか・・・。
華麗に、優雅に。
それこそ剣の舞を踊るように。
フェンシング。
人体模型が、だんだんと人としての形を無くしていく。
反撃する事、許さず。
たっ、と不意に倉田先輩が後ろに跳ぶ。
「とどめを、お願いします!!」
容器から延びる導火線に、火を。
ぶんっ
そして。
ぼぐぅぅぅぅぅんっっ
炸裂。
・・・・・。
ただ、幻のように―――――
それを、見つめていた。
助けの手が差し伸べられる事は期待していなかった。
予想外だったという事が一つに、ある。
それよりも、もって大きい理由があった。
・・二人とも、知っている顔だった。
倉田佐祐理先輩。
あの学校の人間なら、誰でも知っている、『本物の』お嬢様だ。
数回、顔を見たことがある。
・・・・いろいろと悪い噂のある人だ。
あたしはそうは思っていなかったが。
それはいい。
もう一人。
・・・・・美坂栞。
「・・・お姉ちゃん、大丈夫?」
心配そうな声が百万光年彼方から聞こえた。
「・・・・」
どうすればいいのか。
自分のした事は決して許される事ではないと知っているからこそ。
どうすればいいのか。
「・・お姉ちゃん?」
立ち上がって、走って、ドアを開けて、逃げ出す。
・・・終わらない悪夢から逃げ出そうと。
・・・・・。
「お姉ちゃんっ!」
もう一方のドアから栞さんが。
佐祐理も二人のあとを追いかけようと――――――
ギシギシ・・・
「・・・・」
頭の半壊した、人体模型が。
焼けこげた物が。
「・・・・しつこいですね」
また、それと別に。
がちゃり。
奥の部屋から・・・三体。
人体模型と、骨格標本が。
「・・・・」
剣を構え。
・・・・・。