焼却炉に、亡骸。
校長室に、怨念。
音楽室に・・・・
・・・・・。
CPOK 〜Corpse Party Of Kanon
14th:a fatal mistake
・・・・・。
俺達は探索を続ける。
この剣によるものなのかどうかは知らないが、あの緑色のスライムは雨が乾くように消え失せていく。
Mai of sword.
あの夜の学校で出会った剣士に、やはり関係がある物なのだろうか?
少なくとも、そう思いたい気がした。
魔物を討つ剣。
――――教室の一室一室を見てまわる。
ここは一般の教室が集まっているらしい。
だが、どうにも有用なものはなかった。
ところどころに骨が落ちていたくらいか・・・・
渡り廊下を渡った所の校舎の二階の探索を終え、一階へ。
一階はどうやらまた特別教室らしい。
『音楽室』という札が下がっていた。
『・・・相沢君、『校長室』と『焼却炉』・・あと、『音楽室』を探しなさい』
『音楽室』。
おそらく、ここに何かしらの手がかりがあるのだろう・・・
「準備はいいか? 行くぞ、名雪、真琴」
「うん・・・」
「あぅ〜っ・・・・」
・・また、明らかに不満そうな声を上げている奴がいるな。
「今度は何だってんだ・・・またさっきみたいに俺がリーダーシップを取ってるのが気に入らないとか言うのか・・?」
「違うわよぅ・・・」
真琴は顔を赤くしてもじもじしている。
「? なんだよ・・?」
「あぅ〜・・・」
困る真琴に意味がわからない俺。
名雪がそっと耳打ちして来る。
「トイレだよ、祐一・・・」
「あ、なるほど。」
ぽん、と手を打つ。
「じゃあ、好きなだけしていいぞ。遠慮なくそこら辺にしておけ。」
「何考えてるのよぅ!! 変態っ!!」
ぶんぶんと手を振り回して突撃して来るので例によって頭を押さえつけて止めてやる。
名雪も、その様子をくすぐったそうに笑いながら見ていた。
――――正直、こんな冗談でもとばさないと心がもちそうになかった。
「えと・・じゃあ、確か今来た所にトイレがあったよな・・?」
「わたしが連れてくよ」
「二人で大丈夫か・・・?俺もついて行こうか、名雪?」
「大丈夫だよっ! でも、危なくなったらすぐ助けに来てよね。」
「ああ・・・任せとけ」
「じゃあ、いこっ?」
「あぅ〜・・・・」
名雪が真琴の手を引いて女子トイレへと歩いていく。
トイレか・・・俺も行っておいた方がいいかな・・・?
・・・・・。
数刻前。
焼却炉。
体中がひりひりして、灼ける痛み。
薬品を洗い流して簡易的な治療をして包帯を全身に巻いているとはいえ、歩くのが辛いです・・。
「栞さん、大丈夫ですか・・?」
「ええ、なんとか・・・」
本当は大丈夫じゃない。
それでも、私はついて行く。
「それにしても、焼却炉が校舎の中にあるとは思いませんでした・・・」
「そうですね・・・でも、この手がかりらしい手紙も半分くらいしかありませんから・・・どうすればいいのか・・」
手紙の手順からするとここらへんに・・・・
あった。
焼却炉の上部に五つのボタンがある。
「あとは・・・リボンですけど・・黄色いリボンなんてありませんよね・・」
「・・・・どこかに手がかりになるようなものがあれば・・・。」
「おい・・・」
不意に、男の人の声が。
「誰っ」
「そこに・・・誰かいるのか・・・?」
苦しそうな男の人の、声。
「あなたは・・・?」
「・・・俺は・・・やられた・・・畜生・・・血を流し過ぎて目がもう見えねぇ・・」
・・血の流し過ぎで失明するという事があるのだろうか。
だが、どっちにしてもこの焼却炉は構造からか、かなり薄暗い。
部屋の端でうずくまっている、その人に気づかなかったくらいだ。
「あんたらも・・・俺と同じようにここに引き込まれた人なのか・・・?出口を探してるんだろ・・?」
「ええ・・・」
「なら・・・渡したいものがあるんだ・・・受け取ってくれ・・・」
さすがに、一瞬躊躇する。
罠という可能性もあるのだ。
でも、私は進み出た。
「・・・これだ・・多分・・ここに来る途中の・・・用務員室の鍵らしい・・・」
銀色の鍵。
「あと・・・頼みがあるんだ・・・生きて・・・もとの世界に帰れたら・・・」
ごふっ、と咳き込む。
「中崎町ってところにいって・・・そこに住んでる長森瑞佳って奴に一言伝言頼めないかな・・」
ぜぇぜぇと息が苦しそうだ。
どうやら・・・足を切断されているらしい。
「『帰れなくて・・・ごめんな』って・・・折原浩平が言ってたって・・・」
「・・・・わかりました。」
「・・・はは・・・頑張れよ・・・・応援してるからな・・・」
そしてそのまま。
彼は二度と喋らなかった。
・・・・・。
「あ・・・!?」
ぶぅんっ、と突如、青白い人魂が浮かび上がる。
「な、なんだ!?」
『ふふふふ・・・』
慌てて逆の方向に逃げようと・・・・
ぶぅんっ、ぶぅんっ、ぶぅんっ、ぶぅんっ、ぶぅんっ
『ふふふ・・』
『ははっ・・』
『くすくす・・・』
「・・!」
あっという間に俺は人魂に取り囲まれちまった・・・!
「何だよ・・・畜生・・・やるのかよっ・・・!!」
見様見真似な感じで剣を構える。
こんなもの、使った事もないし、剣道だってやったことはない。
せいぜいガキの頃のチャンバラくらいだ。
『大丈夫・・・そんなに怯えなくてもいいよ・・・』
人魂の一つが、声を発した。
『僕らも・・・ここに連れてこられて殺されたものだから・・・』
『そう・・・君たちが話した司君みたいにね・・・』
『君に、いいことを教えてあげようと思ってね・・・』
「な、何だよ・・・驚かせるなよ・・・」
額の冷や汗を拭う・・・
「で、何を教えてくれるんだ・・?」
『彼女について。』
『君たちをここに引きずり込んだ彼女。』
『彼女も助けて欲しいんだよ』
かわるがわる、声を発する。
『この学校の奥深くに放置された、自分を。』
『彼女の身体。』
『誰かに弔って欲しくて。』
『何人もの人間をここに引きずり込んで』
『それでまた殺して。』
『ここまで近い所に来れたのは君たちがはじめてだから』
『僕らは』
『彼女を助けて欲しい』
『それがひいてはまた僕らを助ける事でもあり、君らが助かる方法でもあるから』
『そう』
『彼女は助けて欲しいんだよ』
『・・・助けて、欲しい?』
空間が凍り付いたような気がした。
一斉に、青白い人魂達が弾けとぶ。
こおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ
『何を勘違いしているのかしら・・・?』
こぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ
一人の少女が舞い下りた
赤黒い、憎悪の光を放つ少女
姿形は俺のよく知っている少女
「・・・嘘だろ・・・?」
「あゆ・・・?」