私、許していたんだから・・・



すっと、前から許していたんだから・・・



お姉ちゃん・・・・





・・・・・。







CPOK 〜Corpse Party Of Kanon





    16th:a ribbon







・・・・・。





「お姉ちゃん・・・私・・もう気にしてなんていませんから・・・」
「うっ・・・ううっ・・しおりぃ〜・・・」


私はもう、死んじゃったんですから・・・
いくら傷を負ってももう・・・

私の胸にしがみついて泣きじゃくるお姉ちゃんを。
抱き止めて。


・・・これじゃ、どっちが姉だかわかりませんね・・・ふふっ。


やっと・・お姉ちゃんに再会できたような気がします。
あの、冷たく、次の誕生日まで生きられないと言った時から、ずっと離れ離れで・・。


・・・ずいぶん、ながいことお姉ちゃんは泣いていました。


落ち着いた頃を見計らって。


「お姉ちゃん・・・何か・・『手紙』みたいなもの持ってない?」
「うぐっ・・・これ・・・? ひぐっ・・・」


ポケットから奇麗に折りたたまれた便箋。
受け取って開きます。

「・・・やっぱり・・」

倉田先輩に便箋を手渡します。
難しい顔をしてその便箋を見ていました。

「それが・・ひぐっ・・・どうしたの・・?」
「同じような便箋を何枚も見つけたんです」

倉田先輩が同じくポケットから数枚の便箋を取り出しました。
女子が授業中に手紙を回す時に使うような便箋・・。



『ねえ、知ってる? 焼却炉のお化けの噂・・』
『・・・何? 知らないよ?』
『ええとね・・・まず、焼却炉には隠された秘密の五つスイッチがあるんだって』
『・・・そうなの?』
『それでね、その五つのボタンをボタンを右端、左から二番目、真ん中、左端、右から二番目の順番に押すんだよ』
『そうするとお化けが出てくるの?』
『ううん・・・その後、黄色いリボンを後ろ手に持ったまま、焼却炉の中に手を入れるんだって・・・』
『危なくない・・・?それ・・・』
『うん・・・でも、そうするとね、あの噂の幽霊が出てくるんだって・・・』



「多分・・・こんな順番に並んでいたんだと思います」
「それで、今この便箋の残りと黄色いリボンを探しているんですよ・・・」
「でも、それに一体何の関係があるの・・栞・・」

だいぶ落ち着いてきたみたいです。


「・・・これがただの偶然とは思えませんから」


焼却炉に、幽霊。
『彼女』が焼かれたのも焼却炉。


「で、今から用務員室に行こうと思うんですけど・・・一緒に行きますよね?」
「・・・うん・・・行くわ・・」





・・・・・。





「っ・・? 何だこの臭い・・・」
「くさいよ〜・・・お肉の腐った臭いみたい・・・」
「あぅ〜・・・」


右腕を取り合えず添え木をして音楽室に入った俺達を迎えたのは、大穴。

むしろ講堂ともいえる広いこの教室の一面に巨大な穴が空いていた。

そしてもう一つ・・・この最悪な臭い・・・


血肉腐臭。


「何なんだ・・・? 臭いの元らしきものは何も無いし・・・」
「あそこにグランドピアノがあるよ〜」
「・・・さすがにあれは臭いの元じゃないだろ・・・」
「ねぇ、祐一・・・」

くいくい、と真琴が袖を引っ張る。

「何だ・・・?」
「あそこの壁・・何か変・・・」


言われてそこを見てみると、その壁だけが新しく打ち付けたようになっている。
そして、その隙間から向こう側にまた廊下がのぞいていた。

「・・・なんだ・・・?」
「何かあるのかな・・・」
「よし、ちょっと待ってろ・・・」


俺は剣を使って、てこの原理で壁をひっぺはがす。
右腕が使えないので重労働だ。


ばき、ばき、ばきぃっ・・・


「・・・廊下、だな・・・」
「うん・・・」


そこは閉鎖された空間だった。
階段も、他の教室も渡り廊下もない。

ただ一つの扉とプレート。


『校長室』





・・・・・。





佐祐理たちは鍵を使って用務員室に入ります。
中は・・・・整然としていました。
整然と、というより、何も無かったんですけどね。
机以外。

ご丁寧に用務員さんの机の上に便箋と黄色いリボンが置いてありました。
ここまでやられると何かの罠のような気もしてきます・・・・。


『噂って・・・まさかあの渡り廊下から落ちた・・・』
『そう・・・・・その彼女よ・・・・』


「何でしょうね・・・ここまでお膳立てされているっていうのは・・・」
「でも、これで行ける所はすべて行き尽くしましたよ・・・」
「それに、虎穴に入らずんば虎児を得ずという言葉もあるわよ・・・」

「・・・行きますか・・・?」





・・・・・。





何の変哲もない、ただの黄色いリボン。
それこそそこら辺で簡単に購入できるような代物だ。

手にとって触わってみても、別に高級な素材で出来ているというわけでもない。

それは、『彼女』がいつもしていたリボンであるというだけのものだから・・・。





・・・・・。





「『五つのボタンをボタンを右端、左から二番目、真ん中、左端、右から二番目の順番に押す』・・」
「ボタンは、これですね。押しますよーっ」


かちっ、かちっ、かちっ、かちっ、かちっ。
不愉快な音を立ててボタンがへこむ。


「別に、何とも無いわね・・・どういう事なのかしら・・・」
「焼却炉に火が入ったとかそういうわけでもありませんし・・・・」
「で、『黄色いリボンを後ろ手に持ったまま、焼却炉の中に手を入れる』んですね」
「・・それはあたしがやるわ」


倉田先輩から受け取ったリボンを後ろ手に持って・・・焼却炉の中に・・・


ぼぅっ

「火が・・・」
「何・・・!?」


突如、火がともる。
火が生き物のようにゆらめき、一つの『道』を指し示す。

・・そこには、暗い時にはわからなかった。
焼却炉の中には階段があった。


「・・・もう何が起きても驚かないわよ・・・」
「あ、佐祐理が先頭に行きますよ」


一歩を踏み出す。


『ヤメロ・・・ナニヲシテイル・・クルナ』


赤黒い炎が揺らめく。


『クルナァァ・・・』


「あははーっ、そういうわけにもいかないんですよーっ」
「生憎ね。」


『ナニヲ・・・ナニヲスルツモリダ・・・』


「『彼女』の遺体を捜し出して弔うのよ」


『・・!!! ヤメロォォォォォ!!!』


「悪いけど、構ってられないわ。」
「それにしても、ずいぶん深いんですね・・どこに続いてるんでしょう・・・」


『クルナァァァァァァァァァァ!!』


「学校に地下室があるとは思えないけどね・・・」






























『あーあ、きちゃったよ・・・・』
























『もうどうなっても知らないからね・・・・・』
























『クスクス・・・・』
























ぐしゃっ




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