―――そして
―――物語は
―――・・・。
・・・・・。
CPOK 〜Corpse Party Of Kanon
21th:escape
・・・・・。
「・・・・ありがとう・・」
そして、光がおさまった。
「・・・・・終わった・・・のか・・・?」
ぽつりと。
「ふふ・・・うふふ・・・」
「は・・・はは・・・」
「はははははははーーーーーーーっ!!!!
やったぜちくしょおーーーーーーっ!!!」
「真琴のおかげだからねっ!!ちょっときいてんのっ!?」
「きゃーーーーーっ!!! 勝ったんですねっ!!」
「ふふ・・・良かった・・・北川君・・名雪・・・・」
「舞ーっ・・・大丈夫?」
「・・・心配ない。 ・・・くしゅん」
・・こ〜ん・・・
「・・・鐘の音??」
「なんでいまさら鐘なんか・・・」
『・・・・!!』
「あれ? 今、変な声が聞こえたような・・」
『・・・んっ、祐一君っ!!』
「あ、あゆ!?」
『大変だよ・・・! 悪霊達が・・・!』
「悪霊ならもう倒したはずだぞっ」
『違うんだよ・・・・生き残りが・・・!!』
『聞こえる!? わたし・・・よ! この学校はよりしろである川澄舞さんが自由になった事でもうすぐ消滅するの・・!
でも、消える事を拒んだ悪霊達が今度は地獄から悪魔を召喚して、あなたたちの命と引き換えにこの学校を作り直すつもりらしいの!!』
「・・・何ですって!?」
「ま、また非常識な・・・」
『早く逃げて・・・!! ごめんなさい・・・わたしのせいで・・・!!』
「それより、どうやって逃げればいいんですか!?」
「そうよっ、それを教えてもらわないと・・・」
『・・・・2−9に行って・・・!! あそこがあなたたちの世界に最も近いの!!』
「2−9・・・だからあたしは帰れたのね・・」
『悪霊達は今、儀式を執り行っているわ・・・それは鐘が10回なったら完了するの・・・急いで!!』
「・・・今、一回なったよな・・・」
・・・こ〜ん・・・・
「・・・二回、よ。相沢君。」
「に・・・・逃げるぞ!!!」
・・・・・。
階段を駆け上がり、焼却炉に出る。
祐一たちが走ってゆく間にも壁が、天井が、床が崩れ落ちてゆく。
・・・こ〜ん・・・・
「今、何回だ!?」
「確か・・・6回目です!!」
とにかく走って、用務員室を通り過ぎ、理科室のあった場所までくる。
2−9はこの階段を上がった所だ・・・!!
「あと・・・あともう少しだ・・走れぇぇぇ!!」
「・・・ごめん」
突如、舞が立ち止まる。
「お、おい・・・舞!? どうしたんだよ・・・足でもくじいたのか!?」
「・・・・。」
舞は剣を握り直している。
それは・・・
「何あれ・・・何なの・・祐一・・・・」
「・・・ははは・・・なんだよ・・」
「・・・悪魔・・?」
そう。俺たちの、背後には。
『悪魔』とでもいうべき異形の化け物が迫っていた。
「・・・私が一人で食い止める。」
「馬鹿・・! お前を一人置いて行けるかよ!!」
「みんなで、戦いましょうよ!そうすれば!!」
「駄目・・・」
・・・こ〜ん・・・・
七回目の、鐘が鳴った・・・。
「・・・戦えば、勝てるかもしれない。でも、時間がないの。」
「だからって・・・何でお前が犠牲にならなけりゃならないんだよっ!!」
「私は・・・魔物を討つ者だから・・・・」
「・・・・!!!」
全てを達観した表情。
・・何も、言えなかった。
「私は、ずっと闇の中にいて・・・今・・・ここで佐祐理や祐一たちを守るために私はここにいるの・・・」
「舞っ!! 一緒に帰ろうよっ・・・じゃないと・・・佐祐理は・・・!」
「佐祐理・・・」
舞が、佐祐理を抱きしめた。
そして、キスをする。
恋人同士の、深いキスを。
「佐祐理は帰れる・・・・まだ、身体があるもの・・・」
「舞・・・・!」
「私は・・・もう帰る所も無いの・・だから、さよなら・・・佐祐理」
その言葉と同時に佐祐理がのけぞる。
舞が打撃をいれて気絶させたらしい。
・・・はっとなった。
そう・・・舞の身体は、帰るべき身体はもう・・・・。
「・・・さぁ、行って・・・ここは食い止めるから。」
「でも・・・・!!」
・・・こ〜ん・・・・
「早く!! 時間が無いの!」
「わかった・・・・舞・・・・」
「・・・祐一、何?」
・・・・一息いれて。
「また・・・後でな」
「・・・・・。こういう別れ方、嫌いじゃない」
そして、あわただしく階段を上ってゆく足音。
逆の方向からは、異形の者たちが蠢く音。
「・・・ここは、命をかけても・・・絶対に通さない。」
がたっと、背後に物音がする。
振り返ると、真琴がいた。
「一人だけいいカッコさせないんだから!」
無表情な中に、あきれたような表情を見せる。
「・・・何で残ったの」
「・・・同じ、理由・・・。もう、やりたい事も果たしたから・・・」
「そう・・・」
「どのくらい、やばいの?」
「・・・下手しなくても絶対に死ぬ。」
剣を構える。
真琴は、手のひらに焔を。
「ここは・・・絶対に・・・」
「通さないんだから!!」
・・・・・。
「見えた・・・2−9!!」
・・・こ〜ん・・・・
「・・・9回目・・・!!」
「後少し、後少しなんだ・・・!! 力を振り絞れぇぇぇぇ!!!」
ラストスパートをかけて。
祐一たちが教室の中に飛び込むのと。
・・・こ〜ん・・・・
最後の鐘が鳴るのは、ほぼ同時だった。
・・・・・。
・・・こ〜ん・・・・
「10・・回・・・目の鐘・・が・・・」
「・・・・・。」
二人は、まだ持ちこたえていた。
持ちこたえていた、という表現は正確ではないが。
真琴は既に致命傷を負って、伏せっている。
舞も両足、左腕ををからめとられて、あとは嬲り殺しにされるのを待つのみだ。
・・・いや。
こいつらは自分達を殺しはしないだろう。
殺すよりも前に。
想像を絶するような、精神の陵辱が。
「・・・・。」
命は惜しくない。でも。
「化け物たちにくれてやるような魂は持ち合わせてないの・・・!!」
・・・真琴が、小さく頷いた。
覚悟は出来ている、という事か。
――祐一、佐祐理・・・本当にさよなら・・・そして・・・
「ありがとう・・・・」
ずびゃっ
「く・・・・」
自らの腹に刃を突き立てる。それは、最後の手段。
・・・帰るから。
・・・分裂してしまった力という欠片ではなく。
・・・私が、力の中に帰るから・・・。
・・・10年の時を経て、今なら帰れると思うから。
・・・大切な人を守るために。
・・・だから・・・きっと、受け入れてくれるから・・・。
最後の、力の欠片・・・私自身を。
・・・最後に、それをこう呼んで欲しい・・・。
そうすれば、想いをまっとうできる気がするから・・・・
・・・その名を・・・
「・・・・希望・・・生きてるもの全ての、はじまり・・・と・・・」
川澄舞を中心に、空間に変化が起こった。
その莫大な変化は、この次元の何もかもを駆逐してゆく。
外部から、それを見れたものはそれをこう呼んだのかもしれない。
・・・新たな世界の始まり・・・・。
そして、全てが消え去り・・・・
また一つ・・・・
『世界』が生まれた・・・・
『佐祐理・・・祐一・・・・さようなら・・・』
次回最終話。
あなたは『希望』を信じますか?
・はい ・いいえ
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