<プロローグ>
平成十年…初場所
(「さあ!大変な事になりました!…横綱若乃花と関脇千代・大海…この一番に勝ったほうが優勝です」)
(「凄い事になりましたねぇ」)
「…大海…」
「大丈夫、大海はきっと勝ってくれるさ…私達の自慢の息子を信じよう」
「ええ、あなた」
「大海…お前の本当の力を見せてみろ!ウルフの血を受けづくお前なら、勝てるはずだ・・・」
わあああああ!
「場内すごい歓声です。…さあ制限時間一杯!」
「見合って見合って…はっけよーい…」
「よくここまで上り詰めたな…だがそれも今日で終り。この若乃花が引導を渡してくれるわ!」
「…横綱…ウルフの血の本当の恐ろしさ、味あわせてやるぜ!」
「はっけよーい…のこった!!!」
「嘘感動王列伝!!千代・大海物語!!」
(日本相撲教会監修<笑>)
第1話『伝説の幕開け』
20年ほど昔…
「お願い、もう相撲なんてやめて!あなたが死んじゃう!」
「もう少しなんだ…このウルフスペシャルさえ完成すれば…ニ子山の野望を打ち砕けるかもしれないんだ」
「でも、やつらはあなたの命を…お願い、貢・・・私と一緒に逃げよう!」
「ダメだ…これ以上…あいつらに相撲界を牛耳られてたまるか!……せめてお前だけでも」
「…私が居ると迷惑なの?」
「違う!…赤ん坊の為だ…わかってくれ!」
「分かったわ…貢…死なないで、必ず生きて帰ってきてね」
「ああ」
<蔵前国技館にて…>
はあ はあ はあ
「どうしたんだい?横綱北の湖ともあろうお人がもうギブアップ?…ならこちらから行くよ!必殺・『デスマカブル』!!!」
どぐあし! ぐしゃあ! どぐううあ!
「ぐはああ!!…お、おのれ貴乃花…く、…だが…まだ、あいつがいる…あいつならお前らを…ぐはあ」
どしん!
(「北の湖…ついに崩れ落ちた!…横綱をしても倒せないとは、恐るべし大関貴乃花!」
「ひ、ひがし〜!貴乃花〜!」
「ごっつあんです」
「た、大変だ〜!救急車を呼べ!!」
(「今・北の湖が担架で運ばれていきます…おっと!そこへ駆け寄ってきたのは、なんと関脇千代の富士だ!!」)
「よ、横綱ー!!しっかりしてください!!」
「お、おう…千代…いやウルフか……見てのとうりのザマだ…もう相撲は…うぐっ」
「もう喋らないで下さい!」
「ば、バカヤロウ…いらん心配するんじゃねえ……後を頼むぞ…ウルフ・・・」
「はい!必ず!」
<理事長室にて…>
「ふふふ…さすがの横綱もこれまでか。…これですべてワシらの思いどうりだな」
「兄さん、あの程度の相手じゃあ物足りないよ。」
「贅沢なヤツだな…なら明日の結びの一番でヤツと組ませてやろう」
「アイツだね…千代の富士…いや、ウルフ!!」
「…双葉山がロシア人に生ませたという赤ん坊が…まさか生きていたとはな。最強の力士の遺伝子を持つ男だ!」
「でも、僕はサイボーグ力士どもとは違う。たとえ誰がこようと『あの技』さえあれば…」
「油断は禁物だ!…大木に育つ前に刈らねばかなりの障害になるやもしれん。『サイボーグ力士プロジェクト』に失敗は許されんのだよ」
「まあ、まかせておいて。双葉山の遺伝子も明日でたえるんだから。…じゃ!」
「うむ」
ばたん
「……」
「……く、くくく…どいつもこいつもワシの手のひらで踊らされているとも知らずに…はははは!」
<翌日…結びの一番>
わあああああ!!
(「さあ、注目の取り組みです。西からは大関貴乃花。昨日、横綱北の湖を再起不能に追いこんで、そして今日も対戦相手を餌食にするのでしょうか!」)
「ふふふ…今日キミを倒せば、角界は僕ら兄弟のものだ」
(「そして、東からは関脇千代の富士!…先日まで休場していましたが、今日急遽出場となりました。…しかし、気合十分です!」)
「休場開けでいきなり僕と当たる不運を呪うんだね」
「どうかな…伊達に休場していた訳じゃあないんだぜ」
「な、なにぃ!…まさか!」
「その『まさか』さ。…『デスマカブル』破りをね」
「馬鹿を言うな!あの技が破られるものか!」
わああああ!
(「場内大歓声!…さあ、制限時間いっぱいです!」)
「はっけよい!のこった!」
ばしいいいいん!!
(「す、すさまじい立会いだああ!!」)
「やるね」
「この程度かよ」
「くっ!言わせておけば…なら!…死ねぇい!!『デスマカブル』」
「…(いまだ!)『ウルフスペシャル』!!」
どかあああん!
「ぐはああああ!!!」
「な、何故…どうして…?」
「確かに『デスマカブル』はスゴイ技だ。だが!技に入る前に一瞬、隙が出来る。そこに勝機があった」
「そ、そんな…こ、この僕が負けるはずが…ぐはああ!」
どしん!
(「ぐ、軍配は東!千代の富士が勝ちましたー!!」)
わあああああああ!!
(「凄まじい歓声、座布団が舞います!!…ニューヒーローの誕生です!!!」)
<理事長室にて…>
「僕が引退!?どうして、僕はまだやれるよ!!」
「貴乃花…お前の役目は終ったんだよ」
「兄さん…?」
「…お前に見せたいものがある。ついて来い」
*
「兄さん…ここは?」
「蔵前国技館の地下が工場だったとは知らんかったじゃろ?…ここでサイボーグ力士を製造しておるのじゃ…ホレ、コイツを見てみろ!」
「こ、これはまさか!!…ぼ、僕じゃないか!!」
「これで分かったろう?…お前もここで造られたサイボーグの一人に過ぎんのじゃ」
「そ、そんな馬鹿な!!!…馬鹿な!!!」
イチゴウキ…タカノハナ… シッパイ…
「う、うわああああ!!!」
「お前の代用なんぞいくらでもおる。…どのみち、この工場ももうすぐ必要なくなるんだ。廃棄される時ぐらい兄弟達と一緒に、と思ってな…」
「き、きさまああああ!!」
「ワシが憎いか?…ふふふ、ワシはお前が可愛くてしかたがないぞ。この計画がここまで進められたのもお前のデータのお陰だからな」
「ちくしょう!!!死ねええ!!!『デスマカ……』」
「甘いわあ!」
どごおおおおおおん!!
「ど…ドうシテ…にイ・・サン…」
シュウウウウ…
「貴様を造ったのはこのワシ。…馬鹿の1つ憶えの必殺技など通用する訳なかろうが!わはははは!!」
<そのころ…東の控え室では…>
パシャ! パシャ!(カメラのフラッシュ)
ざわざわざ
「関脇、今のお気持ちを聞かせてください!」
「あの無敵の大関を倒したんですよ。なにか秘策があったんじゃないですか?」
「いいえ…自分の相撲を取ることだけに集中していました」
をおおおおお!!
「つまり、自分の実力さえ出せれば勝つのは当然ということですか?」
「すごい自信ですね!?」
「いや…そういう意味じゃなくて…」
どたどたどた…
「あ、兄弟子〜!!大変です〜!!」
「どうしたんだ、北勝海?血相を変えて」
「そ、それが兄弟子の家が謎の集団に襲撃されているって連絡が!」
「なんだって!!!」
<千代の富士宅>
どぐあああん!!
「きゃああ!!…な、何をするんですかあなた達は!?」
「モクヒョウカクニン…ウルフノハイグウシャ…マッサツ」
「コロス コロス コロス コロス」
「いやああ!!」
ばっ!
とたとたとた…
「ニゲタ ニゲタ ニゲタ ニゲタ」
「オエ マッサツ…ドコマデモ コロス」
・
・
・
「モクヒョウ ロスト モクヒョウ ロスト」
「ターゲット ジュウショウ セイゾンカクリツ 0.00000001%」
はあはあはあ…
「せ、せめて… この子… だけ… で も うぐぅ!……」
はあはあはあ…
「…ここなら…安全だわ……ここならヤツらには 見つから…な い…はず。」
はあはあはあ…
「私が…囮に… ごめんね …おかあさん こ これで お別れ…うぐゥ」
はあはあはあ…
「強く 生き…なさ い 、こ、このお守りを……あな たは …あの ウルフの 息子 なんだ …からね 」
・
・
・
「モクヒョウ ソウサクチュウ ロスト 」
ざっ!
「私ならここにいるわ!」
「ターゲット ピ ピ イッチシマシタ コレヨリ コウゲキカイシ」
「セントウレベル 6 『ウワテナゲ』ハツドウ」
どぐあああん!!
「う…うぐぅ…み、貢……」
がくっ
「ターゲットチンモク セイゾンハンノウ ナシ ニンム カンリョウ」
「コロシタ コロシタ コロシタ コロシタ」
<理事長室…>
ジリジリジリン…がちゃ
「ワシだ……うん?…そうか、抹殺したか…そうか」
がちゃん
「…………」
「これで…これで全て計画どうりよ!…『サイボーグ力士プロジェクト』の障害はこれで消えた」
「ふ、ふふふ…ははははは!!」
<その日の夜…病院の霊安室>
「そ、そんな…バカな」
「お気の毒ですが…奥さんが病院に運ばれた時はもう…」
「……………」
「……兄弟子…」
「…死因は不明ですが…おそらくは転落死でしょう…」
「バカな!!…これはたぶんやつらの!!」
「よせ!北勝海…無駄だ……」
・
・
・
「兄弟子どうして!?これはどう考えてもヤツらの仕業…」
「ああ……だが遺体の損傷からは事故死としか判定できないだろう。サイボーグ力士ならそのようなパワーの調整だって可能なはずだ…」
「じゃあ、そのことを警察に…」
「無駄だ!…証拠がないんだ。…今回使われたサイボーグ力士達はもう処分されているハズ…」
「そんな!それじゃあ諦めるしかないんスか!?」
「誰が諦めると言った!!」
「あ、兄弟子…」
「…仇は取る…だが!今はヤツらの野望を阻止することが大事なんだ!!」
「……」
「いいか、俺は横綱になる!…そして、勝って勝って勝ちまくってやる!!…俺が勝ちつづけている間は、ヤツらの天下にはなるまい」
「……くっ…うぐぅ」
「泣くな!!…泣くのは復讐を遂げた時…奴らを倒した時だ!いいな?」
「……うぐぅ…はい!!」
そうだ……泣くのは…今ではない……
「兄弟子!!…俺も、俺も強くなります!!…兄弟子の力になりたいんです!」
「…いいのか?…これからは地獄だぞ…」
「かまいません!!俺を…鍛えまくってください!!」
「そうか…ありがとうな…」
復讐を誓うウルフ…だが、その道はあまりにも険しい。
そして、彼の血を引く者…彼が歩む道のりもまた、とてつもなく険しいのである!
熱き男達の伝説が…これから幕を開ける。
第1話『伝説の幕開け』終
<次回予告>
千代夫妻に拾われた赤ん坊は大海と名づけられ、すくすくと成長する。
だが、彼に流れる熱き血潮が運命を狂わせて行く。
一方、「サイボーグ力士計画」を阻止するため戦い続けるウルフ!!
そんな彼の前に立ち塞がる最強の敵『北尾』!!
彼らの命運や如何に!?
次回、『熱き血』 ご期待ください!!
……とりあえず第1話です。
みなさん、いかがでした?
え?『バカ臭い』…『俺が知っている話と違う』?
…ふ、ふ、ふ、…そりゃあそうですよ。
こんな話…なかなか公にはできませんからねぇ…みなさんが知らないのも当然です。
みなさんには真実を知る権利があると思います。
…これを公開した以上…私が無事に済むという保証はありませんが、それでもこれは私の使命ですから<笑>
たとえあなたが信じようと信じまいと……
次回放送は4/17(日)です。