(これまでのあらすじ)


 万引き(自称)美少女月宮あゆ。一見平凡な彼女だが、中身も平凡。しかし、公園でガキども相手に見せたえなりかずきのモノマネを、往年の大女優・憑影千草に認められ、舞台への道を選ぶ。それに立ちふさがるのが、大女優と自民党幹部の娘・倉田佐祐理であった。互いにライバル心を燃やし、伝説の舞台
「くれない天にょ☆」主演を争うふたり。結果は果たして……
 

ここは「くれない天にょ☆」の里…

東京厚生年金会館ちかくの公園。通りすがる人々の視線にさらされながら、訓練は続く。

「いいですか、あゆ、佐祐理さん」
「はい」
「なに、オバサン…じゃなくて、先生」

千草の出した次なる課題。
それは

「“童貞”を演じなさい」

予想外の課題にとまどうふたり。
しかし、女優の道はイバラの道。
千の仮面を持つ者こそ、真の大女優への道が開けるのだ。

「うん、じゃあボクから…」

あゆは背を丸めて、地べたに腰をおろす。
 


「うう…一度くらいは手以外でヌいてみたいなー。でも、金ないしなー。コスプレ学園なら、かわいい子が『ご主人さまにもご奉仕するにゃん♪』なーんて、やってくれるかも…う、ヤバ…………うっ」
 


どがし!
 

 

「なんですか、その演技は!」

恍惚の表情をうかべるあゆの顔面に、千草の怒りの蹴りが炸裂!

「うぐぅ…」
「わたしは、童貞の『演技』をしろなんて言ってませんよ!」

演技をするのではなく、演じる。
あゆにはまだ、その違いが分からない。

「あははー、では佐祐理が、やってみますねー」

会釈を済ますと、前髪を乱暴にかきあげる。
そこには、普段の美少女とは違う、不器用そうな不満顔の少年がいた。

 


「けっ、処女なんてメンドくせーよ。うざっ。彼女が欲しいなんて言うヤツの気がしれねぇなー」
 



衝撃が走る。
あゆは、その瞬間、千草の言葉のほんとうの意味を悟った。

(すごい…このセリフだけで、発言者が童貞であることが分かるなんて…)

具体的な状況説明もなく
それでいて、役の人格・感情まで観客に悟らせてしまう。

「すばらしい。まるで完成された詩のような演技でした」

千草も絶賛。
佐祐理は笑顔で…そして、さも当然といわんばかりに、丁寧にお辞儀。

「………」

あゆはただ、呆然とするしかなかった。


  ふたりの戦いは、続く…

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あとがき

 続きません(笑)