性なる教え 〜ハハトシテ ツタエルベキコト〜
かこーんと洗面器がタイルにぶつかる音が響く。
湯気に肌を濡らし、晴子は生まれたままの姿を惜しげもなく晒していた。
「ガハハ〜、風呂はええなー」
「…うん」
一方の少女…義理の娘である観鈴は、その小さな身を湯船に沈めている。
口元まで湯につかり、時折ぷくぷくと泡を吐き出していた。
「ええか、100数えるまでつこうとれよー」
「…うん」
素直にうなずく。
しかし、視線はなにかを訴えるように、晴子に向けられたままだ。
「ぐあー、腹に肉ついてもうた。酒は控えんとなー」
観鈴の視線をよそに、晴子は腹の肉を掴んで、娘に見せつけるかのようにひっぱってみせた。
同時に、乳房もぷるんと揺れる。
「………」
やがて観鈴は、気づいてくれるのを諦めて、おもむろに口を開いた。
「あのね…きいてもいい?」
「なんやー」
視線を腹部の贅肉に向けたまま、返答をする晴子。
観鈴は、その気のない様子に一瞬躊躇したが、構わず続ける。
「あのね…赤ちゃんは、こうのとりさんが連れてくるんだよね?」
奇妙な言いように、晴子はようやく顔をあげた。
「…はあ?」
観鈴は湯船から身を乗り出して、彼女の注意を逃さないように、瞳を見つめる。
勢いでこぼれた湯が、晴子を濡らした。
「あのね、ようちえんのせんせいが言ってたの。だからね…」
少し口ごもる。
ぬれた前髪から水滴がこぼれ、少女の頬を濡らした。
「だからね…、おかあさんも、おとうさんもいない子も…いるんだって…」
水滴が湯に落ちる音が、ぽちゃんと大きく響く。
「観鈴…」
ゆっくりと身を起こすと、うつむいて表情が伺えない少女の顔を、そっと覗き込む。
そして、言った。
「最近のよーちえんは、うそばっかり教えるんやなー」
「…え?」
観鈴が顔をあげると、満面の笑顔を浮かべた母がいた。
にこやかに答える。
「えーか、ほんまはなー。…観鈴のパパとママが〜 恋をして〜♪」
詠いながら、膝に両手を置くと、ゆっくりと左右に開く。
「観鈴ちんがな〜 おかんのここから、こんにちわ〜♪ …や」
茂みの狭間を指差して、豪快にガハハと笑う晴子。
同時に乳房も揺れる。
「………」
魅入られたように、示された股間を凝視する観鈴。
「………」
水滴が湯に落ちる音が、ぽちゃんと大きく響く。
しばしの沈黙の後、ようやく少女は、ふるえる唇を開いた。
「う…うそっ」
「ホンマやでー。こんなふうに出てくるんや」
左手の指で広げつつ、空いた手で観鈴愛用のキューピー人形を掴んで、股間に近づける。
観鈴の大きめの瞳が、さらにめいいっぱい見開かれた。
「これを、こうしてなー…とと」
少女の瞳に、人形の頭が晴子の●●●に埋まっていく光景が映される。
「キツーな…やっぱウチ乙女やしなー☆ ガキ産んだらガバガバやからもちっと楽に…あら」
「………」
「あかん。これでは逆子や。ガハハ…」
あわてて引き抜こうとするが、ひっかかって思い通りにならない。
人形の胴体を鷲づかみにすると、強引に引っ張った。
ぽんっ
「あ…頭とれてもうた。うわー」
唐突な事態に動揺を隠さず、指で膣口を広げようとする晴子。
しかし、人形の頭はさらに奥へ…
「うわわっ、やばっ、やばっ」
「………」
ぼちゃんという音をたてて、湯船から湯が大量にこぼれる。
なんとか異物を取り出した晴子が、観鈴の変調にようやく気づいた。
「へ?…観鈴ー!」
泡をはいて沈みゆく娘を救い上げる晴子。
観鈴は白目を剥いたまま、気絶していた。
「ど…どうしたっ、湯にあたったんかー」
なんとか意識を取り戻させようと、ばしばしと必要以上に頬を張る晴子。
「………」
「うわわ、死ぬなぁー」
必死に呼びかける。
観鈴はぐったりしたまま、頬を打たれるたびに、首を左右に振り続けていた…。
数年後――
「あの子は、ウチに心を開いてくれへんのや…」
観鈴が連れて来た居候の青年に向かって、心情を吐露する。
自分が本当の母親でないこと、彼女が自分に甘えないことなど、次々と並べていく。
「なんでやろな…」
ふっと、寂しげにため息を吐く。
その問いを何度繰り返してきたのだろう。
前髪をかきあげて、遠くを見るように、視線を宙に漂わせていた。
「…なんでも正直に話してこそ…ホンマの母娘やのに…」
(おわり)
・あとがき
ばーちゃんと、ソープのねーちゃんが教えてくれた(笑)
やっぱショックだよなー。
んじゃ