おひさまぽかぽか、いいてんき。
かぜはそよそよ、いいてんき。
すやすやおひるね、いいきもち。
陽のあたる丘公園の一角にて。
人捜しに訪れたアレフは、目的の人物を見つけたものの、声をかけていいものかどうかしばし思い悩んだ。
重なり合う木の葉が涼しげな影を作り出す樹木の根元、彼はぐっすりと眠り込んでいた。
脚をゆったりと伸ばし、軽く曲げられ腹の上に乗せられた片手には閉じられた革表紙の本、もう片方の腕は胴の脇に落ちて短い草にくすぐられている。
明らかに木陰の読書を断念した様子である。
くうくうと寝息は安らかで、寝顔ものんきではあるが、革表紙の本は厚めでいささか重そうだ。
アレフは小枝などを踏んだりしないよう細心の注意を払って歩み寄る。どうにか音を立てずにそばまで近寄り、そっと膝をつき彼の手を持ち上げて、その下から本を取りのける。
手を元通りに腹の上に戻しながら寝顔をうかがう。変化なし。ほっと胸をなで下ろした。
本を脇に置いて、その場に腰を下ろす。
柔らかに吹く風が、頭上の木の葉をさわさわと揺らしていく。
同じように揺れる彼の前髪に、なんとはなしに、指を絡めてみる。
存外手触りが悪いのは少し色を抜いているせいだろう。
普段長い前髪に半分近く覆われている顔は品良く整っている。
せっかく綺麗なのに隠すなんてもったいないと思う反面、この素顔をさらして歩かれたらライバルがどかどか増えそうだからこのままでもいいと思う。要は自分が知っていればいいのだ。
そんなことを考えながら彼の顔を眺める。
この角度からだと線の硬さがとれて、まるで少女のように、そう、
何処かの見知らぬ誰かのように見えた。
‥‥寒気が、した。
傍らで眠る彼はあまり自分のことを話さない。
アレフは彼のことをよく知らない。
だから時々、とても恐ろしくなるのだ。
ちょうど、今のように。
指に絡めた前髪を軽くだけれど引いた。
ごく軽い手応えに、少なくとも今は彼はここにいるのだと思うことが出来た。
安堵した視線のその先で、形の良い眉がわずかに寄った。
「ん‥‥」
起こしてしまったようだ。思わず前髪から指を離す。
彼がうっすらと目を開ける。
とろんとした眼差しが頼りなく彷徨い、やがてアレフを見つけて留まり。
そうして。
ふんわりと微笑んだ。
とてもとても眠そうな、幸せそうな微笑み。
片手が大儀そうに持ち上がり、アレフのそれの上に落ち着いた。
満足げな吐息を一つ。
そのまま彼は再び目を閉じた。
呼吸はすぐに寝息に変わり、アレフは知らず詰めていた息をそっと吐き出した。
ちらりと自分の片手を見遣る。
そこには暖かな手が力を込めるでもなくただ重ねられている。
静かに風が吹いて木の葉を揺らす。
同じように茶色の髪は揺れるけれど、その暖かさは当然揺らぐはずもなく。
アレフはなぜだか幸せな気持ちになった。
幸せそうに眠る彼と、一体どちらが幸福だろうか。
そんなことを考えるアレフの髪の毛を、風がそよと揺らした。
ばかな話を書いたなーという感じ。
あと読みづらいですよね、この形式は。
題名についてはつっこみ不可(弱強気)←ややわかりづらい言葉遣いだ…
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