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真新しい骨のような白い月がぽかりと中空に穴をあけている。 土と石くればかりの荒れた土地に、月は皓く硬い光を突き立てる。 固い地面に散らばるざりざりと粒の粗い砂の上、そこに手をつく者がある。 それは男の手だ。指が長く骨張った、若い男の手。 地に手をついた男はゆらりとその身を持ち上げる。 狡猾な蛇が鎌首をもたげるように、ゆうるりと。 やがて完全に起きあがった男は自らの両手を広げて見下ろす。 今の今まで体重を支えていた手には幾粒かの砂粒が食い込んでいる。 軽く握ろうとすれば、その通りに指が曲がる。 睛に刺さるほど眩い闇夜に死人の如き色つやの手が蠢く様はひどく似合いだ。 見つめる男が、やがて唐突に、喉の奥でくつと嗤った。 そのままくつくつと嗤い、嗤えることに満足してまた嗤う。 衝動は抑え難く男は肩を揺らし声を上げて嗤い出す。 「くっくっ……ヒャーッハッハッハ!」 たがが外れたように嗤って嗤って、背を反らし喉を反らし天に向かい嗤い続ける。 嗤う男を、骨の月が昏く彩っている。 |