未来に続くエピローグH「終末」

かなめとの作戦会議の間も、むろんガウルンの攻撃は続いていた。
「くははははっ、死ねえい!カシム!」
ガウルンは単分子カッターを振り回しながら<アーバレスト>に迫る。
宗介は―――動かない。操縦席で瞳を閉じ、ただただ集中力を高めてかなめの合図を待つ。
ガウルンが牽制のつもりで繰り出すカッターが、<アーバレスト>の装甲を幾度となくかすめる。
目を閉じた宗介の耳元で、金属音とAI<アル>の警告音が鳴り響く。
それでも彼は動じない。今はかなめを信じるだけだ。
「ああん、何故仕掛けてこない?オーバーヒートか…いや、違うな」
ガウルンは動かない<アーバレスト>を注意深く観察する。
確かにダメージは大きそうだが…油断は出来ない、そう読んだ。
しかしどれだけ挑発をしても動かない<アーバレスト>に、ガウルンは少しづつ焦れ始めた。
「…そうか!何故動かんのかと思ったがやはりオーバーヒートしてたなっ!」
ガウルンは気付いていなかった。静かに闘志を燃やす宗介に、彼は内心恐怖していたのだ。
その恐怖が焦りを生み、彼の思考能力を鈍らせた。
「ならばお遊びはもう終わりだ!死ね、カシムっ!!」
ガウルンはついに単分子カッターを振り上げて、<アーバレスト>に突撃を開始した。

目を閉じた宗介は神経を全て耳に集中し、かなめの合図を待った。
装甲をかすめる音とAIの警告音が響く操縦席で、宗介は思った。
(戦場育ちの俺がこんなに人を信じられるとは思わなかった…俺は千鳥に出会って変わったのだと思う、変われたんだと思う…)
ガウルンが迫る!そして、かなめの叫びにも似た合図の声が聞こえた。
「ソースケ、今よっ!!」
宗介は反射的に目を開ける。目の前には単分子カッターを振り上げる銀色のASの姿。
(千鳥…心から感謝する!)
<アーバレスト>が動く!そして―――
「終わりだ、ガウルン!貴様の負けだっ!!」
「何っ!?」
宗介の叫びと、ガウルンの驚愕の声が交錯する。
ガウルンは我が目を疑った。何が起こったのか理解出来なかった。
時間が止まった―――そんな感覚にとらわれる。
その時の中で、白いASだけが動いていた。ショットキャノンを構え、発砲する!
「ば…バカなあああっ!?」
ドゴオオオンッ!
彼はその現象を結局理解できないまま吹き飛び、爆発四散した。
むろん、時間が止まるわけがない。そう感じるほど<アーバレスト>のスピードが尋常ではなかったのだ。
宗介はガウルンのASが爆発したのを見届けると、荒くなった息を整えて静かに呟いた。
「貴様にはわからんさ…人を信じることを知らない貴様にはな」

<続く>

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