EXPLORES(1) 雨宮 実久

 暗がりの中でアルノーは壁の仕掛けを調べていた。頼りはカンテラの灯りと、相棒が全身から放っている燐光だけだ。

「アルノー、早く行こうよ〜」

「ちょっと待ってなさいよミヤ! そこは仕掛け部屋なんだから何が起こるかわかんないのよ」

 脳天気に言ってくる相棒にイライラしながらも、そちらには目もくれずアルノーは壁の仕掛けと格闘し続けている。

「ぶ〜〜! だって、早く行かなきゃまたあの……」

「あの業界一カッコよくて渋くてイカしたおっちゃんが来るんだよな〜〜♪」

 相棒、ミヤのセリフに低い声がかぶさる。

 ―――げ!! あいつだ!

 振りかえるまでもなく相手が判る。その瞬間、アルノーはミヤの悲鳴を聞いていた。

「みぎゃっ! なにするんだきゃあ〜〜!!」

 変な悲鳴を上げ、ミヤが仕掛け部屋の方にふっ飛んで行く。捕まって投げ飛ばされたようだ。動こうとしたが間に合わず、アルノーも背中を蹴り飛ばされ、部屋の中に転がり込む。

「なっ何すんのよっ!」

 アルノーは慌てて起き上がる。同時に作動音がして、部屋の扉が閉じてゆく。閉じようとする扉の隙間から、三十半ばの男の精悍な顔に勝ち誇ったような笑みが浮かんでいるのが見えた。

「注意力が足んねぇぜ。もっと汚くならねぇとな。出直して来いや、嬢ちゃん」

 声が聞こえた直後、無慈悲な音を立てて扉は閉まった。

 アルノーの手が扉に届く直前に。

 そして、床が急速に移動し始める。

 ただひたすらに、上へ、上へと……。

 

 

□もういちど聞かせて! ☆もう、眠いや…。 △もっと聞かせて!!