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EXPLORES (2) 雨宮 実久「きゃはははは、きゃ〜はははは、みきゃ〜〜!!」 けたたましく響きわたるミヤの笑い声を聞きながら、アルノーは地団駄を踏んだ。なんということだろう、あの仕掛け部屋のおかげで二人は地上に戻されてしまったのである。 「あんのオヤジっ!! 許さないわよ! せっかく頑張ってあそこまで下りたのにっ!」 つばのない帽子をかぶった頭を悔しげに振る。ぎらぎらとした陽射しを、ふわりとした金の前髪が反射した。数時間ぶりの陽の光が、アルノーという腕利きの財宝荒らしが、ただの十七才の少女であったことを思い出させる。 そう、彼女は財宝荒らしなのである。 ちなみに相棒のミヤは、十五センチほどしか身長がなく、背に透明な四枚の羽を持つフェアリ−の少女だ。 二人が今回狙っているのは王墓に眠る財宝である。ここには元々古代に栄えた王国の、五代目の王の巨大な地下墓地が存在していた。いや、墓地自体は今も彼女らの足元にあるのだ。だが、知られているだけあってそこはもう、あらかた先客に盗掘されつくし、価値ある物など残ってはいない。それは、その他にも数多く発見されている、代々の王の墓についても同じだった。 しかし、まだ発見されていない王墓もいくつかある。例えば初代王カストゥミルの墓である。これは巨大な墓だという記述はあれど、どこを探しても見つからないので、半ば伝説化してしまっている墓だ。 アルノー達が先ほど潜っていたのは、そのカストゥミルの王墓(のはず)なのである。 アルノーは、初代王の墓に関する噂の中から、どこを探しても見つからないという点に目をつけた。そして、今までに見つかっている王墓の資料を片っ端から調べたのである。すると五代目の王墓の資料の中に、それを発見した。それはよくある王を讃えた一文だったが、アルノーは独自の解釈をしたのだ。 五代目の墓は、初代王の王墓の上に造られたものだと。 確信を得、五代目の墓の最下層を調べ上げた二人の前に、確かに初代王の墓への入り口は開かれたのである。 が……。 あの男、ダートもまた同じ結論に辿り着いていたらしい。彼もまた同業者の中では名の知れた男なので、仕方ないといえば仕方ないが。ただ、ダートはアルノー達より遅れて来たにもかかわらず、いつの間にか追いぬいていき、こちらを罠に引っ掛けるなどの妨害を始めたのである。それに二人が反撃しないはずもなく、不毛な妨害合戦が繰り広げられた後、子のような結果が訪れたわけであった。 「あ〜もうミヤ、いつまで笑ってんのよ! あのダートってオヤジ、今に追いついて絶対仕返ししてやるんだから! ほら、さっさと行くわよ」 「エヘ〜、だっておもしろかったんだもん。だから今度はオジちゃんにこの罠プレゼントしよー☆」 「あ、いいわねそれ」 二人はそんな事を言い合いながら、もう一度五代目の王墓に入っていく。再び、初代王の墓の最下層、玄室に眠る財宝を目差して。
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