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EXPLORES (5) 雨宮 実久ダートは一息ついていた。ようやくあと一歩というところまで来た、という手応えを感じて。地下でなければ一服したいところである。実はダートはドジを踏んでしまい、あの二人を陥れたのと似たような罠に引っ掛かり、四階層程戻されてしまっていたのだ。あれがなければもっと早くついたのだろうが……。 「やれやれ、ひでー目に会ったぜ。あれで大分時間食っちまったからなぁ。あのうるせーの、追いついて来んじゃねぇの?」 生きてりゃあな。 独り言に突っ込みを入れながら、しかし彼はむしろ、追いつかれることを望んでいた。独りきりで財宝を手に入れるのもいいが、やはり相手の目の前でかっさらう方が百倍面白い。 「あんまりのんびりもしてらんねぇし、そろそろ行くか」 大きな欠伸を一つして、ダートはのろのろと腰を上げる。 と、まさにその時だった。 ビュッ! 「うおっ!?」 いきなり何かが飛んできた。ダートは咄嗟に上体を反らす。それを掠め、その物体は音を立てて壁に突き刺さる。 ―――刺さっていたのは、小型のつるはしっだった。 「……ちっ、上手く避けたか……」 聞き覚えのある声だ。見ると、見覚えのある少女がいた。 「お嬢ちゃんか。ったく、なかなか汚ぇことしてきやがって」 「それはこっちの台詞よっ! このくそオヤジ!! ここで会ったが百年目、覚悟しなさい!」 言うなりアルノーはダートにタックルを仕掛ける。ダートが休憩所に選んだだけあって、この付近には罠がなさそうだったからだ。地面に倒したところを、隠れて入るミヤが網(これは先ほど二人が掛かりかけた罠の一部だったものだ)を被せて動けなくする手筈になっている。 だが、さすがにそうは問屋が卸さなかった。 彼女のタックルは鋭い身のこなしでかわされ、さらにお返しとばかりに足を掛けられ、反対に転がされてしまったのだ。 「おいおい、いくら不意打ちったってなぁ、お嬢ちゃんが俺に格闘挑んでくるなんざ千年早ぇぜ。無謀もいいところだ」 悠然とこちらを見下ろし、近づいてくるダートをアルノーは体を起こしながら睨みつける。 「そうかしら?」 反論し、にやりと笑う。どうやらこの男は失念しているらしい。無理もないといえば無理もないが。 ダートはこちらの余裕をやはり不審に思ったらしかった。ふっと、後を振り返る。 その時、それは起こった。 「ミヤアタ〜〜ック!!」 それは見事にダートの顔にヒットした。なんとミヤが、網の束でダートを横殴りに殴ったのである。そしてさらに、あまりのことに身動きできない彼に、もう一撃加える。 「ミヤパーーンチ!!」 ミヤの必殺の鉄拳が、ダートの顎にめり込む。その凄まじい勢いに押され、ダートはバランスを崩し―――石作りの罠に、見事後頭部を打ち付ける。 「……ひ……非常識、だ……」 最後の力で講義の声を上げながら、彼は意識を失った。 |