人工楽園(1):黒い分度器

 砂が舞う…。

 何時果てるとも分からない広大な砂漠を渡る夜の風は冷たい。風は夜の音の全てを支配していた。空には巨大な月が浮かび上がり、うねる砂の波をくっきりと照らすし出す。

 月に影が過ぎった。その姿はまるで大きな魚のようだ。そして、その影は他にも幾つか浮かぶ円盤状の影の間を縫うように泳ぎまわっている。しかし、その影が泳ぐのは砂漠の空であり、砂である。

 不意に影が砂の海原に消えた。

 幻想的で雄大な風景。人間の入りこむ余地などないかのように思える。

 しかしそこにも人は息づいているのである。

 砂混じりの風が砂漠を渡ってゆく、砂の海原のただ中に…。

 風が愛でる幾多の砂の丘の間に…。





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