人工楽園(3):黒い分度器

 儀式は…いや、取引は始まった。村の長老は紅潮した顔で40年間かけてためた1000ゴール相当の魔鉱石を技師に手渡した。これは、彼ら砂の民1000人が1年暮してゆける額に相当する。技師が魔鉱石をうけとると同時に、村人たちの間からは歓声が漏れた。長老は右手を上げて民衆を静めると、良くとおる声で厳かに言った。

「リューネ、こちらへ。」

 リューネはゆっくりとした歩みで長老の方へ歩いてゆく。皆一様に押し黙り、かがり火の燃える音だけが響いた。

「ゴードン殿。古よりの慣わしにしたがって、この娘を捧げます。」

「ああ…。」

 ゴードンと呼ばれた男はつまらなそうに頷き、星空に浮かぶ楽園の影を見上げた。





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