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潜海艇。私のライフワークの一つ。 模型レベルは、かなり早い時点で成功を収めています。 潜ったり浮かんだり、といったところは、おおよそ思い通りにできました。 その後、模型でなく本物を作って、自分で乗ってみたところ・・・ おかしい・・・沈んだり潜ったりしている。一向に浮かぶ気配が無い。 模型ではうまくいったんだけどな。模型と違うのは、自分が乗っていること。 自分が乗っているとはいえ、人間の比重は海水とほぼ同じはずだから・・・ あ! 船室の中は海水じゃなく空気で満たされているんだっけ。 ということはつまり、ここの計算をやり直せばうまくいきそうですね。 良かった良かった。 ・・・いや待て。良くない。 今の設計だと、浮かぶはずがない。 浮かんだり沈んだりするためのギリギリの設計だから、おもりを全部捨てても、 今の空気室の容積では浮力不足だ。誰にも言わずに一人で潜ったのは大失敗。 真下に向けてバブルメタルジェットか何かを装備しておけば良かったなあ。 あとほんの少し浮力があれば、時間をかければ海面に上がれると思うんだけど。 安全に対する配慮が足りなかったなあ。 ああ、私の航海というか人生は、こんなところで終わってしまうんでしょうか。 だんだん寒くなってきました。ゆっくりとですが、確実に沈んでいる証拠です。 水圧に耐えるのは難しかったけど、やっとの思いで付けた小さな窓。 今はもう、この窓をのぞいても何も見えません。一人の人魚を除いては。 ・・・人魚? リバタリアにも人魚はいるけど、別人ですね。 まさか、メルヴェイユが近いのでしょうか。 あ、目があった。この方、寂しそうな目をしていますね。 ああ、そうか。 この人魚も、リバタリアの人魚と同じく、仲間からはぐれてしまったんですね。 仲間からはぐれてしまったといえば、今の私も同じですね。 しばらく見つめあっていましたが、やがて彼女は視界からいなくなりました。 またしばらく経って。 艇がゆっくりと浮かびはじめたことに気付きました。一体何故? 私にはなんとなくわかりました。さっきの彼女が、この艇の下にいるのです。 聞こえるはずなんてないのに、言わずにはいられませんでした。 「ありがとう」 ずいぶん時間が経って、窓の外が徐々に明るくなってきました。 もう少ししたら、下側のハッチを開けて、泳いで海面まで行けそうです。 もちろん、艇内は海水で満たされ沈んでしまいますが、彼女のことも心配です。 これ以上無理をさせるわけいにはいきません。 意を決してハッチを開く。 はじめは漏れ出す程度だった海水が、やがてハッチを跳ね上げる。 艇はバランスを失い、急激に傾いていく。 艇内が海水で満たされる直前、一つ大きく息を吸い、ハッチから海へ泳ぎ出る。 海面を目指しながら彼女の姿も探したけど、見つけることはできませんでした。 まさか力尽きて? いや、そんなはずはありません。 海に消えた1号機には、彼女に敬意を表して「マーメイド」と名づけました。 残念ながら、これはおくり名になってしまったけれど。 きっとまた、会えるよね。
established 2002.03.17
LAST update 2002.03.17