ときめきメモリアル forever with you



「■■■■たいんでしょう?」
その男はそう言って商店を見た。
サークル活動を終え、学校から帰る途中のことである。
月の光を受けて輝く眼鏡に隠れて、男の瞳は見えない。
だが。
圧倒的な力をもってその視線は商店を貫いていた。

あの時ーー彼はなんと言っていたのかーー。永遠とも思える闇の中で商店は1人、記憶を探る。幸いにも、考える時間は十分あった。
深くーーもっと深くーー。

当時、商店はバリバリのメガドライバーであり、ガチガチのサターンユーザーであった。
本人もそれについては満足していた。満ち足りてもいた。
だがーー。

「本当は■■■■たいんだよ、君は」
その言葉がーー困惑させる。
そしてーー揺らぐ。動揺する。動揺は不安を呼び覚まし、人の根源的な 感情、恐怖をーー産み落とす。
恐怖?
いや。首を振る。ちがう。これは、この感情はーー。
あの時生じたあの感情はーー。

「君に足りないのは■■■■だよ。買うんだ。否、買うべきだ」
そう、断言する口調の強さ。
ああーー駄目だ。
揺らぐ。
揺らいでいる。
その揺らぎが商店の心を、世界を蝕んでいく。塗り固めていく。
■■■■に。

「君が、君の魂が欲しているのは要するにときめきなんだよ」
ときめき。
月が雲に隠れ、おぼろげな水銀灯の明かりだけが世界を照らす中、その言葉は、商店の心に強烈な輝きとなって焼き付いた。

商店が「ときめきメモリアル forever with you」を買いに走るのは、それから数日後のことである。

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