言葉の、欠片。

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病院のにおいは、抜け出した魂のにおい。

電車の音は、心臓の鼓動に似ている。

月の光が、私の心を研ぎ澄ます。
降り注ぐ月の光に、私の心は温められる。

涙なんて捨ててしまったから、僕ハ代ワリニ血ヲ流ス。

頭が、痛む。
頭痛のゆっくりとした重いリズムにあわせて、
宴が始まる。

お願い。
僕を必要だと言って。
さもなければ、
お前なんか必要ないと。

ねえ。
どうして僕を縛りつけるの?
どうして捕まえていてくれないの?
どうして?

もし今の状況が違っていたらなんて、無意味なこと。
今までの人生が違っていたらなんて、無意味なこと。
今の僕を作ったのは偶然という名の、
必然の積み重ねだから。

悲しいのは、こんな時。
半ば理性を失っていながら、
それでも、
自分のことしか考えていない
自分を見つけたとき。

沈黙も、
ごまかしも、
残酷なことでは、同じ。

愛してるよ。
太陽も月も星も、
雨も風も雲も、
土も草も木も。
この世のすべてのものを、愛している。
憎んでいるのは、
人間だけ。

夜は好き。
僕が本当は愛されているのだと、
信じさせてくれるから。
朝は嫌い。
僕が本当は愛されてなどいないのだと、
容赦なく思い出させるから。

語りたくとも語ることのできない、そんな言葉が
この世にはこんなにたくさんあるというのに、
どうして君は言葉にできる思いさえ
口にしようとはしないのだろう。

肉欲は、恋ではない。
依存が恋でないのと同じように。

スリルによって増幅された生。
そんなものに慣れてしまえば、
もはや普通になど生きてはいけない。
現実は、色あせた絵。
極彩色のスリルを求めて、
亡霊のように彷徨うだけ。

それから間もなくして、彼女はこの世を去った。
おどろくほど小さくなった彼女を見ていると突然、
自分が彼女に愛されていたことを思い出した。
涙は、出なかった。
ただ、ため息が少し。
自分は、こういうものを捨ててきたんだな、と思った。
ぼくは、いったい何を求めているんだろう?

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