| アルコール
年末年始というのは、こう飲める機会が増える。気分的には嬉しい限りだが、俺の肝臓は泣いているかもしれない。
年末は忘年会だと騒ぎまくり、年が明ければ新年会と言って騒ぐ。
こう騒げる機会はなかなかない。
しかし、酒というものは「我を忘れて楽しく」なってきてからが本番だ。平衡感覚がなくなるくらいなんて甘い。それは飲むとは言わない。ボトル3本を空けるくらい当たり前だと思ったほうがいい。
タバコを吹かしていると吸っているの違いだね。まぁ、酒もタバコもやらない奴には一生わからないかもしれない感覚だけど。
しかし、まぁ酒が絡んでくると普段じゃ出来ないことを往々にしてやっちまう。さすが魔法の水と言ったところか。
上司とは、いつもは考えられないくらいにフレンドリーになっていたり、数人でズラ疑惑の奴の髪の毛を狙ってみたり。なんだかガキのころに戻ったような気分になる。しかし、あの上司が本当にズラだったとは驚きだ。向こうは本気で出来上がっていたからいいようなものの、髪の毛を持ったら、ズルリとずれたあの時の面白い事面白い事!俺はその場で一気に英雄扱いだった。が数日後には部署が変わっていた。あれはやりすぎだったかもしれない。無礼講すぎたな。いや、会社をクビにならなかっただけでもマシかもしれない。うん。
記憶がなくなるまで飲むとまた凄い事を平気でやるようになる。
道に落ちているもの(例え置いてあっても酔っ払いには落ちていると認識する)ケロ○ンやケン○ッキーのおっさん、携帯ショップの等身大ポップ、工事現場のライト、道路標識等々なんかは知らない間にお持ち帰りしている。
朝起きるとびっくりさ。知らない間に、隣でにこやかに微笑む直立不動のカーネル・サ○ダースが寝ている姿を想像してみてくれ。誰だって驚く。しかも、記憶にないから、どこの店から持ってきたのかもわからない。返したくても返せないし、狭い部屋には邪魔なだけだ。
だから、ふと店前にあるはずの人形がない店を見ると、家で突っ立っている人形の事を思い出して早足で店先を去っていく。そして、その店にはなかなか入れないのだ。まったくもって困った話である。
もっとヤバイのは女性だ。どこで引っ掛けたのかわからないし、人形と違ってやる事もやれる。しかも、両方酔っているから、ヤったのかヤらなかったのかわからない。二人で朝起きて、お互いの顔を見ながら苦笑いだ。怖くて昨日何があったなんて聞けたもんじゃない。滅茶苦茶気まずい雰囲気を醸しながら苦笑、苦笑、苦笑。
服が乱れてなかったなら、まだ何もない事が予想できる。下着姿だとレッドゾーン、裸だったら、完全にアウトだ。お互い裸で一緒のベッド。これで何もなかったハズがない。なかったとしても、起きた時にばっちり裸を拝ませてもらうことになるんだから、女性側からは似たようなものかもしれない。
まったく、そういう気持ちがイイ時の記憶だけは残しておきたいもんだ。
苦笑し合うならまだいい。起きたら女が泣き出したら最悪だ。酔っ払っていて、ヤったかどうかもわからない。記憶だって当然ない。ヤったかヤらないか分からない、気持ちイイ思いをしたかどうか分からない女のために気まずい雰囲気。更に鬼気迫ったような表情で「責任とってくれるよね?」とか言い出す。酔っ払って誘う方も悪いが、誘われる方も同類な気がするんだが。違うんだろうか?それとも女の戦略にハマったのか?こうなる毎、言い訳に必死だ。ベッドのシーツにその証拠が残っていれば観念するが、残ってないとなればこっちも防戦。濡れ衣かもしれない事件の犯人にはなりたくない。
これが原因で付き合うようになればまぁ、それもありかもしれないが、結婚となると俄然話が違う。男やもめ。まだまだ一人でいたいところだ。縛られるのはまったくのごめんだね。その女性には悪いけどさ。
これが異性じゃなくて同姓や半分同姓な人だったりすると、俺も必死だ。相手が気の知れた相手ならまだ何もなかったことが分かるが、男のくせになぜかしなを作ったり、なぜか女っぽい奴だったりしたら、身の危険を感じ、自分に異変がないか必死。「な、何もなかったよな?」と恐る恐る聞いてしまう。答えが返ってくるまで(あぁ、死刑宣告される気分ってのはこんなんだろうか?)とそんな事を考えてしまう。あれは寿命が縮む瞬間だ。相手も覚えてないとなると、背中のあたりにいやな汗を感じて、昨日の記憶を脳味噌フル回転で思い出す。あの店行って飲んで、おねぇちゃんと遊んで、はしごでもう1件……それから…それから…思い出せ!思い出すんだ!俺!
今の所、過ちはないし、身体に異変もない。本当にこれだけは勘弁してもらいたい。いや、本気で。
それでも酒は止められない。いや、止めたくない。これほど面白い物はないと思う。酔っ払うというのは凄い事だ。それに止めようとしても、絶対誘いがあるから止める事は不可能だと思う。
おっ!?携帯だ。
んー俺、俺。はぁ?また飲み?今度は綺麗なおねぇちゃんがいる?それ本当だろうな?この前のクラブのママ、小泉今日子じゃなくて泉ピン子じゃねぇか。はぁ?今度は本命だぁ?おーし分かった。もし違ったら今回お前の奢りな。馬鹿言うな。当たり前だろー?んー。おう、分かった。んじゃ6時にいつもの飲み屋集合な。おう!了解!おう、おう、分かってるっちゅーに。しつこいなお前も。分かってるって。じゃぁな!
ほらまた飲みの誘いだ。それじゃ、また今日も飲んできますか!
明日起きた時には何もない朝を迎えられるように努力はしておこうかぁ……。
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