慣れ

慣れ

 最近、会社の中でハマっているモノがある。
 あまり男の人には、見せられない。
 私も数回使ってみたが、痛いだけだった。
「アレ、試してみたんですけど、やっぱり痛くて」
「あら? 痛いのは最初だけよ」
「そうなんですか?」
「ええ。最後には凄い気持ちイイんだから」
 教えてくれた先輩が、こっそりソレを見せてくれた。
 私はちょっと使っただけで、やめてしまったが、先輩は凄く愛用しているらしい。
 先輩のソレは、すでに少し色があせてきている。
「痛くないんですか?」
「フフフ。このイボイボが、微妙な所を刺激してイイのよ」
 先輩は不敵に笑ってみせた。
 その表情からは、苦痛は見えない。
 どちらかと言えば、快楽を得ているような感じだった。
「私も、その、気持ちよくなれるかな?」
「慣れれば大丈夫。そりゃ、初めはちょっと痛いかもしれないけどね。そのうち、コレが無いと生きていけないカラダになるかも」
「なんかヤだなぁ」
「それだけ気持ちイイって事。必需品かもよ」
 けらけら先輩は笑う。
「経理課のサトミなんか、凄く気に入って毎日使ってるんだから」
「毎日ですか?あのサトミさんが」
「ええ。もう普通のヤツじゃ、物足りないとか言ってた」
 そんなに気持ち良くなれるものなのだろうか。
 好奇心と疑惑心が入り交じる。
「ま、数日試してみなさいな。やめられなくなるから」
「うー」
 好奇心が私の中で勝った。
「ん」
 ソレは動くと痛みがする。
 これで激しい動きなんかできるんだろうか?
「大丈夫、大丈夫。慣れれば激しく動いてる時の方が気持ちイイんだから」
 先輩は、私の心をのぞくかのように、そう言った。
「でも、ちょっと恥ずかしいですね」
「そう?」
「言えませんよ。健康サンダルにハマってるなんて」
 自分の履いているソレを見つめる。
 しばらく我慢していたせいか、なんだか気持ちよくなってきた気がした。
 うわ……本当にクセになりそ…。

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