整形
整形

 「綺麗になりたいんです!」
 私はそう言って、先生に顔を近付けた。
 その顔は興奮していたし、少々イライラしていたから、あまり良い表情じゃない。
 元々はそんな悪い顔じゃないと自分は思っていたのに。
 突然、彼に言われた。
 「お前、なんか変だぞ」
 体中に電撃が走ったようなショックである。
 パーマ、ブリーチ、メイク、ピアス、ムダ毛処理、眉毛加工、ダイエット……。
 出来る事は総てやっていたのに。
 そうなれば、整形しか他に道はない。
 だからこそ、私はこんな所に座っているのだ!
 「先生!」
 「まぁ、そんな興奮しないで」
 にこにことマイペースに先生はそう私を沈める
 そうは言っても簡単に落ち着けるわけもなく、しばらく先生を睨み付けていた。
 「ウチのやり方はちょっと他と違ってますよ?」
 ゆっくりとした口調の先生に向かって私はコクコクと頷いた。
 そんな事どうでもいい。
 ただ、綺麗になりたかった。
 「しかし、最近の娘は工業製品みたいだねぇ」
 「え?」
 「だってそうじゃないか。君だって原型が分からないくらい加工しているのに、まだ加工しようとしてる」
 突拍子も無いことを言われ、私は眉をひそめた。
 何を言ってるんだろう?この先生は。
 「パーマ、ブリーチ、メイク、ピアス、ムダ毛処理、眉毛加工、ダイエット……っと。一目見ただけでも7加工してある。まったく工場の製品みたいだよ」
 私の顔をカルテを書くために持っていたボールペンでそう良いながら顔の箇所を差してた。
 ムっとしてその先生を睨み付ける。
 セクハラも良いところだ。
 「何よ!言いたい事言っちゃって!」
 「まぁまぁ。私達整形外科医には嬉しい事なんですよ。どんな方法を使っても、今の時代可愛くなったもん勝ちですから」
 「…………」
 言われてみればそれも一理だ。
 整形までするんだから、可愛くなったモン勝ちよねぇ。
 「それじゃ、手術を始めましょうか?」
 「ええ!とびきり可愛くしてちょうだいね」
 「分かってます。ギリギリ車検に通るくらいの改造ボディにしてみせますよ」
 ん?
 私は先生の言った車検という言葉が気になった。
 何かの冗談かしら?
 まぁ、この先生ちょっと人とは違うから冗談交じりでそう言うのかもね。
 気軽にそう思っていたが、次の瞬間、私は顔が青くなった。
 「ココはARTRA(極限作業ロボット技術研究組合)の組織下の病院でね。任せて置きなさい。最近HONDAが2足歩行を完成させたから、きちんとした人間の形で全然普通の人と外見は変わらないし、永遠の若さを得られるように加工するから」
 え!?
 私は耳を疑った。
 「それってもしかしてロボットにされちゃうの?」
 「アンドロイドですよ。ウチは特殊だって言ったでしょう?」
 平然とそう先生は言う。
 その表情に嘘は見えない。
 本気で言っているのだ。
 「外見をいろいろ加工してるんだから、内面だって工業化を進めないとね」
 私は声にならない叫び声をあげた。

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