戦争
戦争

 聖夜、クリスマス。
 誰もがキリストを祝う日。
 家族団欒を過ごす日。
 が、それでも戦争は起こっている……。
 銃声がどこでも鳴り響いているこの地。
 身を物陰に隠し一時休憩を取った。
 が、緊張を解く訳にはいかない。
 絶えず銃を撃てるように構えておく事を忘れない。
 ダダダダダダダ……
 絶えず聞こえるマシンガンの銃声。
 そっと首にかけているペンダントを取り出し、その先のロケットの中身を確認する。
 この戦争で失った彼女の写真。
 写真で永遠に笑っていても、実際の彼女はもう微笑む事はない。
 彼女の温もりを感じることさえも。
 「あのクソ皇帝が!」
 ロケットを仕舞い込む。
 彼自信、勝てる戦争だとは思っていない。
 明らかに不利な状況。敵の数。武器の量。
 が、彼は小休憩を終え、彼は再び戦地の中央へと走り出した。
 荒れ狂う銃弾の中、彼はこの国の政治を変える為に、自分の正義を貫く為に走る。
 皇帝を悪だと思って。
 何人の人を殺し、何人の人が殺されただろう?
 この聖夜に。
 キリストの誕生の日にも、人々は戦いをする。
 「腐った政権は我らが変えなければならないんだ!」
 意地と執念。
 彼の正義を証明するモノは勝利でしかないのだ。
 彼は銃器を構え、トリガーを引く。
 銃声と絶叫の交わる中、鉛玉を吐き出す。
 何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も……。

 人間の歴史に「絶対善と絶対悪の戦い」などない。
 あるのは、主観的な善と主観的な善との戦いであり、正義の信念と正義の信念との相克である。
 一方的な侵略戦争の場合ですら、侵略する側は自分こそが正義だと信じているのだ。
 戦争が絶えないのはそれゆえであり、人が神と正義を信じている限り、争いはなくなるはずがない。

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