存在
存在

 僕は気になっていたことがあった。
 「なぁ?君から見た僕はどうなんだろう?」
 「はぁ?」
 彼女に問いかけるが、素っ頓狂な返事が返ってきただけだった。
 質問の意味が通じていないらしい。
 「いやさ……君から見た僕は何なのかな?って」
 「何よぉ。愛してるとでも言って欲しいの?ばかぁ」
 ちょっと照れながら彼女は小さくもじもじとしている。
 上目遣いに僕をちらちら見ながら顔を赤らめて。
 「愛してるわ……」
 そう僕にささやいた。
 嬉しくないと言えば嘘になる。
 むしろ嬉しいくらいだ。
 でも、僕の聞きたい事はそうではない。
 もっと………
 怪訝そうな表情を僕はしていたのだろうか?
 彼女が、少し困ったような恥ずかしいような表情をして、僕を眺めている。
 「あ、あれ?違うの?」
 「うん……そう言ってくれるのは嬉しい。本当に。でも……」
 僕は迷った。
 これを口にしていいものだろうかと。
 「僕って存在は何なんだろう?」
 何も取り柄がない。
 カッコイイ訳でもそんな格好悪い訳でもない。
 特技も皆無に近いし、何でも平均的だ。
 「あら?そんな事で悩んでいたの?」
 彼女はさも、可笑しそうに微笑む。
 その答えを知っているかのように。
 「君は僕の存在意義を知ってるのかい?」
 「ええ」
 彼女のはにかむような笑いに僕はドキリとしながら身を乗り出していた。
 「アナタの存在が私に元気をくれてるの」
 彼女がふふふふと幸せそうな笑みを零す。
 なんだかそんな彼女のノロケに僕は可笑しくて笑い出した。
 そうか。人を一人幸せに出来るならそれはそれで凄いじゃないか。
 僕は彼女を見つめ返して、笑い合う。
 可笑しくて可笑しくてたまらない気分だった。

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