新春特別企画
 【F・E、ぜつあい小説・
       もうたまりませんシリーズ】


マリクの太もも2

(佐々木某の声で読んでねっ)
作・つる。


 どうしてだろう。
 誰も僕の太ももを見てくれない。せっかくむき出しにしているのに…。
 アリティアの草原の風は、まるで僕をなぐさめるように太ももをなぜていった。
 向こうの方で楽しそうな話し声が聞こえる。ボクのマルスと商売敵のリンダだ。ボクのマルスは僕の太ももよりリンダの太ももの方が好きなんだろうか。
 たまらない悲しみが僕の心をおそった。悲しみが体を冷やしていくような気がして、せめて手をあたためようと、僕はポケットに手を入れた。ポケットにはトロンが入っていた。
「トロンか…。」
 僕はおもむろにそれを口に運んでみた。
 突然、僕の中に電撃が走った。
 美味い!
 トロンは電撃の魔法なので、口に含むとドンパッチ(カダインで流行していたアメの一種)のようにはじけて、快感とも美味とも言えない恍惚感を与えてくれるのだ。これは「もうたまりません」だ。
 魔法を食べる…これは案外イイかもしれない。そう思った僕は、次々と色々な魔法を食べてみた。
 サンダーはトロンに似たドンパッチ味。攻撃力が低い分、いくらか薄味のようだ。ファイヤー、エルファイヤー、ボルガノンは燃えるような(ほんとに燃えているからネ)エスニック味。僕としてはエルファイヤーあたりが一番美味しいと思う。通は適度の辛みを好むというし…。
 ウォームは虫なので、かなりの珍味。こんな下品なものは僕の口に合わないので、食べかけのウォームを佃煮(カダインではよく砂漠のふんころがしで佃煮を作ったものだ。)にして、酒を飲んでいたオグマとナバールにあげた。
 ナバールは少しニオイをかぐと、疑惑の瞳を僕に向け、決して食べようとしなかった。
 何も知らないオグマは「ちょうどツマミが欲しかったんだ」と言って嬉しそうに食べていた。
 いいことをすると気持ちがいい。
 まだ食べてない魔法はスターライトとオーラと僕のエクスカリバー。オーラはリンダが手渡そうとしない。ケチな娘だ。エクスカリバーはもったいないから食べないようにしている。
 そうだ、マフー。ガーネフだけが使うマフーはどんな味がするんだろう。
 新たな希望に僕は燃えはじめていた。このときからイキイキしたぴっちぴちの毎日になっていったように思う。しかし、仲間たちが僕の事をなんとなく避けるようになったのも、このときからのように思う。
 なにはともあれ今日も僕の太ももはむきだしだ。

おわり。

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