悪の司祭太もものマリク


   ―――三年後のマルス達・
           新たなる恥の旅立ち―――
作・なばる野のぐそ


   1.キングLV1

 僕はため息をつく。
「王とは退屈なものだな。」
「それは私が貴男の仕事を見事にこなしているからですわ。マルス様。」
 隣で僕のすべき仕事をガンガンこなしている后のシーダが言った。

 アリティアとドルーアの戦いが終わって、三年の月日が流れてようとしている。
 その後、僕はすぐシーダを后に迎え……王がすべき仕事は皆シーダにやってもらった。
 結婚してみると、シーダは思ったより頭が良く、肝が据わっていて、怖かった。
 気が付くとアリティア王国の実権はシーダに握られていた。
 なんという事だ。
 これでは、
 退屈ではないか。
 ああ、あの戦争中は良かった。
 あの頃はまだシーダは可憐な少女(に見えた)だった。僕はアリティア軍の中で一番偉かった(今の方がもっと偉いのに、なんで皆シーダにばかりヘコヘコするんだ!)し、メリクルやファルシオンを振り回すヒーローだった。かっこ良かった。ファルシオンを持ったときなんか宙返りまでした。
 なのに、そのファルシオンも他の王家の武器と共にシーダが専用の博物館なんぞを作り、高い入場料を取って見世物にしている。僕は退屈なのに宙返りも出来ない。
 でも、本当は、ファルシオンが手元にないのが一番悲しいわけじゃないんだ。
 僕が本当に悲しいのはこれだ。これだよ。
     ナバールがいない。
 ナバールがいない。ナバールがいない。ナバールがいない。
 三年前のあの日、ファルシオンをウラ技で手に入れていた事をナバールに隠し、わざとナバールにメディウスを討たせた。そして特別な恩賞を与えると言って、ナバールにエッチしようとした。そうしたら、彼は逃げてしまったのだ。くっそう。あの計画はツメが甘かったな。
 とにかくナバールがいない。
 それが一番悲しい。
 出来ることならば、会ってエッチしたい。それが僕のささやかな願いだ。ん?なんだその目はっ!?読者諸君、これはささやかというものだろう?何で「そおかぁ?」って目でここを読んでるんだ。一国の王の願いとしてささやかなものだとは思わないのかっ。僕は王様なんだぞ。
「シーダ様っ、大変ですっ!」
「おい、カイン。大変な事なら何故王たるこの僕に先に声をかけないんだ。僕はここにいるんだけどね。」
「あ、すみませんマルス様。眼中になかったものですから。そんな事はどうでもいいんです。シーダ様っ、博物館の王家の武器シリーズ一式、何者かに持ち去られてしまいましたっ!!」
「何ですって!?」
「い、一体誰がそんな事をっ!?」
「わかりませんっ。ただ、割られたケースの中にこんなものがっ。」
 僕とシーダはカインの差し出した「こんなもの」を見た。それは一枚の紙だった。紙には字が書いてある。
   マリク。
「なんでこれで誰かわからんのじゃあっっ!!」
 僕はカインを玉座で殴った。案ずるな。カインの守備力は高い。

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