ナバールの手記

2.希望

「素晴らしい殺戮の世界へ誘っている」と感じたのは、俺の気のせいではなかった。
 アリティア軍に入ってすぐ俺は、盗賊側を振り返り、真っ青になった盗賊達を次々と斬った。
 すごく気持ち良かった。心が洗われるようだった。
 盗賊達を斬る感触は、シイタケを斬ったときよりもサクサクした感じでキレが良かった。手応えのある敵も快感だが、弱いのも早くキレイに片付くので悪くない。
「用心棒さん……いえ、ナバールさん。」
 シスターのレナがリライブをかけてきた。
 あ、その杖は……。
「あのときはごめんなさい。人違いで貴男をこの杖で殴ってしまって……。」
 そうだ。あのときレナは殴った勢いでリライブの杖を手放してしまったのだ。牢の中に転がった杖は盗賊団(サムシアン)のボスに渡されたと聞いたが……。
「盗賊団(サムシアン)のボスは今僕が倒して来たよ。」
 兵士達の背後からナマイキそうなガキが現れた。
 ガキの存在に気が付くと、兵士達はガキの為に道をあけた。その道を通ってガキはエラそうに俺の方へ歩いて来る。
 あ。
 このガキ。
 莫大な経験値の相が出ている。
 俺はキルソードをかまえた。
「あっ!!なりませぬぞナバール殿っ!!その方はアリティアの王子ですぞっ!!」
 白髪頭のパラディンに止められてしまった。他にもシイタケ男や殺戮ペガサス女、その他諸々が俺の手足を抑えつけている。
 王子だか何だか知らないが、こんな経験値の塊を放っておけというのか。
 白髪パラディンが俺に説教を始めた。
 アリティア兵になるということは、どうもこのガキを絶対に殺さないで、むしろ守るという約束をすることらしい。
仕方がない。この戦いが終わって俺がアリティア兵でなくなったら、そのときこのガキを殺そう。
「ナバール。君のような強い人が来てくれて僕はとても嬉しく思っている。これから世界に平和を取り戻す為一緒に戦ってくれるね?」
 ああ。世界が平和になるまでは一緒に戦おう。平和になったらお前を殺す。
 俺の心には希望が生まれた。

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