大切をきずくもの
丸いケーキを彼の正面に置く。
そこに彼の年と同じ分ロウソクを立てていく。
「ロウソクいいのに。こんなに刺さってっとなんかマズそうだぞ。」
「ロウソクのないケーキはいつでも食べられますよ。さ、お願いします。」
エルクさんが苦笑しながらも、ケーキに手をかざしてロウソクに火を点す。
僕は誕生日にはケーキを用意するっていつ知ったのかな。
ロウソクは年の数だけってのはいつ覚えたんだろう。
わからない。
思い出せない。
だけどきっと祝ってもらったことはあるんだ。
思い出はなくても、特別な人と誕生日を過ごせるのが嬉しいっていう感覚を、僕は知ってる。
「一気に吹き消して下さいね。」
彼は最初は仕方ねぇなという面持ちで、でもいざ始めると一息で終わらせようとしてムキになり、息を継がずにやり遂げると得意げな顔になった。
「誕生日おめでとうございます。」
思い出はなくても、特別な人と誕生日を過ごせるのが嬉しいっていう感覚を、僕は知ってる。
だからこうしてエルクさんをお祝いしてあげたいと心から思うんだ。
記憶はないけれど、僕にこの感覚を与えてくれた方々に、感謝します。
end
<言い訳です>
祝ってあげたいのは、自分が祝ってもらったことがあるからだという、
ありがちな話ですが、もう3回めともなるとネタが浮かびませんでした…。