Real me
キャンドルを挟んで向かい合う。炎は小さく頼りないけど、ほのかな温もりを与えてくれる。その下で繋いだ手は、確かな温かさを伝えてくれている。
ゆらゆらと照らされて見えるのは、大切な人の寛いだ表情。そうさせているのは自分だと思うと誇らしい。でもそう言う自分も、おそらく同じような顔をしてるんだろう。
幸せで、笑いがこぼれる。火の向こう側でも笑ってる。互いの息でかすかに炎が揺らめいた。
「…僕、炎を目にするとエルクさんのことを思い出します。いつも…。」
◇◇◇◇
『あなたは?何かで僕を思い浮かべることはありますか?』
聞きたいのに、口に出来なかった。きっと困らせるだけだから。二人の気持ちの深さの差を思い知りたくない。
『炎だけか?俺は何を見てもおまえが思い浮かぶぜ?』
聞きたいのに、口に出来なかった。きっと戸惑わせるだけだから。二人の気持ちの強さの差を思い知りたくない。
◇◇◇◇
少しだけ生まれた寂しさが消えるまで、手に力を入れないように気を配る。わずかでも震えたりしたら、悟られてしまうかもしれない。この空気を壊したくないんだ。
やり過ごすために、微笑みに混ぜて吐息をついた。火の向こう側では、幸せそうに笑ってた。
「…誕生日おめでとうございます…。」
「…サンキュー…。」
自然に言葉を交わせた。もう大丈夫、安心して手を握りなおす。側にいてくれるとこんなにも安らぐ。これ以上を求める必要はない。
だけど、いつか…ずっと先でいいから、同じくらいの愛しさを自分に抱いてほしい。いつまでだって待てるから。
自分には過ぎた願いだと承知していても、望まずにいられない程、大切な人、失えない人。
end
<言い訳です>
暗っ!誕生日なのに!真ん中以外は二人の共通の思いです…って説明が必要なのが痛いところ。
ある方に「アレクはいつも不安。エルクはアレクにおっかなびっくり接してる」という話をしていただいて、浮かびました。
セリフを変えれば、誕生日以外にも、クリスマス、バレンタイン、ニューイヤー、ハロウィンと、
とにかくキャンドルを灯せば違和感なさげなネタでございます。