君ヲ想フ

 


 元気ですか?暑くなってきましたね。
 シュウさんが髪を切ったそうです。暑いからなのかはわからないけれど。
 もっとも暑さ対策だとすれば、最たる改善点は服装ですものね。あの装いは変わらないそうよ。
 あなたはどうですか?短髪にしたくなりましたか?でもこの日差しの下で、あなたの髪は輝いてとてもきれいでしょうね。透き通るような銀色が目に浮かびます。

 今日はアレクが学院まで顔を見せに来てくれました。
 仕事でジハータに寄ったのですって。相変わらずたくさん依頼を引き受けているみたい。明日にはパルテに出発すると言っていました。
 忙しいのはわかるけれどちゃんと身体を休めてるのか尋ねたら、パルテで用を終えた後は休暇をとることになっているということでした。
 アンリエッタにさぞしつこく引き留められるでしょうね。うまく退けるのよと応援しておきました。

 そしてアレクを夕食に招きました。と言っても普段どおりの食卓でしたけれど。
 アレクが辛いもの苦手だって、あなたは知っていた?私は知りませんでした。
 自分が人よりも辛い味が好きなのはわかっているから、アレクの分はそれほど辛味はきかせなかったつもりです。あなたに作るのと同じくらいの辛さにしたのよ。でもアレクは最初の一口を飲み下すのに、二杯の水が必要でした。
 口に合わないのなら無理しなくていいと止めたのだけど、顔を真っ赤にして汗をかきながら、半分も食べてくれました。途中何度も咳き込んだせいで、声が掠れてしまっていたわ。残してごめんと済まなそうに言った時、とても咽が痛そうでした。
 ちゃんと好みを確かめるべきでした。アレクには悪いことをしました。でもアレクが頑張って食べてくれたのは、やっぱり嬉しかったわ。涙目で、一口毎に覚悟を決めるような深い息をついていたけれど。
 アレク、お腹は大丈夫かしら?だいぶ咽がヒリヒリするみたいで、アレクは結局デカンタ二杯の水を飲み干しました。その上、他のお皿はみんな平らげてくれたのよ。きっと胃の中はたぷんたぷんでしょうね。明日の船が心配だわ。

 でもね、食後にその料理のレシピを聞かれたの。あれだけ苦しげに口に運んでいたにもかかわらずよ?知り合いに辛いものが大好物の方がいるから、作ってあげたいのですって。
 レシピと言っても、いくつか調味料を足しただけで簡単に出来るものなの。でもその調味料自体が、ジハータ以外ではなかなか手に入らないかもしれません。炒めたり煮たりしてもおいしいし様々な食材に合うので、アレクも色々試してみたらどうかと思い、うちにあるストックを分けてあげようとしたの。でもアレクは少し多めに持って帰りたいから、売ってるお店を教えてほしいと言いました。自分は水で流し込むようにしなければ食べられなかったのにもかかわらずよ?
 それで一緒に買いに出かけたのだけれど、アレクのことだから遠慮してああ言ったのだと思ったら、本当にけっこうな量を購入していました。そのお知り合いはよっぽど辛いものが好きなのでしょうね。そしてアレクはとても嬉しそうにしていたから、その方のことがよっぽど好きなのでしょうね。

 明日は野外授業で、いつもより少し早い時間から集合することになっているので、アレクの見送りに行けないのが残念です。
 別れ際に、次は私がアレクに料理を教わる約束をしました。おいしいものを習っておきますから、食べに帰って来てください。待っていますね。

 それでは、身体に気をつけて。修行、頑張って。無理はしないでね。

 

マーシア

 

end

 

<言い訳です。>

どれも似たりよったりだ!つまらん!ということで、視点を変え且つ手紙にしてみたという安直さ。
ヴェルハルトに宛ててます。旅人がどうやって手紙を受け取るのかは考えないで下さい…。
はたしてこれが好きな相手に書く内容かどうか…手紙というより日記…交換日記じゃあないです。
マーシアとアレクの嗜好は、適当です。オフィシャルと違ってたらすみません。

 

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