元気ですか?今日は充実した日でした。 エルクさんがペイサスにいらしてたの。ギルドでそのことを聞いて、急いで探しました。生徒達に精霊魔法を見せてあげてほしかったから。エルクさんはお店で買い物中でした。
以前アレクがうちで食事をした帰り、自分じゃ食べられない辛い調味料を買って行ったというのを覚えている?エルクさんはそれと同じものを手に取っていました。気に入っているらしく、ほぼ買い占めていました。地元の品がよその土地の方にも好まれているのは嬉しいですね。
アレクがどうしているかご存知かどうか伺ったら、近いうちに会う予定だということでした。アレクが持ち帰った分もそろそろ少なくなっている頃だと思い、エルクさんが買い漁った後のわずかばかり残されていたその調味料を購入し、アレクに渡してもらうようお願いしました。
荷物になるからか、エルクさんは最初うんと言ってくれませんでした。アレクには自分の買い込んだ中からあげてもいいからって。
でもそれではエルクさんに悪いわ。確かに尋常でない数を買い入れていて、いくつか分け与えたところで惜しくはないでしょうけれど、またいつペイサスに来られるかわからないのだし。それにエルクさんからでは、アレクが遠慮してしまうかもしれません。そんな意味合いのことを口にしてみましたが、エルクさんはやっぱりなかなか受け取ってくれませんでした。
だから、料理の作り方を聞いてきた時のアレクの様子を話したの。食べてもらいたい人がいると言って、調味料がどっさり入った袋を抱えて、アレクは満足そうにしていたって。
エルクさんはそれを聞くと、なぜかおかしそうに笑っていたわ。そして私の手から袋を引き取り、アレクに届けると約束してくれました。
アレクが喜ぶな、と言ったエルクさんは、とても楽しそうでした。きっと渡す時の、アレクの驚く様や嬉しがる様を思い浮かべていたのでしょう。
実は私ね、一緒に旅をしていた間アレクが焦っておたおたしたりするのに、笑いを誘われて仕方がなかったの。特に、びっくりしてきょとんとするのが。ああいう表情を、鳩が豆鉄砲をくらったようなというのでしょうね。あと仕事が成功した時など、アレクは思い切り顔を綻ばせるでしょう?あの笑顔も微笑ましくて大好きでした。
エルクさんも私と同じなのじゃないかしら?私がアレクを可愛い弟みたいに思っているのと、同じような感じを抱いているのじゃないかしらね。よい先輩を持って、アレクは幸せね。
それからエルクさんを学院へお連れしました。精霊魔法の件を快く引き受けて下さったの。生徒達の前で炎を操ってみせてくれ、その見事さに私も見入ってしまいました。
自然を感じ、それらに心を添わせ力を増大させる自然魔法とは根本的に違うのですね。まるでエルクさん自身が炎のようでした。
感嘆しきった生徒達がエルクさんに質問責めを始めた頃、大切なことを忘れていたのを思い出しました。私がギルドに行ったのは、エルクさんのことを聞くためではなく、自然魔法の実験の手伝いをハンターに依頼するためだったの。エルクさんのことで頭がいっぱいになって、うっかりしてしまったわ。
それを口にすると、生徒達の視線がエルクさんに注がれました。そう言えばエルクさんはマジックシールドも使いこなすと一言加えたら、皆の目は一気に輝き、期待が満ち溢れていました。
エルクさんは皆の熱意に気圧されたのか数歩後ずさったけれど、生徒達の熱心さを汲み取ってくれ、実験を受けて下さいました。炎の精霊魔法に触発されたのか、ほとんどの生徒が火系の自然魔法で臨んだので、ひどく暑く息苦しかったわ。それでも一瞬一瞬が有意義で、生徒も私もとても勉強になりました。
最後の一人までエルクさんは根気よく耐えていました。結局誰もエルクさんのマジックシールドを破れませんでした。もし誰も敵わなかったら、私も相手をお願いしようと思っていたのだけれど、言い出す前に「暑い!限界だ!もうやめ!」と告げられてしまったの。残念だわ、久しぶりに思う存分ギガプラズマを発動させられると思ったのに。
あなたも相変わらず修行の毎日ですか?今度はいつこちらへ帰ってこられるのかしら?次に戻ってきた時は、私の修行に付き合ってほしいの。ハンターに依頼してもいいのだけど、知ってる人の方が心置きなく行えるもの。
他の自然魔法はともかくギガプラズマは強力だから、学院の修練場ではあまり試させてもらえないの。でも近頃は大河や湖に強いモンスターが現れ、一人で向かうのは少し恐くて、広々とした場所で放つことも出来ません。
あなたが一緒に来てくれたら、安心して練習に打ち込めるでしょう?どんな屈強なハンターが護衛についてくれても、私にとってはあなた以上に頼りになるとは思えないもの。
だから会いに来て下さい。二人でモンスター相手に暴れましょう…なんてね。
それでは、身体に気をつけて。
マーシア
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