ボーイフレンド

 

 

 今日もギルドは賑やかだなぁ。活気があるのはいいことだよね。
 僕、今日は夕方にエルクさんが帰ってくるから、時間のかからなそうな依頼を探そうかな。

「あ、おまえそれ、チョコか!?」
「うるせーよ!」

 ん?なんだろう、隣の二人が騒いでる。チョコって、なんだか照れたような怒ったような顔してる方の人が持ってる、キレイな箱のこと?
 あ、そうか、今日はバレンタインだ。そっか、だからチョコを…

「誰からもらったんだ!?」
「別にいいだろ!」

 なんであの人はそんなにこだわるんだろう。誰からもらったってチョコはチョコだし、自分だってきっと今日食べるんだろうに。

「教えろよ〜!」
「うるさいな!」
「なぁ、誰から渡されたんだよ?愛の告白されたんだろ〜!?」

 え…誰かに渡す…愛の告白?え?チョコ?チョコを渡すの?チョコを渡すことが、愛の告白なの?
 へぇ〜おもしろい風習だなぁ。どこの地域のならわしなんだろう?サシャ村では、女の人達がチョコを作ってくれて、それを皆で食べるだけだったよ。
 去年もそうだったな。シェリルとマーシアがチョコを配ってくれた。ん?そういえば、マーシアからもらう時、ヴェルハルトぎこちなかったような気がする。甘い物が好きじゃないのかと思ってたけど…そっか、愛の告白って、パルテあたりの習慣なんだ、きっと。
 でも、おもしろいな。チョコをあげると、それが好きだって意味になるんでしょう?
 エルクさんは知ってるかな?好きですなんて、なかなか口には出来ないから、そんな思いを込めてチョコを贈るのもいいかもしれない。
 帰りにおいしそうなのを買ってこっと。

 

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 エルクさん、荷物の整理をしてるのかな。袋の中をがさがさやってる。
 帰ってきたばかりだし、もうじき夕飯だけど、なんか今渡したいな。改まってっていうんじゃなくて、さりげなくあげた方がさ。エルクさんだって変に思わないだろうし。

「エルクさん、ご飯前ですけど、これ食べませんか?」

 受け取って下さい。僕はあなたのことがとても好きなんです。これからもずっと好きです。

「あ…サンキュー。すげぇ嬉しい…。」

 あれ?エルクさん、ホントに喜んでくれてるみたいだ…もしかして、パルテの習慣知ってた?

「実はさ、俺も買ってきたんだ。おまえにやろうと思って…。」

 え?その差し出してるものは…チョコ?
 え?え!?もしエルクさんが、パルテでのチョコの意味を知ってるんなら、僕は今、愛の告白をされてる!?

「エっエルクさん…バレンタイン、知って…。」
「そりゃ、誰だって知ってるだろ、バレンタインくらい。」

 間違いない!エルクさん、照れくさそうだもん!こくっ…告白してくれてるよ!
 うわー!じゃ、さっきの僕の思いもバレてるよ!
 いや…それは、いっか。いつも伝えたいって思ってるんだし…。
 けど、パルテの風習って広まってるんだ〜。サシャ村は田舎だから、届かなかったのかなぁ。バレンタインって、『カボチャを食べれば風邪をひかなくなる日』とかと同じで、古い言い伝えか何かでチョコを食べる日だとしか思ってなかったよ。同じ日なのに、こんなに違うなんて。世界にはまだまだ知らないことがたくさんあるよね。

「じゃ、メシの前に少し食う?」
「はい。」

 エルクさんがくれたチョコ、とっておきたい気もするけど、せっかくだから一緒に食べよう。

「これじゃ、ホワイトデーは飴だらけになっちまうな。」

 ホ…ホワイトデー?白?白い日?今度はどこの習慣!?
 エルクさん楽しみにしてるみたいだけど、何をする日なんだ?白い飴を食べるのか?
 はぁ…世界って、ホント広いよねぇ。

 

 

end

 

 

<言い訳です>

サシャ村は分け隔てなく配りそうで、アレク知らなそうだなぁと思いました。
実際ホントに知らないのはアレクだけでしょうけど。
私はどうしてもアレクを天然ボケにしておきたいみたいです。
描写抜いたので、読みにくかったらすみません。

 

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