寿老人の宝物

団扇
 七福神の中では寿老人だけでなく、布袋和尚が持っていることもあるマジック・アイテム。その能力は「不吉を払い、吉祥を招く」とされている。ただ、寿老人は健康長寿を司る神であることから、寿老人の持つ団扇は「病魔を払い、健康を招く」ものだと考えた方がいいだろう。
 中国の医学は『気』という考えが根本にある。「ドラゴンボール」や「北斗の拳」で一気に有名になってしまった感のある『気』だが、昔から東洋医学では『気』の流れというものを重要視していた。『気』が体の中をスムーズに流れている状態が「元気」で、『気』が滞って体に異常をきたしたものが「病気」なのである。ゆえに中国医学の根本は『気』の流れをコントロールすることだと言っても過言ではない。
 つまり寿老人の団扇は「邪気を払って体の気の流れを正常にし健康長寿をもたらす」マジックアイテムらしい。
 ふと思ったが、寿老人の団扇があったらドリフのギャグ「痛いの痛いの飛んでいけー」が本当になるのだろうか? でも、逆に『気』の流れがよくなって痛覚が鋭くなったりしたら結構悲惨か……

鹿
 鹿である。四不像でもないし、馬鹿でもない。ただ「その肉を食えば数百年の寿命を得る」という神鹿ではある。
 鹿の袋角は漢方に使われることから、健康長寿のシンボルとして鹿が寿老人の側に置かれるようになったのだろう。
 ところで中国には、日本の七福神に似た「八仙」という存在がある。文字通り八人の仙人の集まりで人々に長寿を与えるめでたい存在だとされる。(福岡県には「八仙閣」という中華料理チェーン店があるが、この名前は八仙から取られたらしい。) その八仙の中に張果老という仙人がいるが、この仙人はロバで移動していたという。
 すると寿老人の鹿も最初は移動用として連れてこられたのかもしれない。ただし、寿老人が鹿に乗っている姿を私はまだ見たことがないので、「移動用に連れてこられた鹿だったが、つぶらな瞳で寿老人に訴えるので、さすがに寿老人もかわいそうになり、ペットとして飼うことに決めた」というストーリーが秘められていると私は睨んでいる。(←勝手に作らんよーに。)
 ちょっと話は変わるが、近所に三宝寺という古い寺があり、ここの本堂の軒下には七福神の浮き彫りがあったりする。(ほとんどの人は気づかないと思うが、それなりに見事な物。) これは七福神が地上を移動するという珍しい姿の浮き彫りなのだが、何と寿老人の鹿が琵琶を弾く弁財天を背中に乗せているのだ。むう、こいつらにもレディーファーストという概念があったのか……(それとも老人たちが元気なのか?)
 まあ、鹿にしても老人よりは綺麗な女性を乗せていた方が嬉しいに違いない。