小説版「御神楽少女探偵団」裏話の書斎

☆「御神楽少女探偵団」とは何か?

 「御神楽少女探偵団」とは、ヒューマンから発売されたプレステ用のゲームのタイトルです。大正時代が舞台で、御神楽時人を所長とする御神楽探偵事務所に持ち込まれる猟奇事件の謎を探偵事務所の三人の女の子が調査して解決に向かっていくという推理アドベンチャーゲームです。ゲームは「御神楽少女探偵団」「続・御神楽少女探偵団」の二本がヒューマンから発売されていますが、「ヒューマン、和議申請」の衝撃的ニュースと共に終わりを告げました。
 私、大林憲司はこの「御神楽少女探偵団」のノベライズをやらせてもらいました。初のノベライズということもありましたが、それなりに好評だったようでファミ通文庫で三冊ほど書かせていただきました。悲劇的な終焉ではありましたが、私にとっては記念すべき作品となりました。そのノベライズの裏話を折々書いていきたいと思って作ったのが、このページです。不定期ですが少しずつ更新していきたいと思います。

☆ノベライズ版「御神楽少女探偵団」リスト(いずれもファミ通文庫で、ストーリーはゲームを離れたオリジナルになります)

★「御神楽少女探偵団・帝都女給乱舞」(イラスト・小林明美 ISBN4-7572-0216-4)
 記念すべき第一作。私が編集さんに電話口で語った「浅草の凌雲閣って日本で最初に美人コンテストが開催された場所なんですよー」の一言でいきなり方向性が決まったような覚えがあります。その時、「水着シーンとナイスバディな姉ちゃんは出すべきだろーな」という不埒な考えが最初からありました。ただ困ったのが大正時代という舞台設定。大正末から昭和初期には水着コンテストというものは存在しました。ただ、それは芸者さんやカフェの女給さんといったいわばプロが参加するもので、しかも水着が「しまうま」と呼ばれる囚人服みたいなヤツでした。頭を捻った結果が「まあ、ドイツ人だから仕方ないか」ということにするため、青島出身のエリス嬢の登場となったわけです。

★「御神楽少女探偵団その二・地獄蝶」(イラスト・小林明美 ISBN4-7572-0326-8)
 一作で終わりかなと思っていたら、なぜか書かせてもらえることになった第二作目。実は第一作は「ゲームの中の一エピソード」としても大丈夫なように考えていたのです。(何せ季節のことすら書いてないのです。ゲームのどんなストーリーの後でもいいようにということで…)しかし、これから小説版を続けていくにあたってはそれではあまりにキツいので、小説版の方は「ゲームとはパラレルワールド」ということにしました。これでもうオリジナルキャラの出し放題〜。
 さて、第一作では美人コンテストという明るいものを使ったので、第二作目では猟奇色を濃くしようということで、民俗学バリバリのものを書こうと思いました。しかし、どちらかというと理系の時人ではわからないことだらけだろうし、民俗学の説明役を出すことにしました。ちなみに諸星警部の本名が「諸星大二郎」なので、これはもう「妖怪ハンター」を出すしかあるまいということで「妖怪狩人・疋田敬二郎」というキャラを作ったわけです。この疋田敬二郎、意外とウケまして三作目では導入部から出ることになりました。
 それから疋田は東洋大学を創設した「妖怪博士」井上円了の最晩年の弟子で、その関係で「妖怪狩人」という異名を誇りにしているという裏設定も考えましたが、結局使うことはありませんでした。

★「御神楽少女探偵団その三・大和鬼人譚」(イラスト・小林明美 ISBN4-7572-0456-6)
 せっかく実際の日本が舞台ですからどこかに行きたいというのは人情というものです。それにゲームでも時人たちは新潟に行ってますから、小説版でもどこかに行こうと考えました。ただ、あまり馴染みのない場所はマズいだろうということで、やはり修学旅行で有名な奈良か京都がいいだろうと考えました。最終的には奈良の正倉院展で見つけた「森林太郎」の文字が決めたようなもんでしょうか。
ただ、当時の奈良の地図が見つからず一時は後悔しました。しかし、東京駅の奈良観光案内所にあった奈良市の歴史について書かれた本にようやく当時の地図を見つけ、コピーをさせてもらって何とかなりました。
 今回はこれまであまり活躍していなかった千鶴と蘭丸をメインにするという、結構大胆な試みをやりました。ところで、最後の方に出てきた蘭丸の「ハンケチ・スリング」ですが、私が考えたオリジナル設定です。流れとしてはどうしても蘭丸が格好いいところを作らなくてはならなかったので……ひょっとするとここはゲームも通じて蘭丸が一番格好いいシーンかもしれません。
 ちなみに大西師と久保田館長は、当時の興福寺住職と奈良帝室博物館館長をモデルとしたというのは決して語ってはならぬ事実。(しまった、ここでバラしてしまった……)

※三冊ともファミ通文庫で発売中。いずれも¥640+税。読んだことがない人はぜひとも買ってください。本屋さんにない時は注文していただければありがたいです。

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