エイプリル・フール殺人事件





 エイプリル・フール。
 日本語に訳すと『四月バカ』。
 世間一般では、純粋で素直な善良な隣人・友人をちょっぴりの悪戯心と些細な復讐心で嘘ついて騙して貶めても許される日である。(多大な語弊有り)
 しかし、それが笑って許されるのも種類によるもので。





「これ食・べ・てv」
 軍主から差し出された美味しそうなアップルパイ。
 その笑顔が決して純粋ではない事に気付かない一般兵士Aは、差し出されたアップルパイの芳潤な香りに「有難うございます」と手を伸ばし……。
 ぶくぶくぶく、バタン。
 泡を吹いて倒れた。
「これで38人目〜♪」
 スキップしながら退散する同盟軍軍主殿。
 何がタチ悪いかと言えば、犯行現場が殆ど人が通らない通路であると言う事だ。





「はい。あげる」
「!!!!!?????」
 いきなり差し出された美味しそうなワッフルに、シーナはずざざざざッと後ずさりした。
 勿論ワッフルが見ただけで吐き気を催すほど嫌いという訳ではない。寧ろ、軽く抓む程度になら甘い物は好きだ。
 しかし、シーナにはそれを差し出す人物こそが問題なわけで。
 ひたとその人物の額に手を添えて、空いている方を自分の額に当てる。
「熱は…………無いみたいだな。寧ろ低い」
「何失礼な事口走ってるのさバカシーナ」
 ぎろりとルックがシーナを睨め付ける。
「いや、お前が何もなしに他人に物をやるとは思えなくて……」
「別に。作り過ぎたから分けてやるって言ってんだよ。それとも何? 要らない?」
「いいいい要る!! 要りますごめんなさいください!!」
 何故か謝るシーナにずい、とワッフルの入ったバスケットを差し出す。
 そもそも何のために作ったとか疑問は残るが、ルックの作ったものなどそうそう食べれるものではない。家事能力皆無(彼の師匠が盲目だと言うので、家事できないんじゃねーかと以前口走ったら「できないから僕がやってるんだよ」と返された)な師匠の元にいて、ルックの料理はプロ顔負けなのだ。舌の肥えたシーナですら思わず美味い!と叫んだ事がある。それなのに彼自身軍に参加してから殆ど厨房に立たない為、彼の手料理を食べれる機会があるなら是非とも食べたい。
 突き出されたバスケットに手を伸ばし、手近のワッフルを一つ掴み上げる。
 ぱくッ。
 ・・・・・・ばたり。
 穴場で他に人がいない釣り場の片隅で、シーナは白目を向いて倒れた。
 それを無表情で見下ろし、ルックがポツリと一言。
「……別に『僕が』作った、なんて言ってないでしょ」
 零れた生クリームの欠片は、何匹かの魚をも犠牲にした。





「フリック〜♪ これ味見してくれない?」
「へ? 俺が??」
 上機嫌のディーグにビスケットを差し出され、フリックはきょとんと目を見開いた。
「あいつらに食わせりゃいいだろ?」
「二人ともどっか行っちゃったしさ〜。折角だから二人を驚かせたいし、ね?」
「別に構わないが……」
 それなりに筋の通ったディーグの言葉にフリックは改めてビスケットを見遣った。
「今回のは随分まともな形してるんだな」
「失礼だな〜。ビスケットくらいちゃんと作るよ〜」
 ぷくっと頬を膨らませるディーグ。
 普段彼の作る料理は文句なしに美味い。ルック程ではないが、ハイ・ヨーも太鼓判を押すほどだ。しかし、どう言う訳か別段キッチンが大破するわけでも調理器具が粉砕するわけでも大規模火災が起きるわけでもないのに、どうしても見た目が……その……ちょっぴり(ちょっぴり?)悪くなってしまうわけで……。
 ともかく、普段ならば地獄絵図的な彼の料理の見た目も、生地を練って型を取るだけのクッキーやビスケットには作用しないようだ。
 フリックは何となく剣のような形のビスケットを取り上げ、口に放り込んだ。
 ・・・・・・どさッ。
 他に誰もいないフリックの自室に一つ、屍が出来上がった。
「つっぎはだっれにしよっかな〜♪」
 ディーグは何事も無かったように軽くスキップしながら部屋を出て行った。





 次々と起こる謎の食中毒事件。
 幸いにして雪解け前であった新同盟軍は、多くの兵や将が欠ける中ハイランドの急襲を受けるということは無かったが、被害者は一様にしてショックの為に前後の記憶を備えておらず、目撃者もいなかったため事件は迷宮入りとなった。



 いつもより人の少ない酒場の片隅で。
「いやぁ〜、楽しかった♪」
「ホント、騙されるとは思わなかったよ」
「情けないね」
 同盟軍内でも最強(最凶)と名高い三人の少年が、愉快そうに酒を交わしていた。
「何なに、何の話? 私も入れてよ〜」
 ぱたぱたと軽い足取りで入ってきた栗色の髪の少女に。
「「「ナナミ(キミ)のお陰って話だよ(さ)」」」
 少女――ナナミは、心底面白そうにハモる三人に首を傾げた。




我が妹のサイトのエイプリルフール小説をかっぱらってきました。
本人も言ってましたが、何処がエイプリルフール?
・・・・・・ま、いっか。面白いから。(おい)




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