
「あのさ、ジューダスって今何歳なの?」
始まりは、カイルの何気ない一言だった。
「・・・何故そんな事を聞く?」
いつもながらのしかめ面で、聞かれた人物・ジューダスは聞き返した。
「だって・・・いいや、やっぱ止めとく。何だか馬鹿にされそうだし。」
「何だそりゃ。」
興味深そうに身を乗り出していたロニは、思わずバランス崩して転びそうになった。
そしてジューダスは、珍しく皮肉のこもらない笑みを浮かべた。
「安心しろカイル。僕は今更お前の馬鹿さ加減位でいちいち皮肉など言ったりはしない。どうせお前の皺があるかどうかも疑わしい脳では、皮肉かどうかも分からんだろうからな。まさかそこまでの馬鹿がこの世に存在するとは思ってもみなかったがな・・・」
「思いっ切り皮肉ってるじゃないか・・・」
呆れたようにナナリーは呟く。が、ジューダスは特に何も言い返さない。
こんな時カイルを慰めるのは今や兄貴分のロニではなくカイル命!の聖女様リアラである。
「あ・・・カイル、気にしちゃ駄目よ。何も考えない単細胞でアメーバもびっくりなのがカイルなんだから!」
「リアラ・・・それ全然フォローになってないから・・・」
カイルは何の反応も返さない。て言うか僅かしか働いてなさそうな脳が完全にストップさているのではなかろうか。
「カ、カイル・・・?」
「ナナリー・・・」
返事にもいつもの元気さは無い。
これはいよいよショックで傷ついたか?と、ナナリーが何とか慰める言葉を考えていると、カイルが口を開く。
「あのさ・・・ジューダスの言った事って結局どういう意味?」
「・・・・・・・・・・・・」
ナナリーは絶句した。
「で、結局ジューダスって何歳?見かけは若そうだけど何て言うか・・・中身が老成している感じなんだよね。」
「老成って・・・ジューダスは別に縁側でお茶を啜ってのんびり2回目の人生を楽しんでるわけじゃないんだから・・・」
リアラの辞書の「老成」という単語の意味を知りたいと思ったのは自分だけではない、とカイルとリアラ以外の面々は思った。ハロルドに至っては綺麗に磨がれたメスを用意している。
「ていうか、よくあのカイルが「老成」なんて単語知ってたわよね〜」
「そんな訳無いだろう。どうせたまたま耳に入った単語を適当に言っているだけだ。」
パーティの知的コンビは容赦無い。しかしロニもナナリーも同じように思っているのでフォローの言葉は無い。意外と薄情な仲間である。
「カイルの言い分はともかく、確かにジューダスって精神年齢高そうだよね。まぁ・・・どんな人生送ってきたかなんてあたしは知らないけどさ。」
正体がリオン・マグナスだと知れたところで、結局騒乱の際の裏切り者、くらいしか知らない。大切な人を守る為に裏切ったとは言うが、そもそも何故あんな事になったかも分からない。ぶっちゃけナナリーやリアラは、騒乱についてさえそんなに詳しくない。
「正体がばれても謎だらけな人って珍しいわよね〜・・・で?年齢も謎のままにしておきたいわけ?」
突然戻ってきた質問にジューダスは涼しい顔のままだ。顰め面もしないところを見ると、別に隠したいわけではないらしい。
「別にそんな事は無いが・・・僕はむしろ、何故カイルが知りたがるのかが気になる。言ったら馬鹿にされると言ったが、あのカイルがそこまできっぱり言い切る程確実に馬鹿にされると分かるような理由なんてあるのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
ナナリーとロニは目を逸らした。
「ふむふむ、あのカイルでさえ馬鹿にされると思うような理由か・・・そんな愉快なものがあるなんて驚きだわ!早速この件を論文にして・・・」
そんなもんが論文になるか。・・・と言いたいがハロルドならやりかねない。
「あのさ、何だかオレ、また馬鹿にされてる?」
「やあねカイル。当然じゃない。気付いてなかったの?」
笑顔で肯定するリアラを、カイルは無言で見つめた。
「というわけで、まずその理由とやらを知りたいわね。さあとっとと白状しなさい!!さもないと自白剤飲ませるわよ!!ほれ、ほれ!!!」
「うわ〜〜〜〜っ!!!や、止めろよ!分かった、分かった話すから!!!!」
試験管まで突きつけられ、遂にカイルは観念した。
何の事は無い。またしても英雄オタクのカイルが「英雄とはどんな人間か」というのを性懲りもなく考えていて、何故か結論として「大人である事」という事になったようだ。それで外見は若いのに妙に大人びているジューダスに年齢を聞く事にしたのだ。
言えば確実に馬鹿にされると思ったのも、散々ジューダスには「英雄とは過去の功績に対して・・・」と言われまくっているので学習能力が皆無なカイルでもまた言われる事は分かっていたようだ。
そのカイルの話を聞いて、何か変な期待をして目を輝かせていたハロルドはおろか、カイル以外の他のメンバーも白い目でカイルを見ていた。
「ちょっとは期待してたんだけど・・・こんな下らないオチとはね。」
「カイル・・・私の英雄になる為には、常人を超越したユーモアセンスも必要よ。頑張って!」
「はぁ・・・馬鹿馬鹿しい。ただでさえはっきりした長所の欠片もないお前が、ユーモアセンスまで失ってどうすんだ?」
別にどうもしないだろう。
リアラも何か違うぞ。確かにかつての四英雄は愉快な連中だったが。
あとハロルド。カイルにオチを期待するな。
「ジューダス、一応教えてやっても良いんじゃない?別に隠す事でも無いだろ?」
カイルに同情の目を向けつつナナリーは言う。
「16だ。」
「・・・・・・は?」
あまりにも短い一言に、問いかけたナナリーも、誰もが止まる。
ジューダスはそんな皆の様子を見てもう一度、今度は強調するようにはっきり告げる。
「だから、(享年)16だと言ってるんだ。3度目は言わんぞ。」
3度目は必要ない。今度こそ皆ちゃんと聞いていたのだから。それでまた皆が固まる。
「そ、そんな・・・・・・」
最初に声を出したのはリアラだった。いきなりよろめいて、すんでのところで踏み止まる。
「そんな・・・ジューダスがそんなに若いなんて・・・ていうか私と同じ年だなんて信じられない!!」
目を見開いてリアラは叫ぶ。
その反応にロニは困ったように頭を掻く。
「・・・その反応に対して、俺らはどう突っ込めば良いんだ?」
ナナリーが静かに相槌を打つ。
「取り敢えず、聖女で神の化身なリアラに年齢なんてものがちゃんとあった事を驚くべきじゃない?」
気の抜けたように言うナナリーに、リアラが勢い良く振り向く。
「当たり前じゃない!!ちゃんと外見年齢くらい考えられてるのよ!!生まれた時からおばさんで肌を気にしなきゃならないエルレインとは違って、私は生まれた時からぴちぴちの16歳の少女なんだから!!!」
ぴしっ・・・・・・
「・・・なんか今、空気が割れるような感じがしたんだが・・・」
「あたしも同じようなものを感じた・・・」
考えるまでも無くエルレインの怒りだろうな、と確信していた。恐らく神のたまごからリアラの邪悪な電波を受け取ったのだろう。
そこで、空を見上げていたハロルドがいきなり近くに居たナナリーとジューダスの腕を引っ張りつつ、他のメンバーにも声を掛ける。
「ほいほい皆、さっさとこの場から離れて〜大体5メートルくらい。」
素直に退きつつも疑問をちゃんと吐く。
「いきなり何で・・・・・・」
ナナリーの言葉を遮るように、カイル達がいたその場所に空から大きな光が落ちた。光はそのまま大地を割り地面を直進していく。
「・・・・・・・・・」
光が消えて、出来た穴を覗き込むが・・・底が見えない。何処までも真っ黒で、底なしなのではないかと思う。
確実に元凶であろうリアラが、項垂れつつその場に跪いた。
「ああ・・・エルレインが若くて可愛い私に嫉妬して、世界を滅ぼす前に私を滅ぼす気だわ・・・助けてカイル、私の英雄!!!」
エルレインを挑発してるんじゃないのかお前、と突っ込みたいが、いちいち何かいう気にもなれない。
「大丈夫さ!リアラは俺が守る!!!こんなおばさんの攻撃なんかに君を殺らせはしない!!!」
「カイル・・・・・・」
バカップルだ。紛れも無くバカップルだ。問答無用でバカップルだ。
「で、ジューダスよぉ・・・ちょっと確認したいんだが、お前が16って本当か?」
「だったら何だ。この僕が、幼稚なお前より年下なのが悔しいのか?」
「ぐっ・・・それもあるが・・・それよりも」
ロニはびっとカイルを指差して叫ぶ。
「お前、あのカイルと1つしか違わないのか!!??」
「!!!!!」
「そういえば・・・!!!」
「そんな事が・・・・・・!!!!!」
「人間の神秘・・・・・・!!」
ジューダスをはじめ、ナナリーもリアラも、ハロルドも驚愕する。
「改めて考えてみると、恐ろしい・・・」
ロニは噴き出す汗を拭いつつ改めてカイルとジューダスを見比べる。そしてカイルの肩に手を置いて涙を流す。
「カイル・・・人間どうしようもない事はある。いくら年が近くてもお前は決してあいつみたくはなれねぇ。いや、ならんで良いんだが。」
「まぁ、元々英雄を目指すお前が、僕を目指すのは筋違いだがな。」
しかし、カイルには確かにルーティの遺伝子が含まれていて、ジューダスとは血の繋がりがあるはずなのだが。
「ルーティの遺伝子は、何処へ消えたんだろうな・・・?」
ジューダスの呟きは、沈黙の中に綺麗に響いた。
神のたまごの中で、エルレインが必死に鏡を見てクリームやらを塗りつけたり化粧したりしていてリアラに対抗しようとしているのは、また別の話。
・・・・純粋にデスティニー2好きな人ごめんなさい。 何となく思った事を書いてみたら・・・皆壊れました。ていうかカイルとリアラ。 そういえば、何気にジューダスってカイルより背低いんだよな・・・と思ったらまた驚いてたりしました(私が)
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