聖夜と天使と漢と女と悪魔とポジティブ


 達哉は浮かれていた。昨日の夜、淳から来た電話が原因だ。雪山に行ったとき何で正月だけでなくクリスマスも、と言わなかったのかと後悔していた矢先に淳の家に招待されたのだ。ここ数年悲しい事ながら友達付き合いというものを全くしていなかった達哉はそれだけで頭の中は常夏の如く温まっていた。それが元々乏しい達哉の判断力を完全に奪ったのだろう。
 喜び勇んで淳の家に来たのもつかの間、外には見覚えのある、ボコボコになった車がおいてあった。よく耳を澄ませばリビングから盛大な笑い声が聞こえた。考えなくても分かる。
「あ、達哉。早く入りなよ。もう皆来てるよ。」
 何処までも澄んだ瞳に、今回ばかりは食って掛かりたか
った。
「淳…他に誰が来てるんだ?」
「え〜と…舞耶姉さんにうららさんにミッシェルに、杏奈さんだよ。リサは遅れるってさ。」
「……?ピアス男はいないのか?」
「え……?ピアス…あ、祐貴さんか。いないよ。」
 ピアスだけで分かってしまうのもどうかと思うが、祐貴はどうやらピアスで認識されている様だ。しかし淳が仲の良い祐貴を呼ばないのは珍しいと思い、更に問い質した所、祐貴は別の用が有るという事だ。よって、祐貴は今日はいない。これだけで達哉の心はなんて晴れ晴れした事だろうか。奴さえ居なければ雪山での命令など無きに等しい。わざわざ淳に触れられないという現実を厳しく認識させられる事も無い。達哉は上機嫌で家の中に入った。
「よーう、タッちゃん!!久し振りだねぇ。」
 雪山で、2、3日前に会ったばかりだが、上機嫌な達哉は敢えて突っ込まずに適当に返事をした。何やら今日の栄吉は嫌にハイになっているようにも見えるがそんな事はどうでもいい。いつもの広いリビングには既にパーティーの用意は出来ていて、あとはリサを待つばかりであった。並べられてある料理の量を見ても、ゆうに5〜6人分はある。淳は初めから皆を呼ぶつもりだったらしい。達哉の元に連絡が入ったのは前日の23日だったから1日でこれだけの準備をした事になる。しかも一人で。大した手際とは思ったが、せめて呼んでくれれば手伝ってやったのに、自分が淳に頼られて無いと思うと少し情けなくなった。
 しかし、と並べられた料理を見る。所々に、奇麗にトッピングされた皿の間に不気味な色の物質が見える。呪われた悪魔の色とか腐った右手の色とか一年前の千切れた耳の色とか、何やらとてつもなく不吉な物があるような気がする。その、食い物だか黒魔術の材料だかわからないものを見ていると、舞耶が明るく爽やかに答えを出してくれた。
「あ、それ、私が作った天ぷらよ。」 
 天ぷら?これが?むしろ悪魔の肉をそのまま削ぎ落としただけの生肉と言ってくれた方がまだしっくりくる。特にムチャリンダの肉ならなお良し。て言うかなぜクリスマスに天ぷら?そういえばぷらって何だ。
「ヘ、ヘ〜イ、舞耶ネェ。じゃあ、この物体Xは?」
 栄吉もさっきから気になってたらしい。達哉と舞耶の会話を聞いて恐れをなした様だが意を決してと言った感じで舞耶にその物体Xとやらについて尋ねた。
「物体Xって何よ〜。これはチキンナゲットよ。見て分からない?」
 全然。今聞いて漸くそれらしく見えてきた。焦げ過ぎて炭よりも真っ黒になっている。箸で摘んだらボロボロと音も無く崩れ去った。
「……………」
 その場に居た全員が沈黙する。
「あ、あはははははは…なんか、ちょっと失敗しちゃったみたいだけど、他のは結構上手く出来たと思わない?」
 舞耶が乾いた笑いで必死に自分を弁護する。が、どんな優秀な弁護士でもこの場で舞耶を弁護する事など出来ないだろう。 
「ホラ、これなんか結構…」
「………焦げたクッキー?」
 淳が口走る。なんとかクッキーにも見えない事は無いといった程度なので自信は無さそうだ。
「マフィンよ!も〜、なんで皆わかんないかなぁ?」
「分かれって言う方が無理だっての!!!!マーヤ、あんたどういうやり方してんの!?」
 ルームメイトとして恥ずかしいとか情けないとか家事の得意なうららとしては許せないものがあるのか、ついにうららが切れた。今にも舞耶に掴みかかりそうな勢いだった為、皆でうららを抑えた。
「で、なんで舞耶姉が料理したんだ?」
「それが…昨日準備してた時に舞耶姉さんが来て、手伝ってくれるって言うから…」
「それにしても、なんでよりにもよって料理なんか…お前だって舞耶姉の腕は知ってるだろ?見ろよ!これはもう料理というよりは呪いの薬だぞ!?」
「そこまで言う…?」
 舞耶が唸ったが、無視。
「でも、部屋の片付けなんて任せたらもっと手間かかりそうだし…」
「成る程…それじゃあ、仕方ないな。」
「確かに、舞耶ネェに何かやらせるにしても、片付けなんてタブーだね。」
「何やらせてもダメだしねぇ…でもマーヤ、なんでアンタわざわざ手伝いになんて来たの?アンタが来ても、邪魔にこそなれ、役に立つなんて事は無いんだから。」
「皆、そこまで言う事無いじゃないの〜それにその時、うらら居なくて暇だったんだもん。」
 やや涙目になって舞耶が訴える。しかし同情するものはいない。以前舞耶の作った料理を食べてリサは猛毒、達哉は混乱、淳は睡眠(睡眠薬が入ってたわけでもないのに。しかも睡眠なのか昏睡なのか判断に迷った)、栄吉に至っては瀕死だった。
 その時の恐怖を考えれば舞耶に料理禁止令を出した達哉の判断は正しいと言える。尤も、達哉が禁止した本当の理由は、達哉が混乱して淳にマハラギダインを撃ってしまった事だろう。幸いその時淳はドゥルガーを降魔していた為事無きを得た。とばっちりでリサが燃やされてしまったが、それ自体は達哉にとってはどうでも良かった。モザイクでもかけられてないと一般公開も出来なそうなシロモノの所為で混乱していたとはいえ、淳に攻撃をしてしまった自分が許せなかった。そんな事はカラコルでの戦闘でもうこりごりだった。
「まぁ、マーヤが作った奴は見て分かるから生ゴミにでも出しちゃえばいいでしょ。どうせ余分に作っておいたんでしょ?」
 そう言って淳の方を見る。淳は苦笑してうららの言葉を肯定した。舞耶を除く一同は安心して並べられた料理に手を付け始めた。
「な、生ゴミ…」
 舞耶はただ一人、部屋の隅で落ち込んでいた。いつものポジティブ・シンキングも流石に今回は上手く働かなかった様だ。



 それからその場のやや暗い雰囲気をぶち壊す様にリサは元気良くリビングに姿を現し、わき目も憚らず達哉に抱きついた。手にはしっかりと一抱えの箱を抱きしめて。
「情人!!わたしからのクリスマスプレゼントだよ!ハイ。」
 あの箱はやはりクリスマスプレゼントだった。だが達哉は別に嬉しいとも何とも思わなかった。達哉は黙ってリサに箱を突き返した。
「え〜何で〜?せっかく情人の為に一生懸命選んできたのに…」
「達哉クンってば、女泣かせねぇ。いけないゾ。」
 注意しておくが、リサは泣いてなどいない。落ち込んではいるが。
「タッちゃんは乙女心が分かってないよねぇ〜ボクなら慕ってくるベイビィに辛い思いなんかさせないさ。ああ、でも雅が泣くからプレゼントは丁重にお断りさせてもらうけどねぇ。でもタッちゃんには別に彼女なんていないから断るのはナンセ〜ンス!」
 グサッッ…!
 その一言が今の達哉には何よりも辛かった。とりあえず誰でもいいから女と付き合いたいというもてない男子高校生のような事は言わない。達哉にはその気になればいくらでも女は寄って来る。が、どうせなら自分が一番気に入った女と付き合いたいものだ。今の所お眼鏡に適う女は居ないが。
「達哉…」
 淳が悲しげな顔で達哉を見る。この次に淳が言おうとする事はすぐにわかるが、たまには意外性を求めても良いと思う。あまりにも予想可能な展開だとつまらないものだ。
「あんな言い方したらリサが可哀想だよ。」
 やはりそう来るか。
 ちょっとふてくされ気味に、栄吉に話を転換する。
「そう言えばお前、華小路はどうしたんだ?こんな日に彼女といないなんてそれこそおかしいんじゃないのか?」
 しかし栄吉は少々言葉に詰まったものの、ある程度は予想してたのかクネクネして返事を返した。
「雅は家族水入らずでカナダにいるのさ〜。流石のボクでもカナダまでは押し掛けられないしねぇ〜タッちゃんと違ってそこまで非常識にはなれないよ。」
「俺の何処が非常識だ!」
「口で言っても足りないぐらいあるから、そういう事を言わせるのは酷だよ達哉。」
「俺が非常識人間呼ばわりされたのは良いって言うのか、淳!?」
「非常識なんだから良いじゃないか。」
「良くない!!っていうかお前は俺をそういう目で見ていたのか!?」
「あはは〜〜非常識な人ほど自分をそうだと自覚してないって本当よね〜」
 あんたが言うか、舞耶姉。
 騒いでいるうちにリサの箱は杏奈の手元で揺らされていた。杏奈が音を探っているらしいが…杏奈は難しい顔をしてリサに箱の中身を聞いた。
「中身?わたし手作りのリサちゃん人形よ。これで情人とわたしはいつも一緒、キャ〜!!」
 発想自体がそもそも大失敗という気がする。
「ガタガタ音がするけど…壊れてるかもよ?」
 一人ヒートアップするリサに、あくまで杏奈は冷静に告げる。それを聞いた途端、リサは箱を杏奈から取り上げ、慌てて中身を見る。リサは暫し呆然としていて、おもむろに何かを取り出した。リサの手の中にあるのは、元はフィギュアだったらしいリサの首…というかそれは手作りなのかちょっと気になった。
「………………………。」
 誰も何も言えない。あまりにも不吉すぎる。限りなく落ち込むリサに、舞耶が微笑んだ。
「壊れたらまた作り直せば良いじゃない、レッツポジティブシンキングよ、リサ!!」
「舞耶ちゃん…」  舞耶のそのセリフは、さっき馬鹿にされまくった自分の料理のことも言っている気がしてならなかった。



「ところでミッシェルは本当に雅さんと一緒に居なくて平気なの?彼女と一緒に過ごしたかったんじゃない?」
「それもそうだけどよ〜雅はやっぱ家族思いなんだよ、だから家族団欒を邪魔しちゃ悪いだろ?」
「フフ…優しいんだね、ミッシェルは。ちゃんと相手の気持ちも考えてあげてるんだ。」
 そう言いながらも栄吉の背中はしっかり哀愁が漂っている。カナダにいる雅は知ったことではないが。それはともかく、淳のセリフを聞くたびに達哉はやるせない気分になってくる。いちいち自分に釘を刺されているようで。自分はそんなに自分勝手に動いているのか?
 しかし、元々達哉はあまり騒がしいのは好みではない。なのにここに居る連中は殆ど騒がしい。例外が淳と杏奈くらいだが、達哉と杏奈は何故かそりが合わないらしくいつも睨み合っている。だからこそ淳と二人で居た方が居心地は良いのだが、学校が始まればなかなか会えなくなるだろうし。セブンスは受験体勢に入るのが早いから達哉自身は自由だが淳はそうもいかない。第一その時には受験やら何だでそれこそ会う暇なんか無いだろう。淳と同じ大学に入るにはかなり必死で勉強しなければならないからだ。
 という訳で、そろそろ邪魔者を排除しようと思う。しかし下手にノヴァサイザー連発で実力行使に出たとしても一筋縄ではいかないだろうし、なによりそんな事をしたら淳に嫌われてしまう。栄吉をいくら殴っても怒るだけで、淳もそこまでムキにはならないが、舞耶の場合は話は別だ。舞耶を傷付けたら…ていうかそんな事は流石の達哉でもできない。大体魔法反射のペルソナ付けてる舞耶に迂闊な事は出来ない。
「なあ淳、今から二人だけでどこか行かないか?」
 試してみる気で周りに聞こえない様に小声で達哉は淳に囁いた。
「なんで?」 
 達哉の意図が見えない淳は至極あっさり疑問を返した。
「なんでって…お前、俺と二人きりになりたくないのか?大切な親友と!」
 何だか支離滅裂なことを言いながら思わず声を張り上げそうになったがまた小声で喋る。
「僕は皆と居るのがいいよ。大勢の方が楽しいじゃないか。」
 屈託無く笑う淳を見て達哉は泣きたくなった。自分達は心の通じ合った親友じゃなかったのか?と嘆いてみる。
 が、このまま引き下がれば以前の宴会のように無駄に騒がしくなる。ああいう空気は基本的に苦手なのだ。
 舞耶とうららが持ってきたらしい酒で盛り上がっている皆に気付かれない様に、素早く、しかも無理やり淳を引っ張って行ってしまった。



「達哉、一体どうしたの?」
 困惑したままの淳を無理やりバイクの後ろに乗せて達哉は青葉公園に向かった。あそこなら冬の寒空の中だし人はそう多くないと踏んでいた。
 それで今は公園のベンチに並んで座っていた。暫くの間は沈黙の空気が漂っていたがとうとう淳が尤もな疑問を吐いた。
「やっぱり、ああいうパーティーみたいなのは嫌いだった?でもせっかくだし、皆と一緒に居たいなって思ったから…」
 ばつが悪そうに淳が俯く。確かにその通りだが、だからと言って淳を責めるつもりではない。
 二人になりたかったのは、騒がしくない所で色々話したかっただけなのだから。
「淳、何だかんだ言ってあまりお前とゆっくり話をしていなかったからさ。昔の事とか・・・」
 ただでさえ10年も離れていたのだ。本当は話したい事はまだまだある。
 達哉はじっと淳を見つめる。傍から見れば恋人同士にも見えなくは無い雰囲気で。
 が、突然妖雲水落が達哉を襲い、そのまま地面に倒れた。達哉のすぐ傍に、杏奈と祐貴が仁王立ちしていた。
「やっぱりそうきたか。つくづく行動パターンに変化のない奴だね。」
 冷たく杏奈がしれっと言い放つ。
「あはははー、邪魔するよタコメット君。」
 あっけらかんと祐貴が笑う。達哉は起き上がってまずは杏奈を睨みつけ、すぐに祐貴に食って掛かった。
「吉栄はともかく、なんでテメェがこんな所に居るんだよ!?」
「なぜ?」  
 なぜか祐貴は薄笑いを浮かべた。その笑顔に不気味さを感じ、達哉は2歩ほど後退した。
「…知りたい?」
 知りたいが、知ってはならない気もする。急に顔から血の気が引いてくのを感じたが、触らぬ神に祟り無しという言葉もある。どの道祐貴も真面目に答える気は無かった様で、淳の方に向き直った。
「淳君、こんな不良タコにのこのこ付いて行くなよ。いつ馬鹿が移るか分からないからね。」
 その言葉にまた達哉は怒ったが、結局祐貴にあっさりのされてしまった達哉だった。



 祐貴はその後これから二次会があるから、と言って去って行った。話し振りからすると途中で一時仲間を放って抜け出してきた様だが本当に何しに来たのか、とかどうやって達哉の行動を知ったのか、とか疑問は尽きない。舞耶は今回酔っ払って栄吉やリサに絡んでいたから祐貴に電話する事など出来ないだろう。杏奈にも聞いてみたが祐貴とは青葉公園の入口で会ったという。ならば一体???
「ところで達哉…さっき…」
 何時の間にやら淳が達哉をしっかりと見つめていた。
「奇遇だね。僕も達哉と色々話したかったんだ。今はまだ皆もいるから、皆で出来る事をして、二人で居る時に話そうね。」
 その言葉だけで、達哉は簡単に立ち直る。単純な奴だ。
「ホント、単純・・・」
 水を差すように杏奈が呆れ口調で呟く。しかし今更杏奈に何を言われても何とも思わない。便利な脳だ。
「あ、そうだ淳、クリスマスプレゼントがあるんだ。」
 杏奈の言葉を遮る様に達哉がポケットの中に入れていた小さな箱を出した。手のひらサイズの箱に何が入っているのかは達哉以外は知らない。が杏奈はまた途方も無い答えをはじき出した。
「まさか、指輪じゃないだろうね…」
「んなわけあるか!!ていうかお前、俺をどんな目で見てるんだ!?」
「変態。シャドウがああだったし・・・」
「あんなのと一緒にするな!!・・・ほら。」
 達哉はそれを淳に手渡す。淳が箱の蓋を開けると、そこには一つの方位磁石があった。
「・・・・・・・・・・・・」
 何だか杏奈が文句でも言いたげに達哉を見ている。
「・・・なんだ。指輪じゃないだろうが。」
「いや、確かにそうだけど・・・クリスマスに方位磁石をプレゼントする奴が何処に居るんだよ。」
「ここにいるぞ。」
 今度こそ杏奈は呆れた顔で達哉を凝視している。しかし達哉には杏奈の視線などどうでもいい。淳が喜んでいるのだから。
「まぁ、いいけどね…淳、アンタそんなの貰って嬉しいの?」
「うん。一度こういうの分解してみたかったんだ。でも自分で買うと勿体無いし・・・」
 今度は杏奈は達哉を同情を含んだ目で見る。
「あんな事言ってるけど・・・良いの?」
「良いだろ。本人の自由だ。」
 杏奈はもう何も言わず、ただ嬉しそうな淳を眺めている。
 ふとそこで、淳が思い出したように言う。
「あ、そういえば僕も皆にプレゼント用意してあるんだ。家に置いて来ちゃったから戻らないとね。…ってそう言えば杏奈さんはどうやってここに来たの?」
「電車で来たんだよ。周防なら絶対人気のない所に行くと思ったから。それにそこらを歩いていた女の子達が騒いでいたからね。周防達哉が誰かをバイクの後ろに乗っけてたって。」
「へぇ〜流石有名人だね、達哉。」
 ちっとも嬉しくない。もしかしたら祐貴もそれで知ったのかもしれない。こういうとき目立つ自分が嫌になる。
「あ、私も淳にプレゼントあるんだ。町でいいの見掛けたから何となく買ったんだけど。」
「そうなの?嬉しいなぁ。」
「……まさかお前、高価な物買って株上げようとか考えてんじゃないだろうな…?」
「するか。アンタじゃあるまいし。」
 達哉を思いっきり睨みつけて杏奈は反論した。このまま淳の家に着くまで一触即発の状態が達哉と杏奈の間で続いていた。



 杏奈の淳へのプレゼントは花形のブローチだった。男に送る物じゃないだろうと達哉は心の中で毒づいたが淳は気に入ったようだった。淳の笑顔が自分以外の人間に向けられていると思うと気分が悪くなるが、そんな下らない嫉妬でどうこう言うのも馬鹿馬鹿しいので堪えて黙っていた。
 プレゼントといえば舞耶が淳に送ったものは理解に苦しんだ。用意された箱の中身は小さな地球儀だった。いやまあ、方位磁石を贈った自分も何か違うとは思っているのだが。ちなみに達哉が淳から受け取った物もかなり不可解だった。工具屋で売ってたスパナセット。どういう考え方をしたらこういうものをクリスマスに送る気になるのだろうか。要は達哉も淳も舞耶もずれているのだろう。達哉以外自覚が無いのが困りものだが。



 後日、例のフィギュアを作りなおしたリサがけたたましく達哉の家のチャイムを鳴らし、嬉々として達哉にそれを押し付けたが、その時うっかり「淳のフィギュアだったら良かったのに…」と呟いたのをリサに聞かれ、必殺の回し蹴りを食らったのはまた、別の話である。 

一日遅れでペルソナクリスマス(爆)
今回は罪メンバーですが、裏パターンで異聞禄メンバーの話もあります。
個人的にはあっちの方がお気に入りです。
ちなみにうちでは杏奈→淳のような感じです。淳にとっても杏奈はある意味特別ではありますが。


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