
最近、レナの様子がおかしい。
最初に気づいたのはプリシス。彼女の言い分では、「あたしがクロードに抱きついてもレイとか飛んでこない」という。
次はレオン。彼の言い分では、「何だか最近ボーっとしてるみたいだよ。かと思えばいきなりにやけたりして……正直怖かった。」という。この後何処かで彼の悲鳴が聞こえたが、まあ無視するとしよう。
更に次がクロード。彼の言い分では、「そういえば最近良くアームロックに行ってるみたいだな。多分、アームロックの方向だと思うけど・・・いや、暇さえあれば勝手にサイナードに乗って行っちゃうんだ。あそこに何の用事があるんだか…」という。
「う〜〜ん……これはちょっと気になるわね。事件の香りがぷんぷんするわ!!!」
セントラルシティのど真ん中で、ある程度の聞き込みを終えたチサトは一人ほくそ笑んだ。
「光の勇者一行の一人が繰り返す奇行……これは絶対何かあるわ!!スクープの気配がする!!」
クロード達は大して気にしてないので彼らにとっては事件でも何でもないのだが、チサトにとっては大事件らしい。要はそれだけネタ不足なのだが。
「問題なのは、いつレナがおかしくなったかって事よね。何時かが分かれば手掛かりが掴めるんだけどな…」
最近とは言うものの、いつからなのか具体的に分かっているものは居なかった。アームロックで待ち伏せすれば良いのだが、交通手段であるサイナードはそのレナ本人が使ってしまっているのでどうにもならない。
「はぁ〜〜〜どうすれば真実に近づけるのかしら……?」
「ひたすら歩くことだ。自分で見つけた物こそが、確かな真実なのだからな。」
「それが出来れば苦労は……………………って、エルネスト?」
背後からの声に振り返ると、そこに居たのは三つ目の男、エルネスト。珍しくオペラの姿が見えないが…?
「また変な事件でも追っているのか?今度は何だ?セリーヌがダイエットに挑戦している事を「紋章術師の過酷な訓練」とか触れ回ったりなんてのは止めてくれよ。あの時は後始末が大変だったからな。」
「………時には過大な表現も必要なのよ。それよりあなた、レナ最近おかしくなったと思わない?」
「そうね。ここのところちょっとおかしいわ。」
また突然に別の声。これは半ば予想してたので問題は無いが。
「オペラ、あなたもそう思う?クロード達も言ってたけど、何だか最近様子が変よね。何時からなのかしら、と思って…」
そのチサトの台詞に、オペラは目を丸くした。
「え?気づいてなかったの?レナがおかしくなったのって、あのクッキングマスターの時以来じゃない。」
「………へ?」
さも当然のように言うオペラに、チサトは絶句した。
「多分、あの時乱入してきたっていう子が原因じゃないかしら?あ、でも私もエルもあなたもその時はいなかったから・・・クロード辺りにでも聞けば?」
「クロードはそんな事言ってなかったわよ。レオンとプリシスにも聞いたけど・・・・」
「目の前で起きた事なのに・・・要は鈍いのね。プリシスはともかくあの子達、そういうの疎そうだし。」
クロードとレオンに関しては、恋愛事に鈍いのは間違いないが、プリシスも結構鈍いようだ。
「成る程ね・・・そういう線があったのか。そういえばあの時クッキングマスターでかなり騒ぎがあったみたいだけど・・・あ〜〜〜編集長に呼ばれてなければ決定的瞬間を目撃できたのに!!!!」
しかし、これで分かった。レナは最近アームロックへ行くという。つまり、アームロックに先回りすれば良いのだ。
「・・・・・で、僕達に何やらせようって言うんですか?」
「レナの行動が知りたいんなら、チサト一人で行けば良いじゃん。何であたし達まで〜〜?」
「クロードだけで良いんだけど・・・」
「何言ってんだよ!!お兄ちゃんだけ行ってボクが行けないなんて酷いじゃないか!!!」
「そうだよ!!!あたしはず〜〜〜っとクロードと一緒だよ!!!!」
このお子様どもは・・・と少し呆れたが、別に増えても問題無いので二人も連れて行くことにした。
「レナはアームロックに行ってるんでしょ?なら、私達がアームロックに先回りすれば良いのよ!!」
「でもさ、サイナードが無きゃ行けないじゃん。どうやって行くのさ??」
プリシスの指摘にチサトはにやりと笑う。
「そ・こ・で、あなた達に協力して欲しいのよv上手く私に口裏合わせてくれれば問題ないわよ。」
「一体何する気なのさ?」
どう捻った見方しても疑いのまなざしを向けるレオンから目を逸らしながら、チサトはクロードの腕を引っ張って走り出した。それに慌ててプリシスとレオンもついて走る。
「ちょ、ちょっとチサト!!!いきなり走らないでよ!!」
「しかもお兄ちゃんを勝手に引っ張っていくなよ!!!!!」
「・・・子供にもてるわね〜クロード。」
ポツリと呟いたチサトの声は、そばにいたクロードにだけは聞こえたようだ。
「・・・・・・言ったらあの二人、怒りますよ。」
でもちゃっかりクロードも小声で返す。余計な争いは避けたい。被害が出て謝罪させられる自分の為に。
今日もレナは鼻歌交じりでアームロックへやって来た。何か抱えているようだが、チサト達の方からは見えない。
「・・・にしても、サイナードが意識不明の重態で動けないからとか言ってナールさん騙してトランスポート使うなんて・・・チサトさんには良心の呵責と言うものは無いんですか?」
しかもサイナードの意識不明の重態って何だよ。よく騙されたなナール。
「真実の為の犠牲はつきものよ。」
言い切りやがったこのパパラッチ。
そんな時、レナを見張っていたレオンが小声で知らせる。
「あ、レナお姉ちゃんあの店に入ってったよ。」
「え、あそこは・・・やまとやじゃない。」
「チサト、知ってるの?」
「あそこの「胸のときめき」ジュースは結構評判なのよ。「恋人達にピッタリのデートスポット」ていう取材で行った事あるもの。」
「え?そんなのあるの??クロード、あたし達も行こうよ!」
「・・・まあ、いずれな。それより、レナがわざわざこんな所に来るって事は・・・」
「そう、私の予想が正しければ、レナにおと・・・」
「店のレシピを盗みに来たのか。」
クロードの間抜けな一言に、チサトはすっ転んだ。
「何いきなり転んでんの?チサトお姉ちゃんってホントに転ぶの得意だよね。」
「クロードの発言の所為でしょ!何でそんな発想になるのよ・・・・まあ、いいわ。クロードがこういうの鈍いのは知ってるしね。」
チサトがため息をつくとプリシスがやっと分かったらしくチサトの言いたい事を言ってくれた。
「そっか。レナに彼氏が出来たんだ。」
かなり嬉しそうなプリシスだが、彼女はレナの幸せに喜んでいるわけではない。ライバルが減った事に喜んでいるのだ。
「そうよ、男が出来たのよ。だから最近挙動不審で・・・」
「あのさ・・・・・・ちょっと良いかな?」
またもチサトの声をクロードが遮る。しかし今度は何処となく遠慮がちだ。その上クロードはレナのいる筈のやまとやをじっと見つめている。やまとやはガラス張りなので外から見えるのだ。
「何?相手の男がディアスだった?」
「プリシス・・・ディアスはエクスペルにいる(からもう死んでる)だろ。そうじゃなくて・・・・レナってショタコンだったっけ?」
「「「は?」」」
このセリフには三人とも目を丸くした。ショタコンとは一体、どういう事か。
気になってレナを探してみる。レナはすぐに見つかった。その向かいに座っているのは・・・
「あ、クッキングマスターの時の・・・」
「謎の超絶破壊少年だったっけ?」
そこにいたのは、恐らくレオンとそんなに違わないであろう少年だった。耳につけた棒が良く分からないが、ああいうファッションなんだろう(気づけ)。
しかし何故、その少年とレナがこんな所でこそこそ(チサトの主観)会っているのだろうか?やはり二人は付き合っているのだろうか。
「くそっ・・・私でさえ未だ彼女がいないと言うのに・・・・・・」
「ふふっ、あの子も思春期なのねぇ。可愛いわぁ。」
ふと、聞き慣れない男女の声が聞こえてきた。気付くと、チサト達の後ろにちゃっかり立っていた。
「ちょっと、いきなり背後に立たないでよ。」
「あ、御免なさい。」
チサトの文句に、笑顔で謝る女性。クロードは何処かで見た気もしていたが、思い出せなかった(思い出せよ)。
「ところで、あの子ってあなた達の弟さん?」
「ちょっと違うけど、まあ似たようなものね。それにしても最近何だか楽しげだから何事かと思って後をつけてみれば・・・こういう事なんてね。」
「く・・・・・あのガキ、私を出し抜いてよくも・・・」
男はかなり悔しそうにしている。弟(?)に彼女が出来たのがそんなに悔しいのか。
「落ち着きなさいって。折角あの子に彼女が出来たんだから、喜んであげなさいよ。」
「ぐああぁぁぁぁぁぁぁああぁあぁぁぁぁ・・・・・・・・」
何だか血の涙を流しかねない勢いだが、最早女性も男を見捨ててレナ達を見た。
何だかおかしな雰囲気になっている観客(クロード達)に気付かないまま、レナと少年は笑顔で料理について話していた。
「今日も持ってきてくれた?」
「勿論だよ。これがカニピラフのレシピで、こっちがナポリタンのレシピ。」
「ありがとう、私はラザニアとアップルパイのレシピよ。」
最近、彼らは会うたびにお互いのオリジナル料理のレシピを交換していたのだ。それだけなら特に何も無いのだろうが、時々「胸のときめき」ジュースを二人で飲んでいるので、店の人達には「年の差カップル」と思われている。本人達もまんざらでもない事から、アームロックでは有名になっている。
「何だか姉弟みたいだけど、世の中こういうカップルもアリよね。」
「くぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」
まだ唸っている男を無視して、クロード達は女性と色々話している。そんな中、チサトはこつこつ記事を書いていた。
次の日のネーデ新聞で、「光の勇者一行の少女レナ、熱愛発覚!」と言う文字がでかでかと一面に飾られていた。
キリ番にあったサディレナリベンジ・・・の筈が、肝心の二人の出番が少ない!
周りの人の方が出番多いなんて・・・チサト出したのがまずかったのかな・・・?
しかしこの話、実はもっと十賢者の出番多い筈でした。それがクロード達の視点だったのでほぼカットになってしまいました。
というわけで、これの十賢者視点の話書きます。そちらの方なら多分もうちょっとサディレナ出せると思います。
なので、もう少しお待ちください〜〜(爆)
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